アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

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「共創」できる会社・人材が、これからの世の中を変えていく。

楽天大学学長、仲山進也さんが書いた『あの会社はなぜ「違い」を生み出し続けられるのか~13のコラボ事例に学ぶ「共創価値のつくり方」』を読んだ。



テーマは「共創」。
斎藤徹さんの著書「BEソーシャル!」で、いま経営に求められている5つのシフトのうち、ビジネスモデル「競争」から「共創」へとして取り上げられている「共創」であるが、本書では売るという視点でさまざまな実例を取り上げて、その価値について言及している。

仲山さんは前述のとおり、楽天大学の学長。ECコマースのプロとして活躍中であるが、同時にチームづくりを研究し実践するプロフェッショナルでもあるらしい。
つまりは、売ること×チームをつくること=共創という考え方になるのだろうか。

本書の中で興味深く読んだのは、2つ。

ひとつ目は、競争者と共創者の違いについて書いた章。

リソースを消耗しあう競争者に対して、リソースを掛け合わせる共創者。
孤独に闘う競争者に対して、異能と遊ぶ共創者。
ウィン・ウィンの競争者に対して、ハッピーハッピーハッピーの共創者。

どうだろう、見出しだけ読んでもいかに競争者の置かれた立場が苦しいか、わかるのではないか。

もうひとつは、事例として紹介されている「つくえ、つくろう」。

広島県府中市の国産家具の小売「家具の里」が毎年行っているキャンペーンだ。
地元のNPOと組んで、月に一度、合計4回、親子揃って広島に集まり「学習机」を作るというもの。
最後は、親子で机に名前をつける「命名式」をやったあと、親から子への「贈呈式」が行われる。
机づくりというプロセスを通して、しだいに親子の絆が深まっていく。

これで商売になるのかという声があるのであればそれは浅はかすぎる。
ここで得られる最大の利益は「評判」「共感」というお金では買えない価値なのである。
まさに売り手と買い手が一体となった「共創価値」ここにあり、というすばらしい発想の事例。

ちなみに、この「家具の里」という会社の経営理念は「家族の絆」。まさに理念を体現する企画、さらに理念のもとに集まった人の共創であるから、その絆自体も強く揺るぎがないのだ。

こうした発想は、会社の中で議論を続けていても決して生まれない。
外の風に触れてみて、異業種と触れてみる。売ることから少し距離を置いてみることも重要かもしれない。

これからの会社は開かれた会社であるべき。そう考えられた会社だけが世の中を変えていける。
そういう意味では、「共創」ができるかいなかは、これからの会社を図る貴重なモノサシなのではないか、本書を読んでそんな思いを抱いた。



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ミナを着て旅に出よう。ここにあったミナの原点。

皆川明さんが書いた「ミナを着て旅に出よう」を読んだ。



本書をよむきっかけとなったのは、最新号のCASA BRUTASで「皆川明とミナ・ペルホネン」が特集されていたこと。
メンズが少ないので縁はなかったのだが、皆川さんの発するメッセージには以前より共感していた。
読んでみて、なるほど、本質を捉えることができる人の価値観とはこういうことかとあらためて感心した次第だ。

本書の初版は今から12年前、ミナ・ペルホネンがまだミナと名乗っていた頃。
若き日の皆川さんのエネルギッシュで瑞々しい感性が活字の中で踊っている。
そしてなにより尊敬できるのは、皆川さんの目指していた未来がまったくぶれずに今日につながっていることだ。

本書は、そんな皆川さん初の著書で、幼少時代から自身のブランドを立ち上げて5年ほど経った2003年当時までの回顧録になっている。

皆川さんの価値観がどのように培われたか。そしてその価値観がどのようにブランド、ミナに反映されているか。なかなか興味深く読むことができた。

皆川さんの特徴は、みている視点が常に5年後、10年後にある。
商品をジャッジする目も、売れるか売れないかではなく、いかに長く愛される商品であるかどうか。
ファッションがワンシーズンで消費されてあとは商品価値を失う、そんな状況に疑問を呈していて、
少なくとも家具であれば、そんな状況にならないとも書いている。

消耗されるファッションではなく、流行に流されず時代が変わっても愛される服。

確かに環境の観点、無駄を減らすという観点からも、皆川さんの考えは至極まっとうな気がする。
消費されなければ次が売れない、広告的価値観に踊らされた消費社会もそろそろ見直されるべきではないか。

その頃、ちょうど作り始めた子供服についても皆川さんの価値観は明確だ。

「子供の頃の服って、自分で選択したものではなくて与えられたものです。選択できない記憶の部分だとしたら、そこに与えられるものが創造に満ちていたら、子供たちの将来にもいい影響があるのではないかという願いもありました。」

きちんと皆川さんの思い=ミッションが反映されていることが素晴らしい。

本書が書かれてから10年以上を経て、今では多くの人に愛されるブランドとなった皆川さんのミナ・ペルホネン。
本書を読んで、あらためて愛される理由の原点がわかったような気がする。

と同時にぶれずに生きることの難しさ、ぶれずに生きることの大切さをあらためて教えられた。

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いま、ファッションビジネスの現場で起きていること。

明治大学商学部編「ザ・ファッション・ビジネス~進化する商品企画、店頭展開、ブランド戦略」を読んだ。



本書は2014年12月に開催された明治大学商学部創設110周年特別企画の国際シンポジウム「新時代のファッション・ビジネスを語る」での講演を中心に構成されている。本書によれば、明治大学商学部は、ファッション・ビジネスに関する教育研究に力を入れているそうだ。

本講演(本書)もその力の入れぐらいが伝わってくる、大変濃い充実した内容になっている。

そんな中で、私がまず興味を持ったのは、第2章の「ファッション・ビジネスの変容を加速する4大潮流」。

講演者の尾原蓉子さんは、旭化成で長年に渡り、ファッションビジネスを手がけてきた人。最近は女性リーダーの育成にも力を注いでいる。

尾原さん曰く、いまファッションビジネスでは大きな革命が起きていると。

その背景にあるのは、消費者の価値観と行動が変化していること。
ここはファッションビジネスに限らずすべての消費に対して共通することであるが、インターネット、とりわけモバイルの影響が大きいようだ。それに加え、尾原さんは、ビッグデータ、3D印刷、クラウドをあげ、これらを駆使する顧客を「テクノ個客」と称している。「テクノ」とはいささか時代感が違う気もしないではないが、言い得て妙だ。そしてもちろん、発信という意味では、SNSの影響力も無視できない。

もうひとつ。

尾原さんがここで強調しているのは、企業の社会的責任の重要性がますます高まっているという点。
人や社会への配慮、エコロジーやサステナビリティという持続可能な環境への貢献。そしてエシカル消費といった倫理感、以前ナイキなどでも問題になった児童労働などはここに含まれる。海外では当たり前になっているこのような意識が、日本は相当遅れていることは否めない。それだけに今後一気にその機運が高まりそうだ。

この章ではこの後に、e-コマースの成長、オムニチャネル、ビジネスのパーソナル化といったようなトレンドのキーワードがならび、締めはアメリカにおける最先端のファッションビジネスの紹介。
その中の「レント・ザ・ランウェイ」という4日間のドレスレンタルサービスは、まさに今の時代のビジネスのあり方の象徴といった感じだ。創業者は「このビジネスモデルは、単にレンタルというだけでなく、ファッションの在庫を社会全体で持つようにするコンセプトだ」と。まさにありきたりになりがちなレンタルというビジネスに、新たな“社会性”という事業価値を与えている点で非常に興味を覚えた。

本書の後半でも、最新トレンドのPR戦略など、ファッションビジネスに携わる広告・広報関係者にも参考にできる情報がめじろおしだ。

以上、基本的にはファッション・ビジネスについて書かれている本書であるが、読み進めて分かるのは、ファッションにかぎらず、大きな時代の波は、すべての消費に共通の影響を与えているということだ。そういう意味では、考えるべきは、「人」そのものの価値観の変化ということに尽きるのではないか。
価格から価値へ。量から質へ。人が重要視する基準は、間違いなく変わりつつある、本書を読んであらためてそんな思いを強くした。


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