アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

役割を終えた「マクドナルド型モデル」、絶頂を迎える「ディズニー型モデル」。そして「その先」へ。

オラガ総研株式会社代表、牧野知弘氏が書いた「2040年全ビジネスモデル消滅」の読後録。

2040年全ビジネスモデル消滅

この手の、タイトルで驚かせてページを開かせようとするテクニックには正直、辟易とするところがあるが、実際に読んでみると切り口は斬新、かつよく理解できるもので、筆者の分析はなかなかだった。


内容を簡単にいえば、
「マクドナルド型ビジネスモデル」と「ディズニーランド型ビジネスモデル」の対比。
片や質より量の代表、マクドナルド。片や量より質の代表、ディズニーランド。
前者のマクドナルド型ビジネスモデルは役割を終え、後者のディズニーランド型ビジネスモデルは相変わらず隆盛を極めている、さてその理由は?というところだ。
さらに、筆者には三井不動産に勤めていたという経歴もあり、不動産的観点からの分析も本書に厚みを持たせている。


さて。マクドナルドが日本でオープンしたのが1971年、ディズニーランドが日本にオープンしたのが1983年。
牧野氏はこの1971年を起点として、四半世紀(25年)を周期とする世の中の価値観(牧野氏は価値軸と言っています)の変化に照らし合わせて、マクドナルドの低迷とディズニーランドの隆盛を検証している。


牧野氏の分析はこうだ。

1971年から1996年=「量的充足」の時代。
マクドナルドが日本に上陸して存在時代が珍しかった時代を経て、日本全国くまなくマクドナルドが気軽に手にできるようになった時代。ちょうど日本の高度成長期からブバル崩壊までと言っても良いだろう。

1996年から2021年=「質的充足」の時代。
「安さ」が当たり前となったマクドナルドが長い低迷の時代に入っていったのに対して、ディズニーランドは物を売らず夢を売るわけで、ますますその存在を確かなものにしていく。

そして次は、いよいよ2021年からの四半世紀が始まるというわけである。

それでは、2021年からの四半世紀はどんな時代になるのか?

筆者は「ディズニーの夢がいよいよ解ける時」と予測する。

特に不動産は、高度成長期に郊外へ出て行った住宅が廃墟と化し、また都会のタワーマンションも価値が暴落し、一部の資産価値を持つ物件をのぞけば、二極化が顕著になり、2040年に向かっていく。
その頃には暴落した住居の空き家率化が30%を超え、人手不足を解消するために迎え入れた外国人がその空き家に棲みつきスラム化する恐れが多分にあると。

こうなると庶民が手に入れたマクドナルド型ビジネスモデルの住宅やマンションはほとんど価値がなくなり、こうして2040年くらいまでには、すべてのビジネスモデルが崩壊するというのが著者の論調である。

実際のところ、どうだろうか。2040年まで、あと23年。このところの技術革新のスピードを考えると、ビジネスモデルという概念自体がなくなっている、それくらいの変化はあって当然なのではないだろうか。

いずれにせよ、質的充足に対応できる企業は今まで以上に数は少なくなる。新たな時代の価値観にアジャストしてビジネスを成り立たせるのは容易ではない。

すべての企業で、これまで以上のイノベーション体質への転換がなにより求められている、本書を読んで、そんな思いがより強くなった。

スポンサーサイト

テーマ:徒然なるままに… - ジャンル:ブログ

【本ばかり読んでて実践しないなら、意味ないじゃん!】それでも本を読む理由とは。

私の読む本のほとんどが、仕事関係の本ということを知っていて、ごくたまに、そんな風に言われることがある。


なので仕事の本ということに限って、本を読む理由を書いてみる。


まずよく考えてみてほしい。
本は商品なわけだから、売れるようにそれなりに脚色されている。
当たり前の話だ。なので、そのまま実践したところで、大抵は本のようには上手くいかない。


ではなぜ、わかっていても、そんなに仕事の本を読むのか?


私の広告会社時代。
ナレーターの技量を示す言葉として「引出し」という言葉がよく会話の中に登場した。
渡されたナレーション原稿に対して、ナレーターが自分の中のどの「引出し」を開けるか。

すなわち「引出し」の数をたくさん持っているナレーターが、レベルの高いナレーターというわけなのだ。
そして、この引出しを数多く持つことは案外と難しい。


私が本を読む理由もこれに近いものがある。

広告やマーケティングの世界では、商品やサービスを売るための導線を考えることを「コミュニケーション設計」と言ったりするが、まさにその際に求められるのが、先に挙げた「引出し」の数なのではないだろうか。

なので、コミュニケーション戦略と考えれば、すなわち引出しの数は「武器」の数と言えなくもない。


話をもとに戻そう。特に今、なぜ仕事の本をたくさん読むのか?

現代はマス広告以外にSNSとかも登場して、マーケティングコミュニケーションは、より複雑に、より多層になってきている。


なので、コミュニケーションを考える際には、あらゆるケースを想定して「引出し」の数は多ければ多いほど、戦略の精度は上がるというのが、今の私の考え方だ。

数が少なければその逆、特にネットへの理解が薄ければ提案そのものが片手落ちにもなりかねない。
だからこそ知っていた方が良いこと、知っておかなければならないことは、ますます増えているのだ。


それゆえに、あくまでそのまま実践するのではなく、実践するためのシミュレーション材料として情報を持っておくに越したことはない、というのが今の私の「仕事の本を読む理由」なのである。


ただ冒頭にも書いた通り、情報に振り回されてはいけない。
本の中の盛られた部分は自らのフィルターで濾過できるだけの冷静さ、知見が求められる。


とかなんとかいっても、今のところ、私の「引出し」はあまり使われていないのは事実(笑)

それでも、その日に備えて、今日も本を読むのです。

テーマ:徒然なるままに… - ジャンル:ブログ

「中小製造業・逆転のブランディング」、中小企業にとってブランディングとは。

宇土寿和氏が書いた「中小製造業・逆転のブランディング」を読んだ。

逆転のブランディング

中小企業にとって、ブランディングは永遠の課題である。なぜなら大抵の場合、小回りが効くことが強みであって、臨機応変という言葉が往々にして中小企業の本質的な強みを見えなくしてしまう。一貫性を持って顧客接点を考えるほどの余裕もない。

そんな状況にあって、著者、宇土氏の会社がどのようにブランディングと取り組んだか、とても興味深く読んだ。

宇土氏は、旅行会社に勤めた後、旅行会社時代に縁のあったアパレル企業に転職。そして、その会社がニット製品を取り扱っていたこともあり、10年勤めた後に独立。自身でニット製品のメーカーを立ち上げる。

宇土氏曰く、独立後20年以上は赤字が続いたという。それがある時に起死回生の手段を思いつき、一気に黒字化に成功した。

その起死回生の手段とは?が本書のテーマであり、それこそ本書のタイトルともなっている「ブランディング」だった。

そのきっかけは20年間続いた赤字をなんとか解消するために選んだ手段。OEMでなんとか食いつないできたものの価格競争は収まるところを知らない。そこで考えたのは低価格の逆を行く、「高価格高品質化」。カシミアに特化してオーダー注文による消費者への直接販売の道を選んだのだ。ちょうどインターネット通販が急成長を始めた頃で追い風が吹いたことも幸運だった。

さらに、やむなく山梨にあった自社工場を岩手県の北上市に移したことも功を奏したという。それにより「被災地支援」を自社のPRに活用できたからだ。また同時にこの移転は「ご当地ブランド」を立ち上げることにもつながっていく。
このあたり、運が運を呼ぶ善循環に転換していったところも大きいように思う。

そして極め付けは、岩手県北上市の認知向上につながったということで、市から「ふるさと納税」の返礼品にどうかと声が掛かったこと。これが大反響を呼び、業績は大幅改善し、予想以上の売上貢献に繋がったのだという。

転機は、OEMによる価格競争では生きていけないと悟った時、180度違う商品政策に舵を切り直したこと。
当然、選ばれるためには、他者との違いを明確にすることが必要で、思い切って社名もロゴも変えたこと。
この2点がその後の良い循環につながっていく。
そして、見過ごしてはいけないことは、なにより経営者の価値観も同時に切り替わったことだ。
ある意味、お金儲けからお客様への貢献という意識に。

自分自身もブランディング支援を生業としているため、とかくブランディングは難しいという声を聞くが、「ではどうやってお客様から選んでもらうのですか?」と問い返したくなる。少なくとも「価格」での勝負だけは絶対に避けなければならない。売上的に一時良くても長い目で見れば消耗するだけで決して未来はないからだ。

宇土氏のように運に恵まれることも大切だが、運を呼び込むためには確固たる信念が必要。
その推進役としてのブランディングを学ぶためにはわかりやすい実践書と言える1冊である。


テーマ:徒然なるままに… - ジャンル:ブログ

「そして、暮らしは共同体になる。」佐々木氏渾身の1冊。

フリージャーナリスト、佐々木俊尚氏が書いた「そして、暮らしは共同体になる。」を読んだ。

暮らしは共同体になる

佐々木氏の著書といえば、「レイヤー化する世界」「キュレーションの時代」など、ITをベースにした社会や経済をテーマにした、どちらかというと硬派な作品が知られているが、その一方で、最近は「家めしこそ、最高のごちそうである。」など、食をテーマにした執筆で新境地を拓いている。

本書はこれまで培ってきたその両方の経験を集大成した1冊といってもよいのではないだろうか。

ベースとなっているのは、食のネット通販企業、オイシックスへの長期取材。そして自身が主宰している有料会員制コミュニティ「LIFE MAKERS」に登場した人たちの話だ。

さて本書のテーマは、共同体としてのゆるやかなつながりの可能性。

大衆消費社会の中で、成り上がり、お金持ちを目指す「上へ、上へ」、
大衆消費社会を蔑視し、反逆クールをきどる「外へ、外へ」、
以上が20世紀後半を形成したマインド。
しかし、リーマンショックと東日本大震災を経て、新たに形成されつつあるのが、
21世紀型のマインド「横へ、横へ」。

重要なのは、この「横へ、横へ」のマインドだ。

「横へ、横へ」とは、個性的であることを尊んだ結果が孤立を助長してしまった、20世紀的価値観のアンチテーゼとして生まれたとも言える。

個性的ではなく普通であることに新しい解放感を感じ、普通であることが他人との新しいつながりを生み出していく。佐々木氏によれば、まさに今はそんな時代であると。

本書で佐々木氏は、そんな価値観の萌芽ともいえる、象徴的な消費者の行動や社会現象を具体例をもとに展開している。

中でも特に重要なキーワードとして紹介しているのが「ノームコア」。

ノームコアとは、ノーマルなコア、直訳すると「普通の中核」というような意味だそうだ。
派手に着飾るのではなく、普通のシャツ、普通のパンツ、普通の靴を普通に着こなすのがよいとする価値観。

20世紀の大衆消費社会においては、個性的であることが美徳とされもてはやされた。
しかし、その後、個性的であることを求める人が増えれば増えるほど、世の中は個性的な人ばかりになるという矛盾。
その結果生まれたのが、独自であることがカッコイイというスタイルを超越し、「皆と同じ」という新しい正統派の時代がやってきている。

それでは、こんな時代に、企業やお店はどのように変化・対応すべきだろうか?

そのヒントとなるのが本書で紹介されているオイシックスのオムニチャンネル担当、奥谷さんの音葉。

「ここにきて思うようになったのは、企業が価値を提供するのではなく、企業がお客さんが価値をともに創る時代になるということです。」熱烈なお客さんがいて、その人たちのつながりそのものが、オイシックスの上に覆い被さるようにしてひとつの文化圏を生成していく…そこにはお客と企業という対立した関係は存在しない。

佐々木氏いわく、これからのお店は、
・多くの人々の生活を支え、機能消費を提供する大規模なインフラとしてのお店
・文化を創り、つながり消費を生み出していくお店
この二つに方向に二分されていくとし、後者の代表として「北欧、暮らしの文化店」の名前を挙げている。

そしてその補足として書いているのが次の言葉だ。
すなわち「これからの企業は、個人のお客さんを相手にモノを売るだけでなく、そのお客さんと仲間になり、さらにお客さんの周囲にいる家族や恋人、友人との間でつくられる文化の空間を支えていくものでなければならない」と。
まさに「伴奏者」としての企業の存在。

中小企業は言わずもがな、後者の方向を目指さないかぎり、未来はない。

こうして整理して書いてみると不思議な感覚に襲われるが、全体に流れるのは「食」に関するトレンドであったり、「食」の価値観の変化であるが、結果として強く印象に残るのは。“語っているのは時代の価値観の変化そのもの”であるということだ。

開かれたコミュニティ。普通であること。人と人の日常における、ゆるやかなつながり。それを可能にしたITの進化…
大きな転換点にある今という時代を、「食」というフィルターを通して見事に切り取った、相変わらず切れ味鋭い佐々木氏渾身の1冊だった。

テーマ:徒然なるままに… - ジャンル:ブログ

飲食業のオープンソース化。未来食堂ができるまで。

小林せかいさんが書いた「未来食堂ができるまで」を読んだ。

未来食堂ができるまで


未来食堂。すでにマスコミ等で多数取材され紹介されているので、おそらくご存知の方も多いだろう。

本書は、その「未来食堂」の準備期間から開店、開店後までのすべてを時系列で、しかも脚色なしの事実・本音で余すところなく紹介した1冊。かつてない新鮮な読後感だった。

小林さんは、東京工業大学を卒業後、IBM、クックパッドで6年間エンジニアとして勤務。
その後、飲食業で起業したという異色のキャリアの持ち主だ。とはいえ畑違いでありながら、それまでのキャリアが決してマイナスではなくプラスとして全面的に活かされていることがすばらしい。それこそが、今日の成功につながった最大の要因なのではないか、そんな風に感じた。

キャリアが活かされていると思ういちばんのポイントは、タイトルにも掲げた、「飲食業のオープンソース化」に取り組んだというところだ。

「なに、オープンソース化って?」

それはこれまで誰もやってこなかった、事業計画書から月次の売り上げなど、お店にまつわるあらゆる数字をすべて公開していること。これまでの常識だと、公開することで経営的に大変なのか大変でないのかもわかってしまい、お店の営業や資金繰りに悪影響が出るのではないか、そんな風に考えて公開しないという選択がほとんどだっただろう。

けれど小林さんは違った。すべて公開することでお客様や世の中に共感される、そちらを選んだのだ。
それが話題になると狙ったわけではないが、結果的にそれが差別化の大きな要因となった。
なおかつ開店前に事業計画を公開することで、お店をはじめる大義への理解が進んだことも大きかった。
このあたり、今の時代の価値観をまさに肌感覚で知っている、そんな小林さんの天賦の才能を感じる。

この事業計画書、本書にそのままそっくり掲載されているので、これからお店を開こうと考えている人にとっては大いに参考になるのではないだろうか。この手の資料はなかなか手に入らないだけに、それだけでも十分購入に価するといえる。

さて、この事業計画書。じっくり目を通してみると、実に綿密に作られていることに、まずはじめに感心させられる。

特に事業として成り立たせるための収支計画は冷静かつ現実的で、あらゆる意味でリスク回避の手段が施されていて、補助金や融資する側から見ても説得力があると思った。そんな論理的な部分だけでなく、未来食堂というアイデアが生まれたストーリー、事業の目的…など感性的な部分でも、読み手をワクワクさせる内容だ。うーんと思わず唸らされてしまう。

もうひとつ感心させられるのは、これまでの飲食店にはなかった、新しいビジネスモデルの導入。
ランチは一品だけ。お店を手伝った人にはご飯を提供するというシステム「まかない」。食べたいものをリクエストできる「あつらえ」などなど。他店にないユニークさは、マスコミが放っておくわけがない。狙い的中だ。

競争が厳しい飲食業界にあって、開店間もなくから話題を集め、取材もひっきりなしの「未来食堂」。
たまたまテレビで取り上げられていて知ったわけだが、こうして書籍にまとめられたものを読んでみて、これで人気店にならないわけがないというほど計画そのものの完成度が高い。もう「まいった」の一言である。

テーマ:徒然なるままに… - ジャンル:ブログ

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。