アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

世の中をあっと驚かせてはいけない。水野学的ブランディング思考 その①

「えー、なんで?」と広告系のクリエイターの声が聞こえてきそう。もし該当者なら要注意です。本書を読んでみる価値があるかもしれません。



本書とは、グッドデザインカンパニー、クリエイティブディレクター水野学さんが書いた『「売る」から「売れる」へ。水野学のブランディングデザイン講義』。

ブランディングデザイン講義

タイトルに書いた言葉は、水野さんがブランディングデザインに必要な3つのポイントとして掲げたひとつです。

ちなみにあと2つは、
「センスとは、集積した知識をもとに最適化する能力のことである」
「ブランドは細部に宿る」。

3つともうなづける点が多くなるほどと思わせる言葉ですが、冒頭の言葉は、ほかのブランディングに関する著書では、意外と語れられていない重要なポイント。

長年、広告をやっているとわかりますが、ひとつ間違うと「どうやって世の中を驚かせてやろうか、イヒヒ」と、クリエイターがほくそ笑み肩に力が入るところですが、それこそブランディングにとっては大きなマイナスを生む理由にもなるのです。

なぜならブランディングは長期的視点、長い時間軸で持続性をベースに考えるものだから。あっと驚かせた結果、瞬間的に認知が上がって売上が増えても、それが長く続かなければ意味がありません。それどころか逆効果になった例を、私自身たくさん見てきました。

水野さんは、こんなたとえ話で、この言葉の意味をわかりやすく伝えています。

これは差別化というものへの誤解です。〜中略〜
イスの差別化をはからなくちゃいけないからといって、座れないイスを作っても意味がないでしょう。そんなことは冷静に考えればわかるのだけど、差別化を考え始めると、それに近いことをやってしまうんですよ。
的を得ているなら、本当はもっと小さな差をつくるだけでいいんです。そういう意味で「世の中をあっと驚かせてはいけない」

どうですか。もちろんブランディングではなく販売促進が目的なら瞬間風速も重要です。
けれど…今目の前の提案が、座れないイスになっていないか、大いに考えさせられるところですね。

今回の著作は、これまでの水野さんの著作とダブるところも多いですが、学生に向けての講義をもとに書かれていることで、わかりやすさがさらに増しています。

また代表事例として中川正七商店、茅乃舎へ実際のプレゼンテーションした企画書が掲載されていること。普段どのようにクライアントへ提案しているか、その裏側をちょっとだけ覗くことができたこと、そして、そのトーンに水野さんの人柄が垣間見えてとても共感できました。

水野さんいわく、日本には企業の社長の片腕になれるクリエイティブデイレクターが決定的に不足しているそうです。確かに私もそう思いますし、経営コンサルタントでは対応しきれない経営課題もたくさん出てきているようで、時代の転換点を感じています。そういう意味ではとても勇気づけられる1冊でもありました。

●本書、なかなか奥が深いので、次回はその②として、もうひとつ気になった名言。企業の活動は「目的」と「大義」からはじまる。について書きたいと思います。

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