アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

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競合プレゼンからは「幸せな広告」は生まれない。

CMディレクター、今村直樹氏の書いた「幸福な広告~広告ディレクターから見た広告の未来」を読んだ。



本書は、今村氏が50代半ばにして早稲田大学大学院に学んだ際の卒業論文を基に書かれている。

「効果的な広告は信頼から生まれる」が今村氏の中心テーマ。

中でも特に多くのページを割いているのが、広告主のリーダー(=社長)と制作者のリーダー(=クリエイティブディレクター)との信頼関係の重要性だ。

その代表例として登場するのがソフトバンクの孫社長とシンガタのクリエイティブディレクター佐々木宏氏の関係。犬のお父さんが登場するCM。SMAPが登場するCM。いずれも解説の余地がない国民的CMといってもいい存在だ。

その他にも、キューピーとライトパブリシティの秋山晶氏、いいちこの三和酒類と河北秀也氏など、数十年も同じコンセプトで続いている広告は信頼関係なくしては成り立たないと、あらためて取材を通して今村氏は語っている。

広告主と制作者の信頼関係。
言葉にすればシンプルであるが、広告業界においてこれほど深く難しいテーマはないのではないだろうか。

その信頼関係を阻む最大の問題が、競合プレゼンというシステムだ。

ほとんどの場合、短期での成果を求めて数社に提案を求めるというもの。
プレゼンに通るためには、決定権者の好みを知らなければと、本来向き合うべきのユーザーを蔑ろにして情報合戦が始まったりするのだ。さらにインパクト重視、話題性重視と、持てる力をこれでもかと駆使する。通った時には疲れきっている状態だ。さらに修羅場をくぐって通ったとしても半年も経たないうちに次のプレゼンが待っている場合もある。

ジャッジする人間に深い思慮があれば別であるが、これでは、広告主にとっても制作者にとっても「幸福な広告」などできあがるはずがないだろう。

また今村氏のようなCMディレクターの場合は、決定した企画に対して参加する場合が多く、本書の中でも言っているとおり「はじまる前に終わっている」という状況もありえるのだ。

さて50代半ばにして大学院の学生になるという一見回り道のような選択をした今村氏であるが、この1年が今村氏のその後の人生を大きく変える転換点となったようだ。

今は現役のCMディレクターの傍ら、東北芸術工科大学映像学科の教授に就任したとのこと。
研究のための取材を通して、新たに地域活性化のための広告と言う新たな課題も見つかった。

広告の未来。言われるほど悪いものではないのではないかと本書を読んで意を新たにした次第。

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