アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

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ビジネスモデル大転換は待ったなし!「広告ビジネス 次の10年」を読んで。

デジタルインテリジェンス代表取締役、横山隆治氏と取締役、榮枝洋文氏の共著「広告ビジネス次の10年 データを制するものがビジネスを制す」を読んだ。



中小の広告代理店の未来は、予想以上に厳しいものになる。それが本書を読んでいちばん最初に抱いた感想だった。

すでに4年前、まさにその現実を真っ先に体験した私が言うのも何であるが、今は嵐の前の静けさ、いよいよ本格的な淘汰の時代が幕を開けるというわけだ。

淘汰を招く最大の原因、それはデジタル化とグローバル化であるというのが本書の主張。

グローバル化はさておいて、デジタル化というと少し前まではDTP、インターネットによるWEBサイト等コンテンツのデジタル化がビジネスの主な戦いの場であったが、ここから先は新たな次元、少し前からBUZZワードとなっているビッグデータを中心とするデジタルデータの活用に主戦場が移っていく。

この兆候を見越して十分な準備を進めてきているのが大手広告代理店。

問題は中小の広告代理店だ。このレベルになると現状を乗り切ることが精一杯で、明らかな人材不足、さらには経営者の理解不足、知識不足が変化のスピードが速い時代は決定的なウィークポイントになる。

デジタル化への対応は、もはやまったなしなのだ。

さて肝心な本書の中身に移ろう。

今後の広告ビジネスにおいて、いかにデータ(オーディエンスデータ)を握り使いこなすことが重要か、全編に渡って展開されるわけであるが、中でも私が特に興味を持って読んだのが、第6章、「次世代型広告マンに必要なスキル」。

本章で、フロントラインにおける営業マンのあるべき姿が語られているが、それとともに次世代型クリエイターに必要なスキルについても記されている。次世代型クリエイターに求められる考え方として、「クリエイティブ」のとらえ方を広げ「コミュニケーションプランニング」領域まで拡張させることが重要と著者はいう。

実際すでに「コミュニケーションプランナー」という職種を設けている広告代理店は多いわけだが、今ひとつしっくりきていないのが現実だそうだ。
なぜなら「広告」より「コミュニケーションプランニング」の方がはるかに大きな領域になるわけで、もともと「広告枠販売」を目的として組織を編成している広告代理店には、うまくハマらないのは当たり前というのが著者たちが掲げる理由。確かにそう言われれば間違いないと、うなづくばかりだ。

こうなると一朝一夕では本当の問題解決にはつながらない。組織のあり方、もっといえば経営の価値観そのものから変えていかないと、広告代理店が「コミュニケーションプランニング」を次世代の柱に育てるのは至難の業となるだろう。

いずれにせよ、広告代理店間の競争だけでなく、「デジタル化」を旗印に虎視眈々と広告ビジネスへの参入を狙うIT系企業やWeb制作会社、コンサルティング会社などとの異業種間競争の時代が始まっている。

デジタルデータという無限の可能性を秘めた武器をフル活用して新たなポジションを築くことができるか否か。間違いなくこの1~2年が勝負である。本書を読んで、その思いを強くした。


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グッバイ、おっさん資本主義。ウェルカム、女性資本主義。

エステサロン、ミュゼプラチナムを全国展開するジンコーポレーション社長、高橋仁氏が書いた「女性資本主義論」を読んだ。



高橋氏、経営の才だけでなく、文才の方もなかなかのもの。

「リアルフリーのビジネス戦略」「運命のバーカウンター」と、書くたび毛色の違う作品を世の中に送り出し、そして今回の「女性資本主義」ときた。

中でも今作は出色の出来、後世にも残りそうな、これからの時代の予言書とも言える1冊に仕上がっている。

テーマは、存在が薄くなりつつある「おっさん資本主義」対ここにきて一気に存在を増しつつある「女性資本主義」。

どう考えても分が悪そうであるが、ところがどっこい、「おっさん資本主義」はまだまだしぶとく生き残っているのだ。

さて、その「おっさん資本主義」、おじさんたちの好む言葉は「競争」「売上と利益」「新規開拓」「ターゲットと攻略」・・・

確かに高度成長期はこれでよかった。市場はどんどん拡大し、利己的に振る舞っても、ほとんどの人がそれなりに恩恵を被ることができた。

しかし、問題が浮上してきたのは21世紀に入ってから。

特にリーマンショック以降は、さまざまな問題の噴出が止まらない。
たとえば地球規模の環境破壊、ますます拡がる貧富の差、成果主義の行く末のブラック企業の台頭、原発の問題もそのひとつだろう。

そんな中で始動し始めたのが、高橋氏が言うところの「女性資本主義」なのである。まさに出るべくして出てきた、これからの時代の価値観と言ってもいい。

「誠実さ」「利他的」「共感力」・・・

競争ではなく共生を前提とした新たな経済システムの息吹が、すでに時代に敏感な人にはいろいろな局面で感じられているのではないだろうか。

問題なのは、経営者や幹部にその気づきを持てている人が少ないこと。

時代とのズレがますます大きくなる中で、売上げ、利益を上げるために社員への負荷、環境への負荷をますます増大させることになる。

ひとりでも多くの経営者が気づくことが、世の中を変えていく唯一の方法と言っても過言ではない、それほど価値観の転換が求めらている時代なのだと思う。

「女性資本主義」。
アベノミクスよりよほど良質な影響を世の中にもたらすと思うが、いかがだろうか。

売れない時代の売り方とは。

湘南ストーリーブランディング研究所代表、ストーリーブランディングのジャンルではおそらく右に出るものはいない第一人者、川上徹也氏が書いた「物を売るバカ」を読んだ。

私が川上氏の書くテーマに共感できるのは、規模は違うものの歩んできたキャリアが似ているからだと思う。

川上氏は大手広告代理店の出身、営業局、クリエイティブ局を経て独立。コピーライター&CMプランナーとして多くの企業の広告制作に携わり、数々の広告賞に輝いたという。

とはいえ彼の功績と今日のポジションを築いた最大の理由は「ストーリーブランディング」という考え方を見つけ、世の中に提示したこと。

物語=言葉の力をブランディングの武器にするあたり、コピーライターの出自が大きく影響していると思う。

本書のタイトルは、商品だけを売るほどドツボにハマるという、意外と当事者は気づいていない売れない理由を、彼なりにウイットに富んだ表現に変えたもの。
本人も断っている通り、決して小売業をバカにしているわけではない(当たり前であるが)。

カフェだからコーヒーを売る。
本屋だから本を売る。
酒屋だから酒を売る。

今の時代、それでは売れないことは明らかなはず。

ではどのようにしたら売れるのか、その答えが川上氏の提唱するストーリーブランディング、すなわち物語の力を借りたマーケティングである。

どんな会社にも、どんな商品にも、必ず物語は存在する。

その物語をコミュニケーションの潤滑剤として、見込み客との間に共感を創造する。

よくよく考えてみればそんなに難しいことではないだろう。
唯一求められるのは、正直で誠実であること。そしてお客様のためになりたいという一身の気持ち。

嘘で固められた物語はすぐに見破られる。

それどころか、悪い評判はあっという間に広がって二度と再起すらできなくなるから、気をつけたい。

物語の力、物が売れない時代だからこそ、見直して見る価値がある。そんな気づきを得るには格好の一冊である。

最後に、この本にも登場する某社は前職の部下が勤めていた会社。聞いた話といささか違うのはご愛嬌か…どんな場合も実際の仕事はもっと生々しいということだろう。

すぐ役に立つことは、すぐ役に立たなくなる。

元NHKの記者でキャスターである池上彰氏の書いた「おとなの教養~私たちはどこから来て、どこへ行くのか?」を読んだ。



テーマは、リベラルアーツとは何か?

直訳すれば、リベラル=自由。アーツ=技術、学問、芸術。

池上氏によると、リベラルアーツとは「人を自由にする学問」という意味で、ギリシャ・ローマ時代にはじまり、ヨーロッパの大学ではリベラルアーツとして7つの科目として教えられているらしい。

その7科目とは、①文法 ②修辞学 ③論理学 ④算術 ⑤幾何学 ⑥天文学 ⑦音楽

こういう教養を身につけていれば、人はさまざまな偏見や束縛から逃れ、自由な発想や思考を展開していくことができるというのが、ヨーロッパの先人たちの考え方。代々受け継がれてきた。

日本の大学でも一時期までは、同様の講義が一般教養として科目に加えられていたが、大学は専門性を身につける場所として、それに割く時間がどんどん削られていった経緯がある。

しかしながら、アメリカのハーバード大学など(かのサンデル教授の白熱教授が代表例)で行われているリベラルアーツ教育の手厚さを見ると、今あらためて振り返ってみて日本は選択を誤ったと思えて仕方がない。

なぜなら企業活動も、結局は人が成すことゆえ、人としての考え方(=教養によって向上させられる)が大きな影響を及ぼすことになるからだ。確かに短期の結果を追い求めるだけならリベラルアーツも関係ないかもしれないが、継続性を前提で考えるのであれば、行き着くところリベラルアーツの考え方が重要になってくるはずだ。

遅ればせながら、そのことに気付いた結果、日本でもリベラルアーツの必要性が再認識され始めているというのが今日の状況なのではないか。

そして、そんな時代の象徴がこのところの“池上彰氏の活躍”なのだと、本書を読んであらためて思った次第である。

さて本書では、池上氏がリベラルアーツの自由七科に習い、「現代の自由七科」を提示している。

池上氏が提示する「現代の自由七科」とは、
①宗教 ②宇宙 ③人類の旅路 ④人間と病気 ⑤経済学 ⑥歴史 ⑦日本と日本人

宇宙の始まりから今日まで、ひとっ走りに、しかもわずか3時間あまりで学べて、780円+税。
もちろんこの1冊で完結することはなく、あくまでリベラルアーツ=大人の教養を学ぶきっかけとしての入門書という意味であるが。

本書にも登場する慶應義塾大学学長、小泉信三氏の言葉。

「すぐ役に立つことは、すぐ役に立たなくなる」

いつ役に立つかわからないが、生きていく上ではきっと役に立つ時が訪れるに違いない。
いわば人としてのゆるぎない土台となるようなもの。本当の教養とはまさにそんなものを言うのだろう。

私事でいえば、あまりに一般教養の大切さを軽んじて、この歳まで来てしまった、そのつけが今日に及んでいると痛切に感じている。

今さらながらではあるが、いま一度、本当の意味での教養を学び直したいと、本書と出会ってその思いがさらに強くなった。そういう意味では、まさに目から鱗の1冊である。

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「提供する価値」から「関わる価値」へ。開放型組織が生み出す新たな可能性。

一般社団法人日本能率協会KAIKAプロジェクト室による「開放型組織をつくるマネジメント~感度の高い組織にだけ見える価値の変化とは何か」を読んだ。



本書の中心として展開されるのは、これからの企業の経営と組織のあり方。

数多くの取材と調査に基づいて、日本能率協会のプロジェクトが大きな時代のうねりとも言える価値観の変化についてまとめた。そして、主流になるであろう答えとして提唱するのが「KAIKA経営」だ。

KAIKA経営について本書では、社会の変化を捉える「感度」を持ち、社会課題の解決に資する事業を進めることで、社会性と事業性の両面を持ちながら存続・継続していく経営のあり方と定義している。

こう書くとピンとくる人もいるだろう。

そう、ハーバード大学のポーター教授が提唱するCSV経営と考え方は非常に近い。

また日本で言えば、斉藤徹氏が提唱するソーシャルシフトで論じられている組織のあり方に通じる点も多いような気がする。


それではKAIKA経営を推進するのに重要なポイントは何なのだろうか。

それが、本書の中核をなしている「提供する価値」から「関わる価値」への転換だ。

「提供する価値」とは、従来の企業が行ってきた商品・サービスのあり方。企業内で完結した結果を消費者に買ってもらう、どちらかというと、企業からの一方的なもの。

対して「関わる価値」とは、商品開発や製造のプロセスそのものに外部の顧客や協力会社を巻き込み、新たなイノベーションを創造しようというもの。

提供する価値はある程度結果が予測されるのに対し、関わる価値は、まさに何がきっかけとなってイノベーションが生まれるか、予測ができないところに難しさと乗り越えた時の計り知れない可能性がある。

いずれにしても、これまでのように「モノ」が売れなくなっているからこそ、「関わる価値」への転換が求められていることは間違いない。

とはいえ、難しいのは、ほとんどの企業の組織が「関わる価値」を産めない構造になっていること。

そこでのポイントが、本書のタイトルにもなっている「開放型組織」への転換。

閉ざされた組織ではなく、外部と積極的につながる組織。
顧客も協力会社もパートナーという位置づけだ。最近の調査でも積極的に参加したいという生活者の声が高い。

提供する価値から関わる価値への転換。閉鎖型組織から開放型組織への転換。

これまでの価値観と180度違う、まさにコペルニクス的転換が求められている時代。

本書にも登場するが、かのダーウィンの有名な言葉を今一度思い出そう。

「強いものが生き残るのではない。優秀な種が生き残るわけでもない。生き残るのは、変化に対応するものだけだ。」

なによりも、経営者の価値観自体の変化対応が求められている。

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