アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

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マスマーケティングの対極にあるムーブメント・マーケティング。旧来型のアドマンは180度の価値転換が必要。

グローバルマーケティング/広告代理店「ストロベリー・フロッグ」のCEO、スコット・グッドソンが書いた「ムーブメント・マーケティング」を読んだ。



グッドソン氏によれば、ムーブメントとは社会的・政治的・文化的な運動や活動を指す。従って、ムーブメント・マーケティングは、ムーブメントを利用して、企業への共感や好感を獲得する行為といえるであろう。

特徴的なのは、ムーブメント・マーケティングはあらゆる面において、従来のマスマーケティングの対極にあるということだ。

グッドソン氏は、こんな言い方で違いを表わしている。

ここに新製品の携帯電話がある。

「この新製品を買ってもらうためにどうすればいい?この製品独自の売りは何なのか?この新しいボタンだ。では、それをどう売り込むのか?」これが従来の考え方。

しかし、ムーブメント・マーケティングではこう考える。

「今、この世の中で何が起こっているのか?消費者は今、何を考えているのか?どんなことに今日的な意義があるのか?」

ご承知の通り、ほとんどの商品やサービスはコモディティ化しつつある。なのに、消費者が興味が無いのにかかわらず未だ商品の特長を一方的にメッセージしている企業がいかに多いことか。そんな状態ではメッセージが伝わるよしもない。

それより、今消費者が興味を持っていることに商品やサービスをアジャストさせるほうが、よほどメッセージが伝わりやすい。

ただし、問題点がある。消費者が主役である以上、もはや企業の側では情報や伝わり方をコントロールできないということだ。価値観を変えない限り、一時的にムーブメント・マーケティングを採用しても長続きしない。それどころか、企業のウソが簡単に見抜かれてしまう。

大切なのは、ブランドの理念と繋がっていること。
何を伝えるか?どのように伝えるか?よりも、なぜ伝えるのか?なぜ、その商品・サービスを提供するのか?が明確になっていなければならない。

グッドソン氏は、ムーブメントマーケティングの特徴を、指図するのではなく耳を傾けることにあるとも言っている。

確かにマスマーケティング全盛期は、より多くの人にいかに効率よくメッセージを届けることができるかが最重要課題であった。リラックスした状態にいきなり土足で踏み込むような一方的なもので、相手の状況など一切おかまいなしだ。

当時はインターネットもない状態。一方的なメッセージであっても情報が少ないために受け入れざるを得なかった。というか、むしろ積極的にマス情報を享受していたのである。

しかしインターネットが普及してソーシャルメディアが進化してくると、企業からの雄弁な一方的なメッセージは嫌悪感、不信感さえ抱かれるようになった。

以上の状況を総合的に鑑みて、マーケターは180度価値観を変えなければならない時代になったのである。

そのあたりを適切に書いた記述があるので、やや長文になるがここに引用する。

デジタルテクノロジーとソーシャルネットワークのおかげでマーケティング担当者は、大衆の声に耳を傾けようとすれば、いくらでも会話の中に入ることができる。しかし、その会話の輪を乗っ取ろうとしてはならない。それこそまさに、これまでのマーケティング担当者がしてきたことだ。それではうまくいかない。こうした媒体においては、大衆こそが主役なのだ。だが企業は、そんな会話の輪の中に、大衆にとって有益なものを提供することができる。役に立つもの、関心のあるもの、参加・共有したいと大衆に思わせるものである。それを提供することに成功すれば、大衆が企業の“メディア”になってくれる。企業のかわりにメッセージを伝えるだけではない。メッセージを広めるためのコンテンツさえ提供してくれるようになる。

以上。

現在の企業コミュニケーションを端的に言い表している。ここを理解できるかどうかがマーケティングの成否を分けると言っても過言ではない。

本書では、ストロベリーフロッグが手掛けたものを中心に、ムーブメントマーケティングの実例が豊富に紹介されている。

実例を知りつつ、ムーブメントマーケティングの概念を理解することで、自身の価値観を変えられれば、グッドソン氏の狙い通りということなのだろう。

しかし、しかしである。広告業界で長年培った常識はそう簡単に変えられるものではない。
そういう意味では業界歴が浅い人の方がムーブメントマーケティングの考え方は相性が良いのかも知れないと思えてくる。

本書、間違いなく広告会社の本質的な問題点と新たな可能性について、非常に示唆的であり、実に刺激的な1冊だった。今まさにマスマーケティングの壁に当たっているなら、新たなブレイクスルーとなるきっかけとして、ぜひ本書をおすすめしたい。

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