アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

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戦略的ストーリー思考ができれば、プレゼンも連戦連勝?!

コンサルタントの生方正也氏が書いた「戦略的ストーリー思考入門」を読んだ。



自分の考えていることを実現するためには、ストーリーを戦略的に活用することが重要、
それが本書のテーマである。

ストーリーを活用するためのHOW TO本が、このところ書店で目立つが、
この本が他の本と違うのは、ストーリーの持つ「ゆるさ」にフォーカスしているところだ。

生方氏いわく、ゆるさとはイコール、余地。

ストーリーに余地があることにより、他の人が何かを考えたり行動に移すことができるのだそうだ。

確かに、論理で固められた説明は一見完成度が高く見えるが、実は他人が入る隙間がない。

逆に、ストーリーがもたらす適度な余地が、聞いている人に自分事として、イメージを膨らませ、感情移入をしやすくする効果を生む。


私自身の経験でいえば、ストーリーが活かされる現場と言うと、まず思い出されるのが広告表現の競合プレゼンテーションだ。

生方氏の考え方をベースに振り返ってみると、実際のところ、いかに余地のない説明に終始していたかと気恥ずかしさでいっぱいになる。当時、ストーリーの持つ余地について理解があれば、もう少しプレゼンテーションの勝率を上げることができたかもしれない。

さて、そもそもビジネスにストーリーが大切だということはわかるが、そうはいっても凡人にとって大したストーリーなど持ち合わせていないというのが万人の素直な感想だろう。

その点について、生方氏は、特別な題材など必要なく、ありふれた題材で十分と言っている。
題材は料理に例えれば食材で、どんなに良い食材が揃っても、それを調理する気配りができなければ良い料理にはならないと。

そして調理の仕方=ストーリー思考、9つの原則として本書で詳細に展開している。

一見単純のように見えてなかなか奥が深いストーリー思考。しっかり身に付ければ、プレゼンテーション能力が一気に向上する?かもしれない。
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その時、できませんと言えるだろうか。映画「ハンナ・アーレント」を観て。

名古屋シネマテークで映画「ハンナ・アーレント」を鑑賞した。

ハンナアーレント

昨年の岩波ホールの上映から静かなブームとなり、中高年が劇場に殺到しているという。
名古屋でも年末に上映されていたが、どうしてもタイミングが合わず見逃してしまっていた。
そんな忸怩たる思いを抱えている最中に知ったのが今回のアンコール上映である。

上映が今週金曜日まで、しかも1日1回ということもあり、予想通り本日も超満員。
前述の通り50代、60代のシニア世代の夫婦が多く押し寄せていた。

さて肝心の映画の内容だが、ドイツ系ユダヤ人の哲学者、ハンナ・アーレントという女性を描いた実話だ。

映画は1960年代初頭、ナチス親衛隊の将校で、数百万人ものユダヤ人を収容所へ移送したというアドルフ・アイヒマンが逮捕されたことから始まる。

自身も収容所体験を持つ哲学者ハンナ・アーレントは、彼の裁判を傍聴し、ニューヨーカー誌にレポートを書くわけだが、この裁判でのアイヒマンの発言を聞いたところ、実は彼が残虐な殺人鬼ではなく、ヒトラーの命令を受けて動いただけの〝平凡な人間〟なのではないだろうかと感じた。そしてアーレントは、そんな正直な想いをレポートにまとめる。
しかしながら、そのレポートは自身の想定以上の反響を呼び、世界中で大批判が巻き起こった。
勤務する大学からも追放を余儀なくされたが、そんな状況で、作品のラストに据えられた、学生に向けた信念の8分間スピーチが始まる…

アイヒマンの言葉『自発的に行ったことは何もない。善悪を問わず、自分の意志は介在しない。命令に従っただけなのだ』

その言葉を聞いたアーレントはいう。
「世界最大の悪は、平凡な人間が行う悪なのです。そんな人には動機もなく、信念も邪推も悪魔的な意図もない。人間であることを拒絶した者なのです」

極限の状況にあり命令者はかのヒトラーである。そんな状態下で果たして「できません」と言えるだろうか。
それこそが、本編で一貫して展開されるテーマなのだ。

企業不祥事が後を絶たない。不幸を背負わされ、それを誘発させるのはまさにアイヒマンのような思考を停止してしまった企業人だ。

自分がその立場に置かれたとしたら果たしてNO!と言えるか…ここにこの映画が中高年の胸を打つ理由があるようだ。

世間に媚びないどっしりとした厚みのある映画、2度3度と観たくなる、しかも観るたびに新たな発見があるだろう、
久々にそんな“名画の条件を備えた”映画に出会ったような気がしている。

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O2O、ビッグデータは広告業界の救世主となるか。

ITアナリストの松浦由美子氏が書いた「O2O、ビッグデータでお客を呼び込め!」を読んだ。



松浦氏にとっては前作「O2O 新消費革命」に続く、O2Oに関する著書になる。
また東洋経済オンラインで「O2O最前線」も連載中と、松浦氏はまさに今話題のO2Oビジネスのエキスパートである。

それだけに本書でも松浦氏の豊富な経験に裏打ちされた幅広い取材力がいかんなく発揮されていると感じた。

O2Oとは、Online to offlineの略で、LINEやFacebookなどのSNSやスマホの位置情報を駆使して、リアル店舗に消費者を呼び込もうというもの。
なぜこれだけ注目を集めるかというと、今まで広告の大きな課題であった“ラストワンマイル”という点で、店舗への誘客がダイレクトに可能になるからだ。

もちろんその背景には、スマートフォンの急激な普及も大きい。
ガラケーからスマホへの国民総移動と言ってもいい変化を、読み違えた企業は一気に凋落への道を辿ることになってしまった。

O2Oの事例といえば、当初グルーポンに代表される無料クーポンが中心であったが、このお得系のO2Oサービスに、このところスマポに代表されるポイント制などが加わり、急激にバリエーションが広がりつつある。

そしてこのポイントに熱い視線を向けているのが広告代理店、電通なのだ。

そのあたりは本書に詳しいが、特に電通の狙いは、ポイントによるテレビCMと店頭の連動だ。そのために電通は昨年、スマポを運営するスポットライト社と提携を果たしている。

テレビのCMが発する音声信号をスマホで読み取り、その時点でポイントを進呈、さらに店頭に訪れれば追加のポイントを進呈と、まさにO2Oの究極の展開。
進化したテクノロジーで顧客の行動情報(ビッグデータ)が一元管理でき、広告会社は莫大な顧客資産を手に入れるというわけだ。

テレビCMそのものは費用対効果という点では年々価値が薄れていることは間違いないが、ところがどっこい、新たな形に姿を変えてこれまで以上の存在となることも十分にあり得る。しかしながらこうなると、広告代理店間の格差もさらに開くことが考えられるから、すべての広告会社が諸手を挙げて喜んでいいわけではない。

そのほかにもネットとリアル店舗の連携の最新事例が豊富に紹介されている。

もちろん踊るか踊らないかの選択権は消費者の手にあるわけだし、消費者にはデータを早々簡単に手渡さないリスク回避の気持ちも働くだろう。広告に対する疑念も昔と比べて格段に大きくなっている。

それだけに安易な金儲けの手段としない、提供者側のモラルや誠実さもそろそろ問われてもよいところだ。

しかし、そういったことをすべて考慮した上でも、O2O+ビッグデータは広告関係者にとって、ここしばらく動向から目が離せない関心事であることは間違いない。

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ブレーンストーミング×クラウドソーシング=新たなビジネスチャンス!

ショーン・エイブラハムソン、ピーター・ライダー、バスティアン・ウンターベルグ、3人の共著による「クラウドストーミング」を読んだ。



広告代理店BBDOのアレックス・オズボーンが開発した、ブレーンストーミングというアイデア開発手法がある。

批判厳禁、平等な立場で自由にアイデアを出し合うことで、ひとりでは考えつかないアイデアに到達することができる。長い間、広告業界では定番中の定番手法として事あるごとに利用されてきた。

このある意味古いとも思われるような手法が、ここ最近はインターネットですっかりトレンドとなったクラウドソーシングと出会い、想定以上のビジネス成果に繋がっているという。

それが本書のタイトルにもなっている「クラウドストーミング」である。

本書は、クラウドストーミングの最先端の現場と今後の可能性、あるいは活用の方法について詳しく書かれた、はじめての著書と言ってもいい。まずそこに価値がある。

(※クラウドソーシング=インターネットを利用して不特定多数の人に業務を発注したり、受注者の募集を行うこと。また、そのような受発注ができるWebサービス)

それでは、クラウドストーミングとは具体的にどのようなものか?

本書によれば、組織内だけでなく広く組織外にいるオンライン上の不特定多数の群衆(=クラウド)を集めて、彼らからアイデアを募集し、革新的なアイデアを生み出そうとするものだ。

本書で代表例がいくつか紹介されているが、中でも私が興味を惹かれたのは、スターバックス「ベータカップチャレンジ」。

当時スターバックスは廃棄物削減につながるカップのアイデアを模索していた。
その過程でアイデア開発手法として試みられたのがクラウドストーミングだった。

はたして結果は……なんと、クラウドストーミングを使うことで想定外の成果につながったのだ。

当初、スターバックスではカップの形状を想定していたが、結果として採用したのは、マイカップを持参した客10人に1人、コーヒーが無料になるというもの。

つまり、カップの形状で廃棄物削減を考えるという考え方ではなく、行動そのものを変えることで結果として廃棄物削減につなげるというアイデア。実際に採用され、大きな反響を生んだという。

既成概念に凝り固まった社員スタッフではとても思いつけなかっただろう。またどんなに優れたアイデアマンであってもひとりの力には限界がある。その話を読むだけでも、クラウドストーミングの可能性の大きさがわかるというものだ。

とはいえ自社で採用となると、まだまだハードルが高いのも事実。

というのも、クラウドストーミングはただ手法を取り入れるだけでは上手くいくものではないからだ。

重要なのは、社外の不特定多数の人間と自由にアイデアを共有するという価値観そのものを受け入れられるか否かにかかっている。

外部から閉ざされて城に閉じこもるか。それとも、外部とつながって新たな船で新たな海に漕ぎだすか。答えはすでに明確だ。

クラウドストーミング。もしあなたがこの価値にピンとこなければ、すでに時代から取り残されつつあると考えた方が良いだろう。

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