アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

ソーシャルバリュー(社会価値)で衰退産業に灯りをともす「ファクトリエ」

国内の工場と消費者をダイレクトに結ぶファクトリーブランド「ファクトリエ」を皆さんはご存知だろうか。
(海外には結構あるが、そもそも日本にはファクトリーブランド自体が少ない)

山田敏夫という若者が立ち上げたこのブランド、立ち上げてまだ数年にもかかわらずマスコミで何度も取り上げられ、私自身も以前から注目していた。

そんな彼の初の著書となるのが「メイドインジャパンをぼくらが世界へ」。



そして山田氏が本書で共著者(対談相手)に選んだのが、こちらも日本酒業界に旋風を巻き起こしている平和酒造の山本典正だ。

先日、太田治彦の番組でも取り上げられていた人気急上昇の日本酒「紀土(きっどと読む)」を作っている酒蔵である。

平和酒造についてはまた別の機会に記すとして、今回は「ファクトリエ」について話を進めたい。


さて。
なぜ「ファクトリエ」がそれほど話題になるのか?

サイトをみるとベーシックなシャツが1枚10,000円超。決して安くない、どころか最近の流れからすると結構な金額だ。

しかし山田氏に言わせると、高いどころか生地、仕立てから見ると驚くほど安いといってもよいと。
同品質の従来商品を探すと、おそらく3万円は下らないだろう、自信満々に話す。

その秘密は、ファクトリエが高い技術を持った国内の縫製工場と直接契約しているから。

基本的に、販売は店舗を持たないネット通販のみ。中間コストを極力排除してこそ実現した、この価格なのだ。

話題になっているのはそれだけではない。

実は今、日本の工場で生産されている衣料品はなんと3%程度だそうで、かつては50%を超えていた国内比率が現在はここまで下がっていることに驚かされる。

その結果が、そもそもメイドインジャパンにこだわりたかったというのがスタート時点の山田さんの考えに、衰退の一途にあった「日本の縫製工場を守る」という社会性を持たせることになったのだ。

ここにマスコミがニュース性を見出し、一気に知名度を上げた「ファクトリエ」という構図。

マスコミに取り上げられた反響は凄まじく、記事に取り上げられるたびに販売額を伸ばし、本書によれば毎年400%の成長を続けているらしい。

けれど国内か否かより、もっと驚かされることは、創業直後から100年企業になることを想定してビジネスを進めていること。
売上がやがて踊り場を迎えることも想定済みで、重要なのは安易な拡張を求めないことと言い切る。

縫製工場と日本酒の酒蔵。

どちらも衰退産業にあり廃業も相次ぐ分野だ。その中で生き残るということ自体、並大抵のことではないだろう。しかも、ただ生き残るだけでなく、社会への貢献をビジネスの中心に据えて挑戦を続けていることが素晴らしい。問題なのは、業種の成熟度ではなく、想いの強さがあるかないかなのだと気づかされる。

彼らのユーザーは間違いなく彼らの想いに共感して購買するファンともいうべき人。彼らの共感の輪がやがて波紋のごとく広がり次のファンを創る。

これぞ、私がこだわる「ソーシャルバリュー」の力、中小企業こそ「ソーシャルバリュー」で輝く、まさにその好例である。

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