アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

「敵がいない」のではなく「敵をつくらない」。それこそ無敵の経営。

陶芸家、北川八郎氏が書いた「無敵の経営」を読んだ。



本書の冒頭に掲げられているのは「戦って勝ち抜くことでは繁栄しない」という言葉。
ここに北川氏の経営に対する価値観のすべてが込められている。

ゆえにタイトルに掲げられた無敵とは、戦って勝ち抜く「無敵」ではなく、戦わずして独自の商品やサービスで消費者の支持を得る、敵がいない「無敵」を表しているのだ。まずここを間違えないようにしたい。

さてそれでは、そのために何が大切か。

「稼ぐためだけに生きる」
「儲けるためだけに商売をする」
「見せかけだけの良いものを提供する」

そういう経営の考え方を徹底的に排除し、顧客の利益と喜びと幸せをいちばんに考える経営に、方向転換する必要があると北川氏は言う。

そもそも北川氏はなぜこのような考え方に至ったのだろうか。

その答えはここまでの北川氏の経歴にある。経歴を見てみよう。

北川氏は、カネボウ化粧品で社員教育を担当した後、会社の正義と社会の正義の狭間で苦しみ、人として生きている意味を見失った。32歳で退社後インドを放浪、帰国して阿蘇外輪山の小国郷に移住、41歳と43歳の2度、40日を超える断食を敢行、人としての小さな光明を得たという。
そしてその後はさまざまな縁に導かれ、田舎での「七陶三農」生活を維持しつつ、多くの経営者のメンターとして信頼を集めているとのことだ。

人生を通して、「人とは、生きるとは」の答えを模索しつづけてきた結果ゆえに、その観点から発せられる、本書における数々の言葉は、実に奥が深いのだ。

こんなエピソードが本書で紹介されている。少し長くなるが以下に記す。

ある企業セミナーでの講義を終えた時のこと。五十代の工務店社長がやってきてこう言ったそうだ。

「あなたの言うことは頭ではわかります。あなたの言う通り、私は今まで自分中心の考え方で儲けることだけを考えてきました。だから急にお客様のためにと思っても、利を失う恐れの方が大きいのです。その一方で、自分の利益を得るために他の業者をいじめてきたことに少し疲れている自分もいます。今日の話は胸に響きました。家族が心配なく食べていけるだけのお金は貯めましたので、これからは相手の業者にも利益と信用を分け与える経営をやってみようと思います。」

その日から1年後。再びやってきた工務店社長は、
「あの日の翌日から言われた通り、ただ儲けるだけの考えをやめたら(信を選んでみたら)、なんとかえって儲かり始めた
のです。あなたの言葉は本当でした!とても驚いています!」

彼がやったことは、自分の取り分を少し少なくして、業者の方に少し多めの利益を渡したこと。すると、たちまち業者の方々の表情と仕事内容が変わったのだそうです。そればかりではなく、業者の皆さんが会社の宣伝まで担ってくれるようになったのです。

まさに戦わない経営、無敵の経営とは、こういうことを言うのだろう。

少しの利益に目が眩んで、信用を失ってしまうのか。利他の心で周りのためになり、信用を積み上げるか。
インターネットが普及して、悪い噂が口コミで一気に広がってしまう時代だけに、余計答えは明確である。

経営において、経営者の考え方=価値観が今ほど重要な時代は、かつてないのではないか。本物の経営とは。本物の経営者とはを、本書であらためて考えさせられた。



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