アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

なやばし夜イチに見る、商いの新潮流。

先週の金曜日。新しくはじめるプロジェクトの参考にと、制作会社社長の岡田さんを誘って、納屋橋で月一開催の「なやばし夜イチ」に出かけた。

特に今回は、前々から楽しみにしていた、東海地区の酒蔵が集まる「日本酒夜イチ」の日。

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われわれが納屋橋に到着したのは午後6時ごろ。普通の会社員ならまだ仕事の真っ最中といった時間だろう。にもかかわらず、会場にはもうそこそこの人出があった。しかも、圧倒的に多いのは女性客。

あいにく時おり強風が吹く寒い日だったが、5枚綴り1,300円のチケットとおちょこを片手に、みな思い思いの日本酒を楽しんでいた。

日本酒の消費量自体はもう何年も続けて右肩下がりだそうだが、この様子をみるかぎり、日本酒人気の復活はまちがいなく本物だ。今の時代、消費を牽引する力は女性の手に握られていると言っても過言ではないのだから。

問題はこの人気をどのように実際の購買につなげていくか。ここにはまだ発掘されていない新しいアイデアが求められるところではないだろうか。

そして、なやばし夜イチのもうひとつの楽しみは、小さな飲食店の出店。

地元のオーガニックな食材を使った軽食やつまみが気軽に楽しめる。人気のお店には常連といったようなお客さんが付いていて穏やかな空気に包まれていた。

このムーブメントは、アメリカのシアトルあたりで始まり、ポートランドで新たな価値としてすっかり定着した。最近読んだ本によれば、シアトルではあのスターバックスも名前を隠して、ムーブメントの象徴ともいえるサードコーヒーの店を出店しているとか。

長く続いた、大企業主導の大量生産・大量消費の時代。たくさん作るから成り立つビジネス、ポイントは、安さと効率性にあった。テレビCMは消費者の背中を押す強力な武器となった。

しかし今はどうだろうか。

ちょっと高くても、生産者の顔が見えて安心できるもの。手間暇かけた「非効率さ」に価値があったりする。そう、時代は大きな転換点を迎えているのだ。

こういった時代では、大企業はメリットを発揮できない。はっきり言って、小回りの効く中小企業の出番。だから小さな会社こそ、大企業が提供できない独自価値を追求すべき時なのだ。



なやばし夜イチ。お客様とわずか数十センチの距離で交わされる、まさに小商いの世界。

彼らの楽しそうな笑顔をみていると、明らかに世の中の価値基準が変わってきていることを感じる。なかなか目には見えにくいけれど、それはゆっくり確実に。

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ビジネスの基本を「地方創生」に活かす。競わない地方創生。

久繁晢之介さんが書いた「競わない地方創生 人口急減の真実」を読んだ。
競わない地方創生
地域再生プランナー、久繁さんは、大学卒業後、IBMでマーケティングを担当しつつ、実家が営む飲食店の経営を補佐するという、今でいうパラレルキャリアを実践した異色の経歴を持つ。
必要に迫られ、若くして地方にある実家の飲食店の立て直しを実践したことで、結果的に今につながる多くを学ぶことになったと久繁さん。
本書はその経験を活かし、これからの地方創生について必要なことを提言する書だ。
地方都市も中小企業も抱えている問題は大きくは変わらない、と久繁さんはいう。
その問題とは、横並び発想、大都市(大企業)崇拝主義。他者の顔色を気にし、安易に大都市(大企業)の真似をする。
久繁さんいわく、大切なのは「自分が一番になれそうな価値観を探し出し、価値を高めて一番になり、その価値を顧客にわかるように伝える」こと。そして、これこそが時代のキーワードといってもよい「イノベーション」であると。
「0から1を生み出すのがイノベーション」と誤解されているが、実は「あるものからないものを生み出す」ことこそ、イノベーションの本質、まさにそういうことだろう。
さて。本書で何度も登場するのが、「弱者は競争するな!」の言葉。
強者はともかく、弱者が競争するとろくなことはない、たいていは価格競争に巻き込まれ、さらに状況が悪くなることは目に見えている。重要なのは「競争」の対極にある「協創」「協働」という考え方だ。
取引先はもちろん、顧客も巻き込んで事業を行うことができれば、結果的にコスト削減にもつながる。
いちばんまずいパターンは、内部だけで完結しようと考える古い価値観に囚われてしまうこと。
ワンマン社長(首長)、もしくは過去の成功体験が捨てきれない高齢幹部はこの落とし穴に気づきもしない。
本書で私が最も興味深く読んだのは、
日本が世界の中で「男らしさ」意識が最も高い国であるという、心理学者の調査結果。
「男らしさ」意識は、そのまま「権力格差意識」の高さにつながっているのだという。
久繁さん曰く、
権力格差意識とは権力者への依存(服従・盲信)度を示し、権力者への絶対服従が関係の基本となる。
対して、権力格差意識の低い者・国ほど、上下関係が対等となり、親密な協働関係を築くことができる。
なるほど。確かに、この「男らしさ」意識で、今の日本の抱えているほとんどの問題が説明できそうだ。
たとえば、協働が前提となるイノベーションが生まれないこと。
組織が未だ上位下達であること。社員の多くが指示待ち人間であること。女性の社会進出が進まないこと。etc
さらに久繁さんは、地方で衰退が進む理由も、地方の名士がよそ者を受け入れないところにあると明言している。
この「男らしさ」という価値観が今の日本の衰退の大きな原因であるとの分析は、私にとっては目からウロコであった。
以上のまとめとして久繁さんが提言するのは、経営における「意識改革」。
中小企業再生も地方創生も、トップに立つ人の意識が変わらないかぎり、かならず失敗するし、そこがすべてのスタートになるようだ。
《本書で学んだこと》
データは疑ってかかれ。
地方創生も中小企業も問題の本質は同じ。
大切なのは、競争ではなく、協創。そして協働。
他者との比較ではなく、独自価値の発掘、「らしさ」の構築が必要。
地域創生に書かれた本であるが、中小企業の改革という視点からも、私にとって得るものの多い1冊だった。

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「世の中の体温を上げる。」Soup Stoxk Tokyoの見事な企業理念。

スープストックトーキョーの創業者、遠山正道さん、そして取締役社長の松尾真継さんと取締役の江澤身和さんのオンラインセミナーに参加した。

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第1部が遠山正道に学ぶ「Soup Stock Tokyoという作品」の描き方。
第2部が「Soup Stock Tokyoという作品」のつくり方。

今年2月、これまでは株式会社スマイルズの1事業だった「Soup Stoxk Tokyo」を分社化し、独立した会社としてスタートさせた。そして新たに掲げた企業理念が「世の中の体温を上げる」だ。

スープゆえに、身体を温める→体温が上がる。という発想がベースだと思うのだが、それを世の中への価値にまで昇華させている、見事な経営理念ではないか。

ビジネスとしてはまず顧客満足ありきであることはどの会社にも共通だが、体温を上げるには、単なる満足ではそうはいかない。つまり、満足以上の「感動」を与えることによってはじめて世の中を変えられる、そんな決意にも似た強い思いが見事に込められている。

今後は、この企業理念をもとに、やるべきことやらざるべきことが、より短い時間で社員一人ひとりの自主性でジャッジされるようになるだろう。

セミナーでは、その理念を象徴する1例として、1月7日限定の「七草粥」の提供、母の日ギフトへの一言メッセージの取り組みなどが紹介された。まさに理念が具現化された好例である。

たっぷり2時間、「Soup Stoxk Tokyoのブランド戦略」に参加して、あらためて思ったこと。

ブランドとは作ろうとして作れるものではないとよく言われるが、遠山さんの話を聞いていると、いやそうではないのではないかと。ブランドは作るべくして作るもの。要はどこまでの時間軸、空間でその姿を想像できているか。その想像力こそブランド戦略の出発点であり肝なのだとあらためて思った。

理念経営の話となるとよく登場するのがスターバックスやザッポスなどの海外企業。いやそれだけではない、どっこい日本にはSoup Stoxk Tokyoがあった。この先のSoup Stoxk Tokyoの展開がまたまた楽しみになった。

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