アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

物語をテコに会社を変える。ネット、SNSの時代に効く「物語戦略」。

大手広告会社のコミュニケーション戦略プランナー岩井琢磨さんとマーケティングディレクター牧口松二さんが書いた「物語戦略」を読んだ。

二人はともに早稲田大学ビジネススクール教授、内田和成さんに学んだという縁で、内田さんが本書の監修を務めている。

71VTz8jWBHL.jpg

「君の言っていることは正しいけど、おもしろくない」

広告会社などでクリエイティブに携わる人間であれば、まず最初に浴びせられる言葉。
幾多の洗礼を受けて、クリエイターとして一人前になっていくというのが二人の著者と内田さんの共通認識だ。
かくいう私も、現役時代は最後までその呪縛が解けなかった。

これはクリエイターにかぎらず、実は企業の戦略においても同じ、というのが本書を書いたきっかけのよう。

それでは企業が「正しいけど、おもしろくない」戦略を脱却するためには、どんな「おもしろさ」が必要か?
それが本書のテーマである。

著者たちは、その「おもしろさ」の答えを、「企業のシンボリックストーリー」に見出した。

シンボリックストーリーとは

①企業の強みを象徴している
②企業の戦略方針に合致している
③思わず人に話したくなる

という要件を満たす物語と、著者たちは定義する。

本書に登場するシンボリックストーリーは、

「沈まないトランク」のルイヴィトン。
「売っていない商品の返品に応じる」ノードストローム。
「100万人の命を救ったエンジニア」のボルボ。
「勤務中に社員をサーフィンに行かせる」パタゴニア。

などなど、業種業態も多岐にわたる。

さて、おそらく読者共通の関心事は、今なぜ、シンボリックストーリーが、企業の「おもしろさ」の源となり、
他社との差別化につながるのか?ではないだろうか。

その背景には企業の競争環境の変化があると、ふたりは言う。
その変化とは、「個人のメディア化」と「ビジネスモデルの同質化」の二つ。

「個人のメディア化」
メディアの主役がマスメディアからインターネットに変わり、個人が主体的に情報発信ができるようになったこと。
企業のおもしろい物語が、スマホをベースにすごいスピードで拡散されるようになったのだ。

「ビジネスモデルの同質化」
ビジネスモデルの模倣が容易になり、なかなか新しいビジネスモデルが成立しにくくなったこと。
そんな中で、独自の物語は他社が真似することは難しく、新たな戦略の核となりつつあるのだ。

こうした理由から企業の物語の重要性が増しているわけだが、ただやみくもに物語を打ち出せば良いというものではない。
使い方によっては諸刃の剣に。肝心なのは、その活用の仕方だ。

ふたりは「ビジネスモデルの核に物語を埋め込む」ことが重要と言っている。

本書ではビジネスモデルを構成する要素を、

①顧客に提供する価値
②競争優位性の持続
③儲けの仕組み

と定義するのであるが、シンボリックストーリーはその各要素の独自性を高める物語でなければならないのだ。

ここまで読んで、あらためて先進企業のシンボリックストーリーを眺めてみると、なるほどそういうことだったのか!と腹落ちできる。

シンボリックストーリーは0から生み出すものではない。
どんな企業にもシンボリックストーリーは眠っているのだ。
本書ではそのシンボリックストーリーを掘り起こす方法もわかりやすく紹介されている。

紹介されている事例は大企業のものが多いが、そのエッセンスは中小企業でも十分に取り入れることが可能であり、差別化という視点からいえば、むしろ中小企業にこそ取り入れる価値があるのかもしれない。

インターネットが、そしてSNSがコミュニケーションの主役となりつつある時代だからこそ、企業にとって理念に沿った物語が重要。私も全面的に賛同する。

テーマ:徒然なるままに… - ジャンル:ブログ

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://adrunner.blog38.fc2.com/tb.php/1470-fe7ab89a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad