アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

企業の新たな価値を創造する。それがデザインマネジメント。

慶應義塾大学大学院特任教授にしてエムテド代表の田子學氏が書いた「デザインマネジメント」を読んだ。



この本、私が経営者に読ませたい本としては、今年発売されたものの中でも間違いなく5本の指に入る、それくらい内容の濃い本である。

そもそも、デザインマネジメントとは何か?ほとんどの人が素朴な疑問として抱くところではないだろうか。

田子氏は、そのデザインマネジメントを「デザインを経営の根幹に据えた経営手法」と定義する。

デザインというと、グラフィックデザインやプロダクトデザインとイコール、という感覚を持つ人は未だ多い。
しかしそれはかなり偏った考え方であり、既に相当過去の価値観だ。ここ最近の解釈は、経営に直結する重要なものなのである。

言ってみれば、デザインを中心に据え、新製品開発や新規事業の戦略を一本筋の通ったシナリオで一気通貫するマネジメント。
まさにデザインマネジメントは経営者マターなのであると、あらためて教えられる。

それではなぜ今デザインマネジメントなのかであるが、商品のコモディティ化、つまりどこが作っても似たような商品ができあがり、商品やサービスでの差別化が難しくなったという時代背景がある。
同じようなものであれば、低価格競争に巻き込まれることは必然だ。企業は新たな価値を求めていかなければ生き残れない時代になった。そこでデザインマネジメントの出番というわけだ。

ただし、デザインマネジメントは決して打ち出の小槌ではない。自身の浅はかな経験で言っても、まずはデザインを価値として認められる経営者または経営陣の存在が重要になる。
本書でも「デザインのことはよくわからないから」という経営者の話が出てくるが、田子氏は、そんな経営者は言語道断だという。

そんな田子氏、大学卒業時は東芝のデザインセンターに入社、家電セクションに配属された。
そして入社5年目にスェーデンのエレクトロラックスとの共同デザインプロジェクトに参加、エレクトロラックスのデザインフィロソフィに触れたことが今日の自身の価値観を築くきかっけになった。単なる見た目ではなく、デザインの本質を問われる日々、日本とはまったく違う「なぜ?」の繰り返しだったという。

その後は、独立前に提携したamadana、独立後の鳴海製陶の「OSORO」、キョーワナスタのランドリープロジェクトなど、実際の仕事で企業と組むことで自身の「デザインマネジメント」の考え方をブラッシュアップしていった。
そのあたりの経緯、体験談はは本紙で多くのページを割いて紹介されているが、「なぜ今デザインマネジメントなのか?を」知る上で格好の具体例であり、経営メソッドの刷新に大いに参考にできる。

田子氏は、デザインマネジメントを推進するのに必要な要素を、

「ロジック」=本質を見つめ直しりフレームする
「センス」=知覚を統合して知性を持って表現する
「ラブ」=数値化できない人間の本質に迫ること

と考える。

つまり、左脳か右脳か、論理か感性かという話ではなく、要はバランスであり、すべての原点は、それを実現したいという強い想い、そして何より向上心と探究心が重要になってくるという話だ。

アップルしかり、アウディしかり、ダイソンしかり、デザイン性に優れた製品はそのバックボーンに必ずと言ってよいほど、優れたデザインマネジメントが存在する。
日本の企業にはイノベーションが生まれない、そんな話がそこかしこで聞こえてくるが、デザインマネジメントはまさにその有効な解決手段のひとつとも言えるのではないだろうか。

それほど奥が深いのが「デザインマネジメント」なのである。

テーマ:徒然なるままに… - ジャンル:ブログ

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://adrunner.blog38.fc2.com/tb.php/1395-ccccbb3a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad