アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

「イートグッド」 これからの時代を俯瞰するキーワード。

飲食業界のトレンドを伝えるオンラインマガジン「フードスタジアム」編集長、佐藤こうぞう氏が書いた「イートグッド 価値を売って儲けなさい」を読んだ。

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佐藤氏は、15年以上に渡って、飲食業界のトレンドを見続けてきた人。その彼が、過去から現在、そして未来への飲食業界を展望したのが本書だ。

私自身は飲食業界と関わりがあるわけではなく、ただ飲んだり食べたりすることが好きな人間のひとり。

そんな私がなぜ本書を手に取ったかというと、一にも二にもこれからの飲食業界を象徴する「イートグッド」というキーワードに引き寄せられたからである。

「イートグッド」とは、佐藤氏いわく、読んで字のごとく、“良い”を“食べよう”。そして、ただ食べるだけじゃなく、“食を通じて良いことを実践しよう”という非常にシンプルな考え方であると。

この考え方、食にかぎらず、世の中全般における共通の価値観である、というのが私の見解。
なので、世の中の大きな流れを知る意味で、大変価値のある1冊として手に取った次第である。

具体的に話を進めていくと、
業界でこのキーワードを最初に掲げたのが株式会社エピエリの社長夫妻だそうだ。
夫妻に言わせると「イートグッドとは、あくまで社内で共有する理念であり、お客様に対する思いである」。

そして、その信条としてホームページに記載されているのが、

・丹精込めて作られた生産者の方、そして物事の背景を想像する
・おいしい一皿への出発地点となる食材に対して感謝の心を持つ
・素材を大切に扱い、食材そのものが活かされる調理方法、プレゼンテーションを持って料理を提供する
・料理をもっともおいしく食べていただけるよう、フレッシュなうちに、熱いうちに、冷たいうちに提供する
・家族や友人、大切な人に食べてほしいと思える料理を提供する

以上、5つ。

上にもあるとおり、佐藤氏が「イートグッド」をこれからの飲食業における重要キーワードとして上げる理由は、「何のためにその店をやっているか、そのミッション、もしくは思いが問われ、その思いに対して人が共感し、店を選択する時代になっている」からだとしている。

まさに、今世の中から求められている企業のあり方そのものではないか。

さらに本書ではイートグッドを補完する意味でのキーワードとして、
「ハンドクラフト」「ファームトゥテーブル」「イートローカル」「オーガニック」「コミュニティ」「サスティナブル」などを挙げている。

重要なのは、佐藤氏も書いているが、これらのキーワードの象徴的な場所が、ニューヨークでもパリでもなく、アメリカの「ポートランド」であることだ。

コーヒーでいえば、ブルーボトルを代表とするサードウェーブコーヒー。デザインでいえば、サードウェーブデザイン。これらが単なるブームではなく、価値観の変化から生まれたトレンドであることをあらためて認識しておきたい。

トレンドをすべて受け入れる必要はないが、世の中の価値観は大きな転換期にあり、その萌芽的な要素がこの「イートグッド」という言葉には数多く包含されている。

食べることは毎日の生活と切っても切り離せない行為だけに、世の中の変化を敏感に感じ、反映されるのが飲食業界といっても良いかもしれない。

ゆえに、飲食業をテーマに、時代が向かって行く方向をわかりやすく解説している本書、飲食業界以外の人にもオススメの1冊である。

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ファッションビジネスには頭が痛い。「毎日同じ服を着るのがおしゃれな時代」

かつて定点観測で一世を風靡した「アクロス」編集長、そして最近では若者のライフスタイル分析でおなじみの三浦展さんが書いた「毎日同じ服を着るのがおしゃれな時代」を読んだ。

毎日同じ服

副題に「今を読み解くキーワード集」とあるように、若い人たち(主に20代)の最近の動きから60以上のキーワードを抽出、それぞれに対して三浦さんならではの分析で分かりやすく解説している。

全体を通して伺えることはひとことで言うと、「かつて主流だった価値観と今の若者の価値観は真逆」だということ。

我々の仕事に置き換えてマーケティング的に考えれば、かつての価値観や方法論では、もう今の若者の心と財布を捉えることはできない。そういったほうが適切かもしれない。

考えてみればこの世代の父親は、「ワンマンで頑固」というのが定番だ。従ってその子供はそれを見て育っているから自ずと反対の性格に育つ。それが世代全体の価値観にまで広がっている、背景にはそんな影響があるように思えてならない。

表題となった「毎日同じ服を着るのがおしゃれ」は、まさにその象徴的な価値観。

父親母親世代は、高度成長期の恩恵を目一杯受けて育った世代。雑誌ポパイが創刊、JJやCANCANがバイブルとなっていたようなバブル絶頂期に20代を過ごした。ゆえに、ファッションのトレンドを取っ替え引っ替え毎日全身で表現していた。それがおしゃれだったのだ。

翻って今の世代はまさにその真逆。取っ替え引っ替えはダサく、同じ服を着ることがおしゃれと。もちろん、清潔感は大前提で、同じ服といっても1着を毎日着回しているわけではない。同じデザインのシャツやパンツを何着か持ち、それを毎日着替えるというライフスタイルなのだ。

一見シンプルで何気ないけど、人によっては以外とお金がかかっていたりする。親父たちが仕方なくユニクロで買って同じスタイルになってしまうのとはわけが違う。

若い人を相手のビジネスをするのであれば、いささか極論にはなるが、ほぼ50代以上とは逆の価値観が今の若者の主流の価値観であると考えれば、間違いは少ないだろう。50代以上の人がもし会議で若者についての意見を求められたら、勇んで話す前に、“真逆真逆”と唱えるくせをつけたほうが良いかもしれない(笑)

帯にもあるように、かっこよかったものがかっこわるくなる。新しいものが古くさくなる。時代の逆転。そんな時代。
若い人に対しては、どうしたら物が売れるかと考えるのではなく、どうしたら彼らが自分らしいライフスタイルが過ごせるか、そんなところにビジネスのヒントがあるのではないだろうか。

それにしてもモノが売れないのは間違いないので、消費ありきの資本主義経済が行き詰まる理由がよくわかる。

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