アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

小さな会社こそ、ブランディング。

中川政七商店十三代目、中川淳氏が書いた新刊「老舗を再生させたい十三代がどうしても伝えたい、小さな会社の生きる道。」を読んだ。



中川政七商店は、この近くだとタカシマヤ11階、三省堂書店前に「遊 中川」という店舗を構えており、知っている人も多いだろう。

本書では、創業300年の歴史を誇る自らの会社を見事再生させた実績をもとに、中小企業5社にコンサルタントとして係わった実例を紹介している。

中川氏のコンサルティングは「モノを売る」という考え方ではなく「ブランドをつくる」という考え方。

中川氏はマーケティングとブランディングの違いを端的にこう表現している。

マーケティング=市場起点
ブランディング=自分起点

市場を分析して穴(ブルーオーシャン)を探してポジションを取っていくのがマーケティング。
対して、まず自分たちが何をやりたいかどんなものを作りたいかが先に来て、その後で自分たちの市場におけるポジションを認識するのがブランディング。
やるべきことは同じでも何を起点にするのかが全く違うと中川氏。

さらに中小企業にはブランディングの方が方法論としては合っているとも言っている。
なぜなら中小企業の場合、お金をかけることができないので高度な市場分析ができないから。
そして、それほど大きなポジション(=売上規模)を取る必要がないからというのが中川氏の主張である。

問題は、「自分のやりたいこと」が知らず知らずのうちに「儲けること」になっていってしまうこと。
こうなると、ブランディングがマーケティングになっていってしまうから注意が必要だそうだ。

中川氏の手掛けた5社の実例の端々からも読み取れるが、ブランドづくりには経営者の覚悟が必要である。覚悟とは、こうと決めたらひたすら続けること。そして、捨てるものを明確にすることだ。もちろん最終的には会社を継続させるためには利益が必要になるが、手っ取り早く利益を求めると売りに走る。売ることを考えるとどうしても過去の成功体験にこだわり過ぎたり、アイテム数を無駄に増やそうとしたりする。そのあたりを覚悟を持ってばっさり捨て去ることができるか。その覚悟の度合いにブランディングの成否はかかっているといっても過言ではない。

さて中川氏のブランディングの考え方であるが、その他のコンサルタントと明らかに違うことは、中川氏が現在進行形のブランディングを実践する会社、中川政七商店の社長であることだ。自身の会社で社長として実践した目線で、かつての自身と同じ悩みを抱える会社のブランディングを考えることができることは信頼も大きい。

もうひとつ、中川氏のこだわりは、クリエイティブな部分には徹底的に一流のクリエイターを据えること。
あらゆる顧客接点で目に触れるロゴやパッケージはブランディングを大きく左右する要素であるからだ。
ここで予算を削ったり妥協したりするとすべてがご破算となってしまう。そこを中川氏はよくわかっている。

ブランディングの本というと、とかく理論が先行しがちだが、本書はその点非常に実践的で自身の会社にも応用しやすいわかりやすさが特長だ。一見遠回りに見えるブランディングこそ実は小さな会社を再生させる最大の近道、そう確信できる1冊である。

テーマ:徒然なるままに… - ジャンル:ブログ

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