アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

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これで独立の壁を乗り越えられる!?新・パーソナルブランディング。

エイトブランディングデザイン代表、ブランディングデザイナーの西澤明洋氏が書いた「新パーソナルブランディング」を読んだ。



COEDOビールや中川政七商店など、メジャーではないけれどエッジの効いた個性的な商品や企業のブランディングを手掛けている西澤氏。

本書は自身はじめての「個人の起業、パーソナルブランディング」について書いた本である。

パーソナルブランディングというと今やブームの感もあり、数多くの本が出版されていることはご存じだろう。

私自身も関心の高い分野で、これまで数多くの本を読んできたが、そんな中で本書は“自分ごととして実践的に考えられる”点では、屈指の出来栄えと断言できる。

ポイントは、フリーランス=ミニマムサイズの会社と考えて、企業のブランディングで培ったノウハウを「パーソナルブランディング」の考え方に活用したこと。

そして、その裏付けとなっているが、これまで数多くのビジネスで実践してきたブランディングの独自の考え方「フォーカスRPCD」だ。

「フォーカスRPCD」とは、具体的には、ブランディングのプロセスを「R=リサーチ]「P=プラン]「C=コンセプト」「D=デザイン]の4つの段階に分け、すべての段階でフォーカスすることにより、強いブランドを作るという考え方。

本書では第3章で、18のステップに沿ってかなり詳細に説明されており、読者はそれに従って書きこんで頂けば、頭を悩ませることなくひと通りの計画を作り上げることができるという優れものだ。

さらに第4章では、この「フォーカスRPCD」を活用して、西澤氏が実際にコンサルティングを行った「創造系不動産」の事例がケーススタディとして事業計画書も交えて紹介されている。

第3章、第4章を通して自身の記述と照らし合わせて比較してみることで、問題点や課題についても、より理解が進むという仕掛けだ。

先の見えない世の中。会社勤めもままならない中で独立起業を計画している人も多いと思う。

しかし実際に起業を実現した人はまだまだ数は少なく、ハードルは依然高いという印象。その理由は、一にも二にも一歩踏み出す勇気が持てないことにあるのではないだろうか。

そういう意味では、西澤氏は自身の体験も交えて優しく背中を押してくれる。

過去に事業計画を作ろうと試み挫折した経験がある人にとっては、まさに福音の書となることは間違いない。

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クリエイティブディレクターが、日本の企業を救う。

グッドデザインカンパニー代表、水野学氏の書いた「センスは知識からはじまる」を読んだ。



今や日本を代表するクリエイティブディレクターであり、あの“くまもん”の生みの親として一躍時の人ともなった水野氏の最新刊。テーマはずばり、“センス”である。

水野氏と言えばセンスの塊りと言っても良い、天性のセンスを備えた人と言うのが私の印象。
しかし実際は、日々の鍛錬の積み重ねによってセンスを磨いてきた努力の人だったということが、本書を読んでわかった次第。

そんな水野氏であるが、本書でセンスとは“数値化できない事象の良し悪しを判断し、最適化する能力”と定義づけている。

つまりセンスの良い人になるためには、感覚的に良し悪しが区別できる判断力が、資質として重要になるということだ。

ではそのためにどうしたらよいか。

その点について、水野氏はまず「普通を知ること」が必要であるといっている。

普通を知っていれば、それがひとつの基準になり、それよりいいものも、それより悪いものも、良くわかるということらしい。

なるほど、そう言われてみれば、確かに自分自身の経験でも当てはまる点が多いように思える。

とはいえ、普通を知ること自体、昨日今日で簡単にできることではない。
音楽でも、美術でも、スポーツでも、共通するのは、まずは地道な日々の知識の蓄積が重要であること。

そう言われるとそんなの無理との声が聞こえてきそうだが、嘆く前に、センスは生まれ持ってのものではなく鍛えることができると言う点に希望を持つべきではないだろうか。やる気があれば誰でもセンスは磨けるのだ。

さて。

本書の最大の価値は、単なる個人的なセンスとは?の話で終わることなく、センスの必要性を経営論にまで発展させて提言している点。

その意味で、Part2の『「センスのよさ」がスキルとして求められている時代』は大変興味深く読ませて頂いた。

特に、日本の企業に必要なのはクリエイティブディレクターという水野氏の考え方には全面的に賛同する。

技術主導で来た日本の製造業が、アップルのようなクリエイティブ型の企業に席巻されてしまったのは、一にも二にもセンスが不足していたから。

今そんな企業を救えるのはクリエイティブディレクターの、数値や論理ではない、右脳的センスなのだという力強い言葉が、元クリエイティブディレクターの私の胸を打った。

しかしながら今の日本の問題は、クリエイティブディレクターの活躍場所がまだまだ広告の域を抜け出しきれていないことだ。そこを脱出すれば、新たな可能性の大海原が待っているのに、と残念でならない。何とも歯がゆい想いである。逆に言えば、そこに新たなビジネスチャンスがあるのだが…

いずれにしても、技術の時代からセンスの時代へ力点が移りつつあることは間違いない。まだまだ何となくではあるが、クリエイターの新たな可能性が拓けつつある、そんな確信に似た勇気をもらえた1冊だった。

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「売り込む発想」から「買わせる発想」へ。ビジネスで重要なのは発想の転換。

博報堂ブランディング局勤務、コンサルタントの岡田庄生氏の書いた「買わせる発想 相手の心を動かす3つの習慣」を読んだ。



博報堂グループしかり、電通グループしかり、このところ広告会社所属のコンサルタントの著書が立て続けに出版されている。それだけ広告会社のコンサルティング機能が重要になってきている証ではないだろうか。この傾向は今後ますます強くなっていくように思う。

そんな中での本書、著者の岡田氏は若干33歳。博報堂グループでコンサルティングと言うと、株式会社博報堂コンサルティングが思いだされるが、博報堂本体でもコンサルティング機能は充実が図られており、若手のホープといった存在なのだろう。

コンサルタントとして岡田氏が心がけているポイントは、買い手目線への「発想転換」。

売上の上がらない会社に共通する問題、それは、経営者が今までの延長線上で、自社の商品をいかに売り込むかという「売り込む発想」に終始していることにある。

そんな会社に対しては、お客さんの心理を読み解いて、お客さんが自らの意思で買いたくなるような「買わせる発想」への転換を意識づけることが最も重要なことなのだと岡田氏は言う。

それでは、いかにして、この「売り込む発想」の壁を打ち壊すのか。

岡田氏はそのために大切な3つの習慣を紹介している。

【第1の習慣】具体的な事実から考える
【第2の習慣】事実を深く掘り下げて考える
【第3の習慣】コンセプトを絞ってシンプルに伝える


本書では「売り込む発想」で失敗した事例がたくさん紹介されているが、第一の習慣を活用して考えたのがボウリング場の集客事例。

若い人が来るような斬新なアイデアを考えて欲しいという依頼に、それならクーポン券を作って若者が集まる駅前で配布しよう!と考えるのは従来の売り込み発想。

では買わせる発想の人はどのように考えるか?

そもそも若者たちはボウリングがしたいわけではないという根本的なところから考え直す。

では何が目的かというと「仲間とワイワイ盛り上がりたい」という欲望。
ボウリングはそのための一つの手段であると。

この買わせる発想で成功しているのがご存知「ラウンドワン」である。

つまり、ボウリングをしたい人のための場所を、仲間とワイワイ盛り上がれる場所に発想転換できたことが成功の要因なのである。

アイデアではなく発想を重視することが大切という岡田氏の理論を、わかりやすく象徴している好例ではないか。

買わせる発想への転換。本書ではボウリングの例以外にも、なるほど!と思える例がたくさん紹介されている。

とはいえ、活かせるかどうかはあくまで訓練次第。広告会社のコンサルタントはこう考える、それを知るだけでも価値があるのではないか。もし活用してみたいと考えるなら、まずは身の回りの課題を当てはめて考えてみることをオススメする。
そのガイドブックとしてはとても有益な一冊である。



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スーパーストーリーが人を動かす。行動型ストーリー企業の時代。

広告業界で20年以上のキャリアを持つマーケティング・イノベーター、タイ・モンタギュー―氏が書いた「スーパーストーリーが人を動かす~共感を呼ぶビジョン&アクション」を読んだ。



著者モンタギュー氏によれば、ほとんどの企業は、以下の二つのタイプに分けられるという。

・発信型ストーリー企業

広告や言葉によって製品やサービスのメッセージを一方的に伝える(ストーリーテリング)企業。従来の企業はほとんどがこのタイプだった。

・行動型ストーリー企業

スーパーストーリーに基づいたオリジナリティのある行動を実践する(ストーリードゥイング)企業。広告宣伝をあまり行わず、関心を持つ人々に向けた製品やサービスを提供することで、人を中心に据えたビジネスを展開する。今成長中の会社はこのタイプが多い。

本書でモンタギュー氏は、先にも述べたように広告業界20年のキャリアをベースに、その間での自身の体験から「行動型ストーリー企業」が世の中で受けいられる背景や可能性について、さらにはどうしたらスーパーストーリーを軸にして行動型ストーリー企業に変貌できるのかについて綴っている。

行動型ストーリー企業の代表として本書に登場するのは、レッドブル、デビアスダイヤモンド、サブウェイ、ケロッグなど。アメリカと日本との展開に違いはあるのかもしれない、私自身の認識としては日本においてはテレビCM等で名前を知ったような気もしないわけではない。しかし本書を良く読んでみると、少なくともこの10年ほどの成長は「スーパーストーリー」の存在なくしてはあり得ないということが理解できる。

それでは本書の最大のテーマ「スーパーストーリー」とは何なのだろう。

まずその前提となるのが、世の中に対しての強いミッションの存在だ。
自社の製品やサービスを通してこんな世の中を実現したい、いわば信念のようなもの。
ミッションは思っただけでは世の中にインパクトを与えることはできない。
ひとつひとつの行動を通して社員と共有し、あらゆる顧客接点において、顧客との共感を創造することが重要だ。
その一貫した体験で顧客の心の中に綴られていく物語こそ、スーパーストーリーなのである。

ゆえに売上ありきではない。短期決戦でもない。時間をかけて一貫した考え方で、社員、顧客、そして世の中と向き合っていく。いわば経営者の姿勢、企業の姿勢そのものなのだ。

言葉は違えど、ブランディングの考え方とニアイコールと言っても良いかもしれない。

本書を読んで思うこと。

モンタギュー氏は、広告そのものを否定しているわけではない。広告的な考え方、つまりは企業や商品の良さを自ら一方的に語っていくコミュニケーションのあり方を否定しているのだ。その価値観はすでに前近代的なものになっていると。経営者やアドマンはそこを見誤ってはならない。

会社というものは、創業から時間が経ち、成長して大きくなると創業の「思い」を忘れがちだ。
ただただ儲けることに邁進すると…結果は目に見えている。

先がみえにくい今だからこそ、原点の「思い」に立ち返り、その思いを社員、顧客と地道に共有していく。
その必要性に気づくことが重要であるとするなら、本書は間違いなく価値ある1冊である。

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ホスピタリティの陰に、ミッションあり。

「スターバックスのライバルは、リッツ・カールトンである。~本当のホスピタリティの話をしよう」を読んだ。




元スターバックスコーヒージャパンの岩田松雄氏と元リッツ・カールトン日本支社長の高野登氏の対談、そして対談テーマは、ズバリ「ホスピタリティ(おもてなし)」である。

まさに夢の顔合わせ。そして、過去それぞれの著書で明らかにしてきた「ホスピタリティ」についての持論を語り合うとなると、もうそれだけでもワクワクものだ。

果たしてどんな展開になるのだろうか?

結論から言うと、予想に違わぬ、いや予想以上の濃い内容であった。

方やスターバックスを5次産業と位置づける岩田氏。
サービス業が第3次産業、そして近年言われるようにIT企業を第4次産業と呼ぶならば、スターバックスはその上を行く感動経験を提供する第5次産業と岩田氏は言う。

そしてもう一人の主役は、東京オリンピックで「おもてなし」という言葉だけが独り歩きしてしまい、ある意味危機感を感じているという高野氏。
本当のホスピタリティというものは昨日今日で身につけられるものではなく、それだけに人としての人間力こそが今問われるべきであると。

ふたりに共通するのは、人としての原理原則をとても大切にすること。
表現する言葉は違えど、人としてあるべきという基本に徹底的にこだわっている。

その二人の考え方が象徴的に展開されるのが、第三章:御社のミッションは何ですか?

スターバックスにもリッツ・カールトンにも、強いミッションが存在する。
ホスピタリティの源泉がこのミッションにあることは想像に難くないが、重要なのはミッションを浸透させるプロセスだ。
そのためのツールが、スターバックスで言えばグリーンエプロンブックであるし、リッツ・カールトンで言えば有名なクレドカードである。

しかし、この共通点以上に私にとって目から鱗だったのが、リッツ・カールトンで高野氏が若手社員の教育に使った教科書が「修身」だという事実。高野氏は成熟時代を迎える日本にとってのすべての答えがこの中に詰まっていると言っている。

もともと日本の経営の中心にあったのは「たとえ最小の結果しか見えなくても、最大の努力を惜しまない」という商人の魂。

何百年と綿々と受け継がれてきたあえて効率を求めないという日本的経営ともいうべき思想が、アメリカからやってきた「最小の努力で最大の結果を得る」レバレッジ思想により、あっという間に席巻され、多くの経営者の心から失われてしまった…

経営理念にレバレッジの考え方を持ち込むのは絶対に良くない。これは昔も今も変わらない高野氏の持論だそうだ。
過去からの著書、発言を思いかえしても、確かにこの点で高野氏には1点の曇りもないと思える。

さらに高野氏は、この章で「勝ち組」「負け組」という言葉も好きではないと話を続ける。
戸隠の農家出身である高野氏は、昔から農家は助け合って1年を超す算段をしてきた、それが勝ち負けのない当たり前の社会だったと、田舎での生い立ちが自身の価値観を培っていることをあらためて認めている。

身を修める教育、修身。今の日本の状況を見ていると、本当に必要であると思わざるを得ない。

なるほど、ホスピタリティを突き詰めるば突き詰めるほど人間そのものに行き着くと、二人の対談を読んで思いを強くした。

人としてどうあるべきか?人としてどう生きるべきか?

原理原則に則った正しい考え方の積み重ねがホスピタリティにつながっていく。要は人間力なのだ。人間力を磨こう。

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