アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

人は動かされるものではなく、自ら動くものである。

田端信太郎氏と本田哲也氏の共著による「広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。」を読んだ。



今の時代、広告やメディアで人を動かすことが難しいとしたら、はたしてどのように動かせば良いのか、それが本書のテーマである。

そもそも何故動かせなくなったのか、それがわからなければ、打つ手もないはずだ。

それに対して、2人は明確な答えを用意している。

いちばんの理由。それはメディアの主導権が、テクノロジーの進化により、発信側から受信者側に移ってしまったからだという。

その背景には、情報流通量の爆発的な増加がある。
実際に、生活者が1日に消費できる情報量はほんのわずか、想像以上に少ないと言っても過言ではない。
つまり、ほとんどの広告メッセージは素通りしてしまうことになる。

この状況を2人は選挙演説を例に、こんな風に説明している。

現代のメディア環境は、例えて言えば、街を歩く人が、スマホで好きなコンテンツを眺め、耳にイヤホンをして、目の前の選挙カーのメガホン越しの演説にも気がつかない状況。

それではどうしたら良いのか。

これからは選挙カーから降り、有権者と同じ地平に立ち、「演説」ではなく、「会話」をする姿勢が重要であると。
そもそも演説ではなく会話であるから、一方的なものではなく、コントロールもできない、ここがポイントだ。

さて、そんな観点から本書では心を動かすメディア選択を、動かしたい人数に応じて、ゴルフクラブの選択に置き換えて説明している。

たとえば、1000人を動かす場合。

1000人規模だとメディアは必要なく、ピュアな情熱だけで十分だと。ただし、情熱を支えるミッションが重要になる。
シンプルで単純な動き、さしずめゴルフに例えるならパターだ。

こうして、1万人、10万人、100万人、1000万人、1億人と、クラブ選択を変えて行くことになる。

この例えは非常にわかりやすく、記憶にも残りやすいという点で、メディア特性を説明するのに現時点では最良の方法と言っても良いのではないか。

結論、適切なメディア選択ができれば心を動かすことができる!

しかし…残念ながら、それほど現在のコミュニケーション環境は複雑で甘くはない。

それ以上に大切なことは、商品やサービスそのものに価値があるかどうか。

それがなければ、どんなにメディア選択が適切であったとしても、またどんなにお金をつぎ込んだとしても、心を動かすことは不可能だ。それだけは肝に銘じておきたい。

本書を読んであらためて思うこと。

それは、売ることと心を動かすことは決してイコールではないということ。

むしろ心を動かすためには売らないという逆説的な発想が重要になる。
売ると売れるは似たような表現だが、意味合いは180度異なる。
心を動かすとは、簡単なようで奥が深い。だからこそ、本書が存在する意味があるのかもしれない。

テーマ:徒然なるままに… - ジャンル:ブログ

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