アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

その時、できませんと言えるだろうか。映画「ハンナ・アーレント」を観て。

名古屋シネマテークで映画「ハンナ・アーレント」を鑑賞した。

ハンナアーレント

昨年の岩波ホールの上映から静かなブームとなり、中高年が劇場に殺到しているという。
名古屋でも年末に上映されていたが、どうしてもタイミングが合わず見逃してしまっていた。
そんな忸怩たる思いを抱えている最中に知ったのが今回のアンコール上映である。

上映が今週金曜日まで、しかも1日1回ということもあり、予想通り本日も超満員。
前述の通り50代、60代のシニア世代の夫婦が多く押し寄せていた。

さて肝心の映画の内容だが、ドイツ系ユダヤ人の哲学者、ハンナ・アーレントという女性を描いた実話だ。

映画は1960年代初頭、ナチス親衛隊の将校で、数百万人ものユダヤ人を収容所へ移送したというアドルフ・アイヒマンが逮捕されたことから始まる。

自身も収容所体験を持つ哲学者ハンナ・アーレントは、彼の裁判を傍聴し、ニューヨーカー誌にレポートを書くわけだが、この裁判でのアイヒマンの発言を聞いたところ、実は彼が残虐な殺人鬼ではなく、ヒトラーの命令を受けて動いただけの〝平凡な人間〟なのではないだろうかと感じた。そしてアーレントは、そんな正直な想いをレポートにまとめる。
しかしながら、そのレポートは自身の想定以上の反響を呼び、世界中で大批判が巻き起こった。
勤務する大学からも追放を余儀なくされたが、そんな状況で、作品のラストに据えられた、学生に向けた信念の8分間スピーチが始まる…

アイヒマンの言葉『自発的に行ったことは何もない。善悪を問わず、自分の意志は介在しない。命令に従っただけなのだ』

その言葉を聞いたアーレントはいう。
「世界最大の悪は、平凡な人間が行う悪なのです。そんな人には動機もなく、信念も邪推も悪魔的な意図もない。人間であることを拒絶した者なのです」

極限の状況にあり命令者はかのヒトラーである。そんな状態下で果たして「できません」と言えるだろうか。
それこそが、本編で一貫して展開されるテーマなのだ。

企業不祥事が後を絶たない。不幸を背負わされ、それを誘発させるのはまさにアイヒマンのような思考を停止してしまった企業人だ。

自分がその立場に置かれたとしたら果たしてNO!と言えるか…ここにこの映画が中高年の胸を打つ理由があるようだ。

世間に媚びないどっしりとした厚みのある映画、2度3度と観たくなる、しかも観るたびに新たな発見があるだろう、
久々にそんな“名画の条件を備えた”映画に出会ったような気がしている。

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