アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

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ソーシャルシフト~新しい顧客戦略の教科書を読んで。

ループスコミュニケーションズの斉藤徹氏が書いた「ソーシャルシフト~新しい顧客戦略の教科書」を読んだ。



私自身の価値観が変わるほどの衝撃を受けた1冊目「ソーシャルシフト」。
そしてその考え方をさらに発展させた2冊目「BEソーシャル!」へと続き、ソーシャルシフト関連では実に2年ぶりとなる新著が、本書「ソーシャルシフト~新しい顧客戦略の教科書」である。

斉藤氏の書籍といえば、私がいつも驚かされるのが斉藤氏自身の知識の豊富さ。そして時代の変化をつぶさに見渡せる俯瞰力だ。
反面、概念の提示が先立ち、読むにあたってはやや専門知識が求められ、かえって読む対象を狭めているのではないか、そんな危惧を抱いていた。
実際、1冊読み切るにはかなりの体力を要した記憶がある。
この手の本を読みこんだ人以外には、そんな印象が強かったのではないだろうか。

そんな先の2冊に対して、本書は気がかりな点が一気に解消され、ソーシャルシフトの本質をズバリ最短距離で伝えることに見事に成功している。

その成功要因のひとつが、ハッピーマーケットという架空のスーパーを舞台に物語形式で書かれていることだ。
物語にすることで、読み進めるうちに、ソーシャルシフトが自分事として、ごくごく自然に腹落ちできる。
前2作で感じていた“もやもや感”から解放され目の前の景色が一気に広がった、そんな読後感を感じることができるに違いない。

あとがきにもあるが、実は本書のバックボーンには、東証一部上場の実在のスーパー、カスミの存在がある。

70歳を超えた会長が斉藤氏の「ソーシャルシフト」を読んで、自ら斉藤氏の会社へ足を運んだそうだ。
目的は「自身の人生の集大成として、カスミのソーシャルシフトを推進し、100年続く企業への足がかりを作りたい」その手助けを斉藤氏にお願いするために…。

/そのあたりのくだりはZDネットの記事を参照にして頂きたい(http://japan.zdnet.com/cio/sp_12executive/35031029)が、卓越した経営者はひと味違うと感心するばかり。自社に欠けていた最後のピースが「ソーシャルシフト」だと直感で気付いたのに違いない。

ソーシャルシフトは方法論ではなく価値観そのものである。手段としての「ソーシャルメディアの活用」など本末転倒だ。

本書の最後で、ソーシャルシフト推進ユニット・宇和島部長の放つ言葉が印象的だ。

「時代は変わりました。~利益や拡大をひたすら求め、社員を心のないものとして扱う経営スタイルは、生活者がもっとも忌み嫌うものの1つ。透明な時代、共感の時代に生き残るのは、社員にも顧客にも社会にも愛される会社、すなわち“三方よし”の会社なんです。しかし、三方よしはアウトサイドイン(外から内へ)では実現することはできません。三方よしには、企業理念にそった誠実な経営が必要となります。それがソーシャルシフトにおけるキーワード、インサイドアウト(内から外へ)のアプローチなのです。」[本書から引用]

ウソのつけない時代だからこそ、透明で裏表のない振る舞いが共感を呼ぶのである。企業に対しても、人に対しても。
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働き方が変われば、企業も変わる。これからの経営に求められるもの。

ロンドンビジネススクールのリンダ・グラットン教授が書いた「未来企業」を読んだ。



前作「ワークシフト」は世界的ベストセラーになった。先日の来日講演も大好評だったようだ。
そして満を持しての新刊、期待に違わぬ内容の濃さであった。

グラットン教授いわく、本書は「ワークシフト」の企業バーションで、テーマは「レジリエンス」。

「レジリエンス」とは、もともとの意味は、「負荷がかかって変形したものが、元に戻る力」であるが、転じてストレスからの回復力、困難な状況への適応力などを表わしている。
最近、しきりと登場してくる時代のキーワードとも言えるが、そのきっかけはこのところ頻発する大きな災害、日本で言えば東北の大震災後から急激に注目されるようになったようだ。

本書はそんなレジリエンスの中で、「企業のレジリエンス」にスポットライトを当てている。

どうしたら企業が困難な経営状況から回復することができるか。

グラットン教授が特に重視するのは、「リーダーシップのあり方」だ。

ストレスにさらされている社員のプレッシャーを開放し、働く活力を回復するためのリーダーシップ。
社内と社外の壁を取り除き、イノベーションが生まれやすい土壌をつくるためのリーダーシップ。

さらにグラットン教授は、
その前提として、「リーダーシップの再定義」が必要不可欠だとも。

短期の株主価値、上から目線の密室主義のリーダーシップから、長期の社員重視、オープンで透明性を持ったリーダーシップへ。過去の価値観を180度変えるくらいの変容が求められている。

要するに、本書でも先進的な事例が多数紹介されているが、大切なのは、社内で閉じたマネジメントではなく、社会や他社とつながった開放されたマネジメント。その上で目指すべき企業像は、透明で公正性を持った企業だ。そして何より大切なのは、働く社員の幸せが大前提となっていること。

そういう意味では、個人の働き方の変容を促した前作「ワークシフト」と今作「未来企業」は、まさに期待される未来を創造するためのコインの裏表のような関係にあると言えるのではないか。ぜひセットで読むことをおススメしたい。

企業の新たな価値を創造する。それがデザインマネジメント。

慶應義塾大学大学院特任教授にしてエムテド代表の田子學氏が書いた「デザインマネジメント」を読んだ。



この本、私が経営者に読ませたい本としては、今年発売されたものの中でも間違いなく5本の指に入る、それくらい内容の濃い本である。

そもそも、デザインマネジメントとは何か?ほとんどの人が素朴な疑問として抱くところではないだろうか。

田子氏は、そのデザインマネジメントを「デザインを経営の根幹に据えた経営手法」と定義する。

デザインというと、グラフィックデザインやプロダクトデザインとイコール、という感覚を持つ人は未だ多い。
しかしそれはかなり偏った考え方であり、既に相当過去の価値観だ。ここ最近の解釈は、経営に直結する重要なものなのである。

言ってみれば、デザインを中心に据え、新製品開発や新規事業の戦略を一本筋の通ったシナリオで一気通貫するマネジメント。
まさにデザインマネジメントは経営者マターなのであると、あらためて教えられる。

それではなぜ今デザインマネジメントなのかであるが、商品のコモディティ化、つまりどこが作っても似たような商品ができあがり、商品やサービスでの差別化が難しくなったという時代背景がある。
同じようなものであれば、低価格競争に巻き込まれることは必然だ。企業は新たな価値を求めていかなければ生き残れない時代になった。そこでデザインマネジメントの出番というわけだ。

ただし、デザインマネジメントは決して打ち出の小槌ではない。自身の浅はかな経験で言っても、まずはデザインを価値として認められる経営者または経営陣の存在が重要になる。
本書でも「デザインのことはよくわからないから」という経営者の話が出てくるが、田子氏は、そんな経営者は言語道断だという。

そんな田子氏、大学卒業時は東芝のデザインセンターに入社、家電セクションに配属された。
そして入社5年目にスェーデンのエレクトロラックスとの共同デザインプロジェクトに参加、エレクトロラックスのデザインフィロソフィに触れたことが今日の自身の価値観を築くきかっけになった。単なる見た目ではなく、デザインの本質を問われる日々、日本とはまったく違う「なぜ?」の繰り返しだったという。

その後は、独立前に提携したamadana、独立後の鳴海製陶の「OSORO」、キョーワナスタのランドリープロジェクトなど、実際の仕事で企業と組むことで自身の「デザインマネジメント」の考え方をブラッシュアップしていった。
そのあたりの経緯、体験談はは本紙で多くのページを割いて紹介されているが、「なぜ今デザインマネジメントなのか?を」知る上で格好の具体例であり、経営メソッドの刷新に大いに参考にできる。

田子氏は、デザインマネジメントを推進するのに必要な要素を、

「ロジック」=本質を見つめ直しりフレームする
「センス」=知覚を統合して知性を持って表現する
「ラブ」=数値化できない人間の本質に迫ること

と考える。

つまり、左脳か右脳か、論理か感性かという話ではなく、要はバランスであり、すべての原点は、それを実現したいという強い想い、そして何より向上心と探究心が重要になってくるという話だ。

アップルしかり、アウディしかり、ダイソンしかり、デザイン性に優れた製品はそのバックボーンに必ずと言ってよいほど、優れたデザインマネジメントが存在する。
日本の企業にはイノベーションが生まれない、そんな話がそこかしこで聞こえてくるが、デザインマネジメントはまさにその有効な解決手段のひとつとも言えるのではないだろうか。

それほど奥が深いのが「デザインマネジメント」なのである。

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あなたの仕事は「誰を」幸せにするか?

医療法人社団KNI理事長、北原茂実氏が書いた、『あなたの仕事は「誰」を幸せにするか?』を読んだ。



副題に、社会を良くする唯一の方法は「ビジネス」である、とあるように、北原氏は医療の株式会社化を通して医療改革を推し進める最先端にいる人だ。

本書はそんな北原氏の哲学と思考法を自らが綴ったもの。ジャンルは医療であるが、彼の改革のプロセスは、医療に限らず全てのビジネスにおいて参考になるはずだ。それほど本質を捉えていると本書を読んで確信した次第。

さて、長い間、その問題と改革の必要性が語られている医療であるが、現実は今もなお壁は高く険しい。

その理由は偏に既得権益を守ろうとする主流派の権力があまりにも強固だからだ。

医療の現場でそれを痛いほど体験した北原氏。

彼が考えに考えた挙句、選んだのは、海外での展開の逆輸入。

海外の自由な環境で培った医療改革の成功事例を日本へ持ち込むこと、今時の言葉でいえば、リバース・イノベーションである。

そこまでのスケールを持って考えられる人は日本中探してもなかなか見つからないだろう、それだけに頭が下がる思い。

それを支えているのは、北原氏の志の高さだ。

彼の言葉を借りれば、「医療をトヨタを超える日本最大の輸出産業」に育てる」である。

正当な対価を得てこそ、モチベーションは維持され誇りにつながる。だからこそボランティアではいけないと北原氏はいう。

さて、あなたの仕事はいったい「誰」を幸せにするのだろうか。もし即答できないのであれば、今いちど自身の仕事を見直す必要があるだろう。

いやぁ、耳が痛い。耳が痛いが、それが結局幸せへの近道なのである。
働くとは?生きるとは?あらためて考えさせられた1冊だった。

ビジネスは言葉で成り立っている。言葉の力を信じよう。

もと博報堂の制作部長、高橋宣行氏が書いた「キーメッセージのつくり方」を読んだ。



「オリジナルシンキング」「博報堂スタイル」など数々の著作を持つ高橋氏、1940年生まれというから現在74歳。クリエイターの寿命はとっくに終わっている年齢ではあるが、クリエイティビティは広告表現だけではないことをあらためて教えてくれる。

私にとってこの本を読むのははじめてではない。なぜ今あらためて本書を読む気になったかというと、企業にとって、ますます「言葉」の位置づけが重要になってきたからだ。

本書「キーメッセージのつくり方」は企業に必要な言葉の開発方法を多角的に紹介している1冊。
帯にも書いてあるが、まさに「言葉づくり」の教科書だ。

高橋氏は、昔と比べると、企業に元気がなくなったとし、その理由が企業の熱い想いが言葉として発せられなくなったからという。

何をしたいのか?
どうなるのが夢か?
どこに行こうとしているのか?…

こんな時代だからこそ、メッセージのある言葉が重要であると高橋氏。

そもそもなぜ「言葉」が重要になってきたかであるが、そこには世の中が成熟化したという背景がある。

どんな商品も商品自体の差が小さくなり、似たような商品が世の中にあふれるようになってしまった。
そんな時、何を基準にして商品を選ぶか、それが企業が発する言葉、
企業理念やミッションを表した言葉が企業への“共感”の差につながっている、そんな時代になりつつあるからだ。

さらに短期的に「売る」という行為が長期的に見ると企業にとって必ずしも「売れ続ける」ことにつながらなくなるケースが増えてきている。これからの企業はただ「売る」だけでなく、長期的に「関係」を作っていく前提で経営を進めなければ持続的成長は得られない。

本書では、ノードストロームやリッツカールトン、国内ではトヨタやホンダなど、ミッション経営に長けた企業の言葉が数々紹介されており、そのケーススタディをもとに、自社の言葉づくりを進めていくことができる。

今こそ、企業理念やミッションの再構築、キャンペーンやプロジェクト、はたまた商品のネーミングやコンセプトなどの場面において、言葉の力が求められている時代はない。

言葉を制するものが、ビジネスを制する。そんな時代になりつつあることをあらてめて実感する1冊である。


人は動かされるものではなく、自ら動くものである。

田端信太郎氏と本田哲也氏の共著による「広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。」を読んだ。



今の時代、広告やメディアで人を動かすことが難しいとしたら、はたしてどのように動かせば良いのか、それが本書のテーマである。

そもそも何故動かせなくなったのか、それがわからなければ、打つ手もないはずだ。

それに対して、2人は明確な答えを用意している。

いちばんの理由。それはメディアの主導権が、テクノロジーの進化により、発信側から受信者側に移ってしまったからだという。

その背景には、情報流通量の爆発的な増加がある。
実際に、生活者が1日に消費できる情報量はほんのわずか、想像以上に少ないと言っても過言ではない。
つまり、ほとんどの広告メッセージは素通りしてしまうことになる。

この状況を2人は選挙演説を例に、こんな風に説明している。

現代のメディア環境は、例えて言えば、街を歩く人が、スマホで好きなコンテンツを眺め、耳にイヤホンをして、目の前の選挙カーのメガホン越しの演説にも気がつかない状況。

それではどうしたら良いのか。

これからは選挙カーから降り、有権者と同じ地平に立ち、「演説」ではなく、「会話」をする姿勢が重要であると。
そもそも演説ではなく会話であるから、一方的なものではなく、コントロールもできない、ここがポイントだ。

さて、そんな観点から本書では心を動かすメディア選択を、動かしたい人数に応じて、ゴルフクラブの選択に置き換えて説明している。

たとえば、1000人を動かす場合。

1000人規模だとメディアは必要なく、ピュアな情熱だけで十分だと。ただし、情熱を支えるミッションが重要になる。
シンプルで単純な動き、さしずめゴルフに例えるならパターだ。

こうして、1万人、10万人、100万人、1000万人、1億人と、クラブ選択を変えて行くことになる。

この例えは非常にわかりやすく、記憶にも残りやすいという点で、メディア特性を説明するのに現時点では最良の方法と言っても良いのではないか。

結論、適切なメディア選択ができれば心を動かすことができる!

しかし…残念ながら、それほど現在のコミュニケーション環境は複雑で甘くはない。

それ以上に大切なことは、商品やサービスそのものに価値があるかどうか。

それがなければ、どんなにメディア選択が適切であったとしても、またどんなにお金をつぎ込んだとしても、心を動かすことは不可能だ。それだけは肝に銘じておきたい。

本書を読んであらためて思うこと。

それは、売ることと心を動かすことは決してイコールではないということ。

むしろ心を動かすためには売らないという逆説的な発想が重要になる。
売ると売れるは似たような表現だが、意味合いは180度異なる。
心を動かすとは、簡単なようで奥が深い。だからこそ、本書が存在する意味があるのかもしれない。

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