アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

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パソコンもかなわない、老スカウトマンの“耳”の力。

クリントイーストウッド主演「人生の特等席」を観た。

「地位でも権力でもお金でも手に入れることができない、人生の特等席とは」がテーマ。

人生の特等席

アメリカ大リーグの老スカウトマンを演じたイーストウッド、彼の一見枯れたように見えながら内側に熱を秘めた演技は相変わらず健在だった。

科学的データ全盛の大リーグ。
パソコンでデータ分析ができないこと自体でもスカウトマン人生の岐路に直面しているのに加え、衰えた肉体に失明の危機が襲う。老兵は静かに立ち去るのみというのが世間の常識だろう。

ところがである。彼には長いスカウト人生で培った、ボールが放つ微妙な音を聞き分けることができる独特の「耳」という財産があったのである。

キャッチャーミットに吸い込まれる時の音。バットに当たった瞬間の音。ピッチャーの指を離れる時の音。
いわゆるこうした感覚に近いものは、どんなに優れたパソコンの分析力を持ってしても比較することは不可能だろう。

現場で培われた彼のこの感覚と、幼いころからこの父に鍛えられた娘の観察力が、スカウトマンとして再び輝きを放つことになる。

この映画で学んだことはいくつもあったが、いちばんは「本物のキャリアとは歳を経るとか環境が変わるとかそんなことぐらいでは色褪せない」ということだ。

1万時間の法則というものがあり、何事も1万時間以上費やさないとプロフェッショナルにはなれないと言われるとおり、本物のキャリアとはまさにそういうものだろう。

この映画では、この老スカウトマンの「耳」がそうだ。


耳に関して言えば、私自身30年の広告業界のキャリアで少しだけ自慢できることがある。
それはCMのナレーションや音楽の微妙な差異を聞き分けられることだ。

特にナレーションは、企業や商品の代弁をする役割となるわけで、声に勢いがあるか、思いが込められているか、その少しの違いがCMそのもののパワーを大きく変えてしまうことになる。

だからこそ、ナレーション録りには妥協ができなかった。
今にして思えば、自分の世界に入り過ぎるあまり、ナレーターの皆さんにはその気持ちが伝わらず、ずいぶん不快な思いをさせていただろうと申し訳なく思う次第。

振り返ってみると、私の耳もアナログ時代から1000本を超えるラジオCMのディレクションの現場で磨かれたものだった。

今その場を離れてみて、そのキャリアをもっともっと大切にすべきだったと、ただただ自身の弱さをふがいなく思うばかり。

歳をとるとは、単に年数が経つことでなく、良い歳を積み重ねることでなければならない。キャリアも同様だ。

イーストウッドの積み重ねた人生は、この映画の老スカウトマンのように間違いなく鮮やかな年輪を刻んでいる。少しは爪の垢でも煎じて飲みたいものである。

テーマ:徒然なるままに… - ジャンル:ブログ

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