アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

ピンク氏の最新刊、テーマはセールス。さて「売らない売り込み」とは?

ベストセラーマーケティング書の著者、ダニエル・ピンク氏が書いた新刊「人を動かす、新たな3原則」を読んだ。



副題に“売らないセールスで誰もが成功する!”とあるように、今度のピンク氏のテーマは、ずばりセールス。

ピンク氏いわく、100年の間、自動車販売に代表されるように綿々と続いてきたセールスのあり方が、ここ10年で大きな変貌を遂げている、と。

それでは新しい時代のセールスとは、一体どんなものなのだろうか?

それは、ひと言でいうと「売らない売り込み」~購入行為に誰ひとり関与せずに、他人を説得し、影響を与え、納得させること~
ピンク氏とそのスタッフの調査では、職場で過ごす40%がこの行為に充てられているのだそう。古いタイプのセールスマンが淘汰され存在が少なくなっていると思っていたら、実は働く人のほとんどが何らかの形でセールスマンの役割を担うようになってきているらしいのだ。つまりセールスマンは死んだわけでなく、形を変えて増殖しているというわけだ。

経営者やマネージャーがこの変化を捉えられないと、旧来の売れないセールスを未だに続けて、悪循環に陥るという愚行を犯してしまう。

本書では、この“売らない売り込み”の極意を、価値観の変化の必要性から具体的な手法、組織・リーダーシップのあり方など、余すところなく紹介してくれている。

本書でその中心的な考え方として多くのページを割いて展開されるのが、新しいABC3原則。

古いABC3原則、それはピンク氏に言わせると「Always Be Closing=必ずまとめろ契約を!」だった。
対して新しいABC3原則は、「Attunement=同調、Buoyancy=浮揚力、Clarity=明確性」
英語に馴染みがないと少しとまどうが、日本語の意味で伝えたいことのおおよそは理解できる。

昔は何が何でも契約書に判を押させることが目的で、クロージングの能力に長けた人が有能なセールスマンと位置づけられた。しかし現代ではその資質が大きく変わってきている。その資質を端的に表わしたものが、先のABC3原則となる。

同調=他者や集団、背景との調和をもたらす力。
浮揚力=精神的強靭さと楽観的見通しを併せ持つ力。
明確性=当事者も気づいていない問題を発見し、明らかにする能力。

詳しくは本書を読んで頂きたいが、どの能力も古いタイプのセールスマンには備わっていない能力だと言う点が象徴的だ。
ある意味、セールスマンらしくないタイプこそ、これからのセールスマンに必要な資質を備えており、新しい時代の有能なセールスマンなのである。

本書の最後に登場する、マネジメントの変化を象徴する「サーバントリーダー」の記述も興味深く読んだ。

サーバント、すなわち奉仕するリーダー。
上から社員を鼓舞し強引に引っ張っていくタイプではなく、下から部下を支え、納得をベースに働きやすさを支援するタイプの静かなリーダー。セールスのあり方とリーダーシップは表裏一体であるだけに、ここにも企業の変化すべき方向が見てとれる。

昔からのセールス手法に“アップセル”という考え方があるが、ピンク氏に言わせると、“アップセル”ではなく“アップサーブ”となる。セールストークでより高いものを買わせるのではなく、もっと相手のためになるよう尽くすという考え方。

大切なこと。それは、セールスとは売るのではなく、人を動かすこと。
売れるとは、相手のためになった、その結果なのである。

考え方を変えれば、行動が変わり、結果が変わる。
となれば、いちばん大切なのは、価値観を変えることだ。
本書は、社員総セールスマン化の時代の、新しいセールスのあり方を明確に教えてくれている価値ある1冊である。

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