アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

見た人が絶賛するという泣ける花火、白菊。その裏に隠された壮絶な物語とは。

山崎まゆみ氏が書いた「白菊」を読んだ。


副題に「伝説の花火師・嘉瀬誠次」とある。

やや季節ハズレとなってしまった感もあるが、実は今でも毎週末全国どこかで花火大会は開かれている。
まして冬でさえ、クリスマスイブ、年越しのカウントダウンに花火は定番となった。



「なぜそれほどまで花火は日本人に愛されるのだろうか」



実はこの本を偶然目にする数日前、友人から本書の重要なテーマである長岡の鎮魂の花火について話を聞き、その時そんな想いを抱いたばかりだった。



そういう意味では私にとって本書は、まさに運命の出会いなのである。
読まなければいけない、そんな義務感にも似た気持ちに駆られて買い求めページを繰ることとなった。

本書の主人公、嘉瀬誠次は「伝説の花火師」として知る人ぞ知る存在。
打ち上げる花火の美しさは筆舌を尽くしがたい、そんな花火なのだ。

しかしながら、その美しさの背景には壮絶な物語があったと本書を読んで初めて知った。


実は嘉瀬は第二次大戦の終戦後、4年に渡るシベリア抑留を体験している。
生と死が紙一重の日々にあって、生きて帰る、その強い意志だけが支えだったそうだ。
残念ながら想い半ばで亡くなった友は数知れない。


そんな嘉瀬の花火師人生の集大成となったのが、ロシア抑留地のハバロフスク、アムール川での花火大会だ。
その地で亡くなった友を弔うという一心で実現させた。
さらにその花火は弔いの花火という意味を超えて、ハバロフスクの人々に大きな感動を与えたという。こうして嘉瀬は伝説の花火師となったのだ。



このドラマチックな嘉瀬の人生を巧みに文章に残したのがノンフィクションライターの山崎まゆみ。
最後に明かされることになるのだが、実は山崎は幼い頃、嘉瀬の近所に住み、父に連れられ何度も嘉瀬に会っていたという縁があった。数十年を経てまさか嘉瀬のノンフィクションを書くとは、そのとき思いもしなかっただろう。この不思議な縁が本書をさらにドラマチックな物語に昇華させている。

長岡の大空襲で亡くなった人の鎮魂として、今も嘉瀬の想いを引き継いで毎年8月1日に打ち上げられる長岡花火。
中でも白菊と呼ばれる花火は泣ける花火として、多くの人から賞賛の言葉が贈られている。

いやぁ実に花火の世界は奥が深い。そしてその世界を自在に操る花火師は実に繊細でクリエイティブな職業なのである。同じ、物を創造する立場としては、うらやましいかぎり。

私自身も花火会社の社長との縁を頂いて毎年岡崎の花火大会に出向くわけだが、本書を読んで、来年の花火大会の楽しみがまたひとつ増えた気がする。

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