アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

プラットフォーム上でいかに「顧客体験」をデザインできるか。ブランディングは新たな次元に。

川上慎市郎氏と山口義宏氏の共著である「プラットフォームブランディング」を読んだ。



著者のふたりによれば、ブランド論は「アート」と「サイエンス」のふたつの面からアプローチすることができるが、これまで数多くの書籍で論じられてきたブランド論は、ほとんどが前者の「アート」面からのものだったという。「アート」であるからどうしてもプロの経験と勘が物をいう世界になりがちで、なかなか体系的に形式知化することが難しく、伝承しにくいという問題を抱えていた。

本書はそんなブランドの「アート」面を極力排除し「サイエンス」面にフォーカスし形式知化に取り組んだもの。その点で言ってもまずは貴重な1冊であるといえる。

ブランドというと、とかく誤解も多く正しく理解されていない。
著者たちは、その誤解を次の3つのポイントでまとめている。

誤解1:ブランドは広告で形成するイメージである。
誤解2:ブランドとは高級品のことである。
誤解3:ブランドとはCI、つまりネーミングとロゴである。

ここまでくると誤解というより間違いと言った方が正しいかもしれない。

特に誤解1においては、大手広告代理店がマス広告セールス中心の業態に長らくあったこととも関係が深そうだ。
ブランドを作るにはマス広告が切っても切れない関係にある、そんな刷り込みが功を奏した結果だろう。
それだけに、ブランドの本質が理解されるには、まだまだ時間がかかりそうである。

さて肝心な本書のメインテーマであるが、
何かと誤解が多いブランドを、イメージではなく「体験のプラットフォーム」として再定義する、というもの。

プラットフォームといえば、Amazonやアップルの成功例が有名であるが、その成否を左右しているのが、単に物をうるのではなく、あらゆる顧客接点においての共通した「顧客体験」の提供にある。プラットフォームはまさに「顧客体験」を提供する場でもあるのだ。

さらにこの先においては、プラットフォーム上へいかに顧客の参加を促し共創を進めることができるかも重要なポイントになってくるだろう。

モノだけの差別化が難しくなった今、ますます「プラットフォーム」の考え方がブランドに影響を与えるようになることは間違いない。

プラットフォームを征する者が闘いを征する。そういう意味ではプラットフォームを活用したブランディングの考え方は、企業ブランディングが新たな次元に入ってきていることを予感させる。
プラットフォームをいかに作るか、プラットフォームをいかに維持し拡大させていくか。その戦略、方法論、参考にできる点も多く、私にとっては価値のある1冊となった。

テーマ:徒然なるままに… - ジャンル:ブログ

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