アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

「中小製造業・逆転のブランディング」、中小企業にとってブランディングとは。

宇土寿和氏が書いた「中小製造業・逆転のブランディング」を読んだ。

逆転のブランディング

中小企業にとって、ブランディングは永遠の課題である。なぜなら大抵の場合、小回りが効くことが強みであって、臨機応変という言葉が往々にして中小企業の本質的な強みを見えなくしてしまう。一貫性を持って顧客接点を考えるほどの余裕もない。

そんな状況にあって、著者、宇土氏の会社がどのようにブランディングと取り組んだか、とても興味深く読んだ。

宇土氏は、旅行会社に勤めた後、旅行会社時代に縁のあったアパレル企業に転職。そして、その会社がニット製品を取り扱っていたこともあり、10年勤めた後に独立。自身でニット製品のメーカーを立ち上げる。

宇土氏曰く、独立後20年以上は赤字が続いたという。それがある時に起死回生の手段を思いつき、一気に黒字化に成功した。

その起死回生の手段とは?が本書のテーマであり、それこそ本書のタイトルともなっている「ブランディング」だった。

そのきっかけは20年間続いた赤字をなんとか解消するために選んだ手段。OEMでなんとか食いつないできたものの価格競争は収まるところを知らない。そこで考えたのは低価格の逆を行く、「高価格高品質化」。カシミアに特化してオーダー注文による消費者への直接販売の道を選んだのだ。ちょうどインターネット通販が急成長を始めた頃で追い風が吹いたことも幸運だった。

さらに、やむなく山梨にあった自社工場を岩手県の北上市に移したことも功を奏したという。それにより「被災地支援」を自社のPRに活用できたからだ。また同時にこの移転は「ご当地ブランド」を立ち上げることにもつながっていく。
このあたり、運が運を呼ぶ善循環に転換していったところも大きいように思う。

そして極め付けは、岩手県北上市の認知向上につながったということで、市から「ふるさと納税」の返礼品にどうかと声が掛かったこと。これが大反響を呼び、業績は大幅改善し、予想以上の売上貢献に繋がったのだという。

転機は、OEMによる価格競争では生きていけないと悟った時、180度違う商品政策に舵を切り直したこと。
当然、選ばれるためには、他者との違いを明確にすることが必要で、思い切って社名もロゴも変えたこと。
この2点がその後の良い循環につながっていく。
そして、見過ごしてはいけないことは、なにより経営者の価値観も同時に切り替わったことだ。
ある意味、お金儲けからお客様への貢献という意識に。

自分自身もブランディング支援を生業としているため、とかくブランディングは難しいという声を聞くが、「ではどうやってお客様から選んでもらうのですか?」と問い返したくなる。少なくとも「価格」での勝負だけは絶対に避けなければならない。売上的に一時良くても長い目で見れば消耗するだけで決して未来はないからだ。

宇土氏のように運に恵まれることも大切だが、運を呼び込むためには確固たる信念が必要。
その推進役としてのブランディングを学ぶためにはわかりやすい実践書と言える1冊である。


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