アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

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すべての仕事はクリエイティブディレクションである。まさに。

電通CDC局長、エグゼクティブクリエイティブディレクターの古川裕也氏が書いた「すべての仕事はクリエイティブディレクションである。」を読んだ。



実は読み終えたのは出版直後、今から4、5ヶ月も前か。なかなか優れた内容の本ですぐにでも皆さんにお知らせしたいという思いでいたのだが、今日までブログに書くことはなかった。

実は私自身、広告会社時代の後半は、クリエイティブディレクターの立場にあった。といいつつ、その名称を名乗ることは最後までなかった。クリエイティブディレクターというポジションはそれほど価値の高い、選ばれた人のものなのだ。私など語るもおこがましい、それが偽らざる気持ちである。

それがなぜ今?というと、一緒にプロジェクトの立ち上げを進めている池上さんが本書を手にしていたからだ。そして、彼も私の抱いていた感想と同様、後半が読むべきところだと、ひと言。


クリエイティブディレクターの仕事は、広告にとどまらず、社会の課題解決につなげることができる仕事。それが本書のテーマ。

確かに、課題を見つけて、そのソリューションを考えて、実行する。その一連の実戦経験は、広告だけにとどめておくのはもったいない、かねてより私もそんなふうに考えていたから、本書における古川氏の論調には大いに賛同した。

さて。池上氏も推奨する肝心の後半部分、それこそがクリエイティブディレクションの今後の可能性を示唆している章、「これからのクリイティブディレクション」。

中でも、クリエイティブディレクションの新たな方向性として真っ先に提示された、①for Good は、まさに私自身が「ソーシャルバリュー協会」でめざしている方向にかぎりなく近い、今最も大切にすべき価値観のひとつだ。

古川氏はこう書いている。長くなるが以下に引用する。

振り返ってみると、世の中は“Strong”に価値がある時代と、“Good”に価値がある時代が存在する。
リーマンショックまでは、新自由主義が持て囃され、明らかに、Strong優勢であった。
世界を動かしているいちばんキーになる原理が、競争原理なのであって、強い人はますますとんでいくというトレンドがむしろ当然かつフェアであると考えられていた。
しかし、リーマンショック以降、雰囲気が一変した。日本では3.11以降と言ったほうがよいかもしれない。
人間の根源的な価値とは、莫大な利益を得ることではなく、何らかの“Good”を成すために生きているのであり、そこにこそ究極の価値がある。企業も団体も政府もひとりひとりの人間も、それぞれの本質から帰結するなんらかのfor Good を志向すべきだ、という価値観である。
街中でも、「世界をもっと良くしたい」「みんなの役に立ちたい」というようなコトバを、多くの人が普通に語るようになっている。特に若い人たちはごく自然に。

いやぁ、おっしゃるとおり。

つまり、 for Good を創造する仕事こそ、これからのクリエイティブディレクターの仕事であると。

そして、その考え方は広告にとどまることなく、世の中自体を変えていく影響力を秘めているのだ。

電通のような大企業をのぞけば、まだまだクリエイティブディレクターの役割を広告の範囲でしか見ていない会社が多いように感じる。そして何よりクリエイティブディレクター自身が自分を過小評価しているような気がしてならない。

広告の枠から飛び出せば、新たな世界が広がっている。そしてクリエイティブディレクターの能力を企業が経営に活用することができる、そんな時代がやってきたのだ。

クリエイティブディレクターにとってはまさに千載一遇のチャンスの時なのである。そんな思いを新たにした、古川氏の渾身の1冊であった。

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