アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

創作和菓子ユニット wagashi asobiが書いた「わがしごと」。小ささを武器にできる時代。

創作和菓子ユニット wagashi asobi(わがし あそび)が書いた「わがしごと」を読んだ。

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私がはじめて彼らの存在を知ったのは、少し前に観たBSテレビでの特集だった。

そして、常識を覆すような斬新な発想とその独創性が心に深く刻みこまれた矢先、千種の正文館書店でたまたま見つけたのが彼ら初の単行本となる本書「わがしごと」である。

それにしても、創作和菓子ユニット「wagashi asobi(わがし あそび)」って何?
それが初見の人の素朴な疑問ではないだろうか。

「wagashi asobi(わがし あそび)」とは、二人の和菓子職人、稲葉基大と浅野理生からなるユニット名。
なおかつ会社名でもあるし、お店の名前でもある。さらにはブランド名でもある。

名前の由来は、二人が会社勤め時代、オフタイムに始めた活動にまで遡る。
当時、企業ではできない和菓子の創作活動を自由に楽しんでいた時のプロジェクト名が「wagashi asobi(わがし あそび)」だった。その活動の延長線上で起業したこともあり、自然とその名前になったそうだ。

彼らのお店の最大の売りは、たった2品の和菓子で勝負していること。
浅野の発想による「羊羹」と稲葉の発想による「らくがん」。
開店以来、後にも先にもお店で販売しているのはこの2品だけ。

その思い切った商品の絞込みでもわかるように、彼らの凄いところは、単に和菓子づくりに賭ける職人で終わっていないところにある。
ともすると、物作りは熱心でも金勘定には弱いという職人気質で失敗するケースもある中で、マーケティングという観点から冷静沈着な戦略をもとに経営を考えている点が、他との大きな差別化につながっている。

そして、もうひとつ特筆すべきなのが「理念」の存在。

彼らの理念、それは「一瞬一粒(ひとつひとつ)に想いを込めてつくる」。

この理念をすべての判断基準として、やらざるべきことを決めている。商品の絞込み、地域密着という価値観もすべての原点がここにあった。

さらに、理念を補完するように、お店についての自らの価値観をこんな風にも綴っている。

「老舗を始める」

お手本は老舗、として

地元地域のお祭りや歳時記など、暮らしのなかに和菓子と和菓子屋が寄り添い密接に関わり合っていること。

必要以上に多店舗化や量産化を求めず「目の届く」「手の届く」「心の届く」お店のサイズを保っていること。

屋号と同じくらい有名な代表銘菓があり、葛切りならこのお店、松風ならこのお店といった具合に。お店の大小にかかわらず昔から銘菓で専門化していること。

どうだろう。

あらためて考えてみると、彼らが今日高い評価を受けている理由は、決して偶然の産物ではなく、実は綿密な計算に基づいた「戦略」ありきなのである。そしてその裏にある明確な「理念」の存在も大きいのではないだろうか。

小さいことはデメリットばかりではない。それどころか、小さいことがメリットとなる時代になってきた。そこでますます大切になるのが、どのように世の中の役に立ちたいかという「理念」。理念への共感が熱狂的なファンをつくり、口コミで新たな顧客へと拡散されていく。

そんなノウハウが凝縮されたのが本書である。小さな会社やお店のブランディングを考えるのに大いに参考にできる1冊である。

※本書は、コトノハのとっても初めての著作。今後の展開にも期待したい。

テーマ:徒然なるままに… - ジャンル:ブログ

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