アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

「ものつくり」論で見た日本の弱点。サムソンと日本企業の違いとは。

HY研究会を主宰するふたり、畑村洋太郎氏と吉川良三氏が書いた「勝つための経営」を読んだ。



勝ち負けは重要ではあるが、勝ち負けにこだわりすぎると本質を見失う。
そういう意味で、この手のタイトルには以前にも書いた通りやや違和感があるが、内容は現在の日本の製造業が置かれた立場を的確にとらえている。
さすが日本の製造業を長い間見てきた70代の著者ふたりならではと、その説得力に頷かされる点も多かった。

さて先日発表された今期の決算。その中で電機産業の不振が目立った。
なぜそのような状況に陥ったのか、本書ではその理由を明確に教えてくれている。

製造業=「ものつくり」産業と言われるが、本書によれば「ものつくり=もの+つくり」と分解されるそうだ。
70年~80年代世界を席巻した日本のものつくりの最大の特長はこの「つくり」にあった。

この時代の「つくり」とは誰かが考えだした製品をいかに上手に作るかに重点を置いたもの。
生産技術に磨きをかけ、良質で安価なものを大量に生産できた。そこに日本の最大の強みがあったのだ。
電化製品や自動車はその代表例で、アメリカでは日本車の不買運動も起きたほどである。

しかし、その技術にこだわるあまり、そして90年代以降の戦略の過ちも伴い現在のガラパゴス化に至ってしまったことは皮肉な結果だ。

特に日本が存在を見失ってしまったのが2000年以降、「デジタルものづくり」の流れに乗り遅れてしまったからだ。

デジタルものづくりとは、簡単にいえば設計から実際の量産までの設計情報をデジタル情報でやりとりすること。
その結果、設計情報さえあれば誰でも簡単に製造ができるようになった。
つまりは日本の企業がこだわってきた生産技術が、新興国でも簡単にコピーして拡げることができてしまったのだ。

さらに問題は、日本の企業体質が過剰な製品品質を求めること。
当然必要以上の品質を追い求めればコストに跳ね返ってくる。重要なのはそこまでの品質を求めていない消費者も多いということだ。

このデジタルものづくりと顧客志向・低コスト重視でこの10年急成長したのが韓国のサムソン電子やLG。

著者のひとり、吉川氏は1994年から10年間、実際にサムソン電子の常務として社内のシステム構築・組織改革に取り組んだ、まさに躍進の原動力となった人物だけにそのあたりの記述には説得力がある。

デジタルものつくりにより、「つくり」では競争優位性が持つことが難しくなった今、あらためて問われているのは「もの」そのものの優位性。その核となるアイデアでありクリエイティビティなのだ。
いうまでもなくこの象徴例として登場してくるのが「アップル」である。

「つくり」はすべて外部の会社。わくわくするような「もの」そのものに集中するアップルの考え方。

ものづくりの世界を熟知するふたりが提言する日本企業再生への道。
そのポイントは「秘伝のタレ=自社だけの強み」にあり、それをどう生かすかにかかっているそうだ。
秘伝のタレの活かし方に興味を持った方には一読をお薦めする。

テーマ:徒然なるままに… - ジャンル:ブログ

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://adrunner.blog38.fc2.com/tb.php/1204-0ad1c17d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad