アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

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映像の伝えるチカラ。そしてあまりにも知らなかったという現実。岩井俊二「Friends after 3.11」を観て。

過去に観た日本映画(あまり観ませんが…)で印象に残るシーンは?と尋ねられたら、私の場合間違いなくこの映画のこのシーンを挙げる。

岩井俊二の「花とアリス」。そう、蒼井優が紙コップをトゥシューズに仕立てバレエを踊るシーンだ。



まだまだスポットライトを浴びていない時代の蒼井優の瑞々しさはもちろん、岩井の創る映像の美しさも相まって、永遠に心に余韻が残る素晴らしいワンシーンとなった。

その岩井俊二は宮城県仙台市出身、東日本大震災以降脱原発をNEVERな事としメガホンをとったのが、このドキュメンタリー映画「Friends after 3.11【劇場版】」。



この映画と花とアリスを対比すること自体不謹慎であると承知で、彼の映像の「伝わるチカラ」について、書き留めておきたい。

登場するのは、いずれも脱原発を志向する人たち。昔からの友人、新たに知り合った友人もいる。
彼らを岩井が淡々と取材し、「日本の未来に対してなぜ脱原発が必要なのか」、彼なりの答えに集約させていく。

「伝えるべきメッセージをいかに伝わるものに変えるか」。
エンターテイメントでもドキュメンタリーでも、変わらず一貫しているのが彼の凄いところ。

震災の傷跡が生々しい現場のシーンを美しいというのはまったく不謹慎であるが、それほどに岩井の撮る映像はどこまでも美しい。しかもその美しさが作られたものではないだけに、かえって事実の本質をえぐっている気がして心に突き刺さるのかもしれない。

しかも彼が投げかけるメッセージはシンプルで痛烈だ。

電力会社とマスコミと政治家が三つ巴となってひたすら進めた原発推進。
金と欲を前提とした成長という以外何もでもないと静かに訴えている。
マスコミを押さえるために電力会社7社が投入した媒体費は、年間トヨタの2倍にも及ぶという。
重要なのはお金でほっぺたをたたかれ誰もNo!といえない、そんな構造が長年維持されていることだ。

私のような元広告関係者であっても、心が痛くなる。

終盤、渋谷の路上で展開される超長回しのFRYING DATCHMANの反原発メッセージソングは、まさにそんな三つ巴の状況を痛烈に歌っている。
周りの人の冷めた表情との対比が、事の複雑さを伝えていて印象に残った。

映画館に入る前と観終わって映画館を出た後の景色が180度違って見えるという体験は久しぶり、
それほど心に刻まれる映画となった。

大震災、そしてその後の原発事故。まだまだ進行中であり決して風化させてはいけない。
しかし行動に移すうんぬんより、もっと問題なのは、私を含めおそらく事実を知らない人があまりにも多いいということだ。そのことでマスコミが責められるのは当然である。

マスコミですら伝え切れていない難しいテーマだが、岩井の演出で観やすく、考えるきっかけを与えてくれるものに変わっている。そういう意味では岩井が撮ったこの映画の意義は大きい。

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