アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

消費社会が失った“つながり”を『食』を通して取り戻す。

もと岩手県議会議員にして現在は社会起業家の高橋博之氏が書いた「だから、僕は農家をスターにする~『食べる通信』の挑戦」を読んだ。



いやぁ、世の中には凄いやつがいるもんだ、これが素直なファーストインプレッション。読みながら感心すること、数知れず。
発想といい、実行力といい、まさにこれから世の中が向かっていく方向をきっちりと見据えている。日本全国見渡しても、数少ない貴重な存在が高橋氏であることは間違いないだろう。

経歴もユニークだ。
もともとライター志望でありながら就職先が見つからず、たまたま知り合いの紹介で議員を手伝ったきっかけで、30過ぎて議員を志したという。その初当選までの道のりも独特で、どの党にも属さず故郷に帰り辻立ちすること数百回。最初は見向きもしてくれなかった人たちが少しずつ心を開いていく。その地道な行動の先に、32歳での県議会議員初当選が待っていたのだ。

しかし、ここまでの話は導入のほんのエピソードに過ぎない。
本題は、大震災後の大変な状況に接し、いても立ってもいられず、議員を辞し岩手県知事選に挑戦したものの落選したことから始まる。

彼が考えたのは食による地域再生。そして形になったのが『食べ物付き情報誌』だった。食品のネット通販で小冊子が付いてくるものは世の中に数多ある。しかし、情報誌の付録として新鮮な食材が付いてくる。まさに逆転の発想だ。

東北の生産者と都会の消費者を情報誌を媒介としてダイレクトに結ぶ。それもただ結ぶだけでなく、生産者個人の思いや生産物の裏側にある物語を徹底的に表に出し、生産者と消費者の共感ベースの関係を作る出すのだ。いや、生産者と消費者という関係を超えて、未来の食を共に考える仲間という立ち位置なのかもしれない。

今や、高橋氏の取り組みは「東北食べる通信」をきっかけに、そのウェーブは日本全国に広がっている。

高橋氏の取り組みは、なぜここまで受け入れられたのか?

それは1にも2にも、一次産業に対する高橋氏の危機感。心血注いでもなかなか報われない生産者の現実をなんとかしたいという思いだ。そして、そんな思いを心から受け止めてくれる消費者が予想以上に多く存在したということに尽きる。

食に限らず、生活のあらゆる局面で、成長ありきの資本主義が綻び始めている。しかもそのスピードは加速し音を立てて崩れ始めているといっても良いのではないか。その象徴的な事実を、本書で垣間見た気がしている。

大量生産大量販売が通用しなくなった今、何が大切で何が正しいのか、ビジネスに携わる者、とりわけ資本主義発展の一翼を担った広告関係者は襟を正して考える必要があるのではないだろうか。私にとって時代のパラダイムシフトをあらためて実感した貴重な1冊になった。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://adrunner.blog38.fc2.com/tb.php/1439-eb42dd29
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。