アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

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「ほしい未来」は自分の手でつくる。それがソーシャルデザインの極意。

鈴木菜央氏の書いた“「ほしい未来」は自分の手でつくる”を読んだ。



著者の名前には馴染みが無いかもしれないが、ソーシャルデザインを紹介するWebマガジン(サイト)「greenz(グリーンズ」の主宰者といえば、あぁ、あのサイト!と思い出す方も多いのではないだろうか。かく言う私も長年の愛読者である。

もう1点、いささか余談ではあるが、著者の鈴木菜央氏、名前から可愛い女性!と早とちりされるかもしれないが、れっきとした男性で、イギリス人の父と日本人の母から生まれたハーフだそうである。


さて肝心の本書の内容。ソーシャルデザインが今のように注目されるずっと以前から、社会的な課題解決と向き合ってきた鈴木氏であるが、本書は30代半ばを過ぎた鈴木氏の半生記と言ってもいいもの。

本書を読む限り、今でこそ「greenz」という1日に多くの人が訪れる人気サイトの運営者だが、ここに至るまでには紆余曲折の壮絶な道のりがあったようだ。特に今日のようなスタイルに辿りつく前の苦悩に満ちた日々(自ら七転八倒の日々と言っている)の記述は読んでいても胸が痛くなるほど。起業の難しさを痛切に感じさせられる。

しかしながら、ただの半生記に終わらせないところが本書の最大の魅力であり、ソーシャルデザインの実践ガイドブックとして秀逸に仕上がっている。

本書の中で鈴木氏は、今の世の中を「ピラミッド型社会」から「生態系型社会」への移行期と捉え、その違いを次の7つのポイントで比較して紹介、これがかなり的を得ている。

1.自分ごと…ピラミッド型社会は「自分ごと」ではなく「他人ごと」にあふれている。

2.楽しさ…ピラミッド型社会は、「楽しい」ではなく「つらい」があふれている。

3.小さくはじめる…ピラミッド型社会では「小さい」ことは力がない象徴だが、生態系社会では「小さい」ことに価値がある。

4.淡々と続ける…ピラミッド型社会では、権力を持つ人々は「打ち上げ花火」を上げ続けなければアテンション(人々の注目)を得ることができない。生態系型社会では、そのような必要がなく、日々続けることが重要である。

5.参加者…ピラミッド型社会では、メディア、政治、経済の分野で権力を持つ人は、市民に「消費者」「観客」でいつづけてもらうために、多大な労力を払っている。生態系型社会では、ひとりひとりが人生の主人公。

6.弱いリーダーシップ…ピラミッド型社会では、「弱いリーダーシップ」より「強いリーダーシップ」が力を持つ。生態系型社会では、ひとりひとりが学び、成長し、無数の「弱きリーダー」たちが多くの人たちの共感を集め、それぞれが「ほしい社会」をつくっていく。

7.ビジョンの共有…ピラミッド型社会では、ビジョンは共有されるものではなく、単純化されたビジョンが、単に上から下に向かって拡散される。生態系型社会では、ビジョンは対話を通して、ひとりひとりが作っていくものである。

いかがだろうか。自分の会社や周りを見回してみると、環境によってはまだまだ「ピラミッド型社会」の真っただ中という思いを抱くかもしれない。
しかし、今起きている問題は、ほとんどがこの「ピラミッド型社会」の限界から生じていると鈴木氏も言っているがまったく同感である。したがって「生態系型社会」への移行は、今の社会の必然でもあるのだ。

誰もが自らの手で「ほしい未来」を実現できる社会。本書にはそんな可能性に満ちたヒントが満載である。

読者が何かを感じて行動を起こすことで世の中が変わっていく。ひとりでも多くの人が「自分ごと」として社会的課題の解決に取り組む。そんな日が1日も早くやってくることを願ってやまない。
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推奨者を有能なマーケターに変える、アンバサダーマーケティング。

アンバサダーマーケティングのパイオニア、ズ―べランスの創業者兼CEOであるロブ・フュジェッタの書いた「アンバサダーマーケティング」を読んだ。



アンバサダーとは、推奨者、熱心なファンのこと。アンバサダーの存在は今に始まったことではないが、なぜ今、アンバサダーに注目が集まるのだろうか。

その最大の理由はずばり「広告ではなく、口コミを信じる時代」になったからだ。幾つかの調査データもあり、そう実感している人も多いはずだ。といっても今すぐ広告がなくなるわけではく、未だ企業の多くは広告費に相当の金額を割いている。

ゆえに、今マーケッターにとって重要なのは、まずその事実を認めることにあるし、そこから新しい時代のマーケティングを考える旅が始まるのではないかと私は思っている。

何はともあれ、広告が効かなくなったのは事実だろう。
本書でフュジェッタは、売りたいなら、広告を使うのではなく、アンバサダーを探し出せと言っている。

先にも書いたとおりフュジェッタがそう語る理由は、インターネットが進化しSNSで個人と個人がいつでもつながることが可能な時代になったからだ。
企業について、商品について、ネットの上では日常的に口コミが飛び交っている。
この傾向は、今後さらに形を変えて進化することはあっても、後ずさりすることは決してない、それはSNSを一度でも使ったことがあれば、体感としてわかることではないか。

日本とは少し事情が違うとは思うが、欧米ではすでにスターバックスやフォード、バージン航空などがアンバサダーマーケティングを取り入れて成果を残しているという。

本書では、パイオニア的存在であるフュジェッタのマーケティング理論が実践方法を含め詳細に紹介されている。
ポイントはあくまで報酬を渡さないこと。彼らの企業に貢献したいという気持ちに報いる、そんなパートナーシップとも言うべき姿勢が大切だということだ。

そしてフュジェッタは企業がアンバサダーを見つけるために「究極の質問」というものを用意すべきとしている。それは、「この企業を誰かに薦めたいと思いますか」というもの。迷わずYESと答える人がアンバサダーであり、一種の踏み絵のようなものとも言える。

旧来のマーケターからみれば、一過性のマーケティング手法に見えるかもしれない。ただ企業にとって利益を出すことがまずます難しくなっているだけに以前のように広告費を捻出できない現実もある。そろそろ新たなマーケティング手法を模索してかなければならないタイミングでもあるだろう。

まずは小さなところから試してみる。そんな価値観を持つことが今は大切なのではないか、本書を読んであらためて思った次第。気付いている企業はすでに一歩も二歩も先に進んでいる。

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企業が社会貢献で競争する時代に。当然、働き方も変わる。

一般社団法人ソーシャル・デザイン代表理事、そして経営コンサルタントでもある長沼博之氏の書いた「ワークデザイン~これからの<働き方の設計図>」を読んだ。



長沼氏によれば、近年働き方の多様化が進んでいるそう。(正確には進んでいるようだ、と言った方が私の実感には近いが…)本書はその最先端で見え始めてきた21世紀の「働き方の構造」を明らかにするものである。

肝腎なのは、なぜ近年急速に働き方の多様化が進んだのか?その理由の筆頭に上げられるのがIT、インターネットの進化だ。

IT、インターネットの進化が実現したこと、それは「ワークプロセスの転換」。新たな時代の価値観と最新のテクノロジーが出会ったことで、これまでは考えることができなかった働き方まで可能にしてしまったのだ。
本書では、その最新テクノロジーをひとつひとつ丁寧に解説してくれており、時代のキーワードを知ることもできる、まさに一石二鳥。

さてそのキーワードであるが、

・メイカーズ革命
・デジタルファブリケーション
・オープンイノベーション
・リーンスタートアップ
・O2O
・クラウドファンディング
・クラウドソーシング
・ソーシャルイノベーション etc.

どうだろう。いくつご存じだろうか。それぞれ的確に応えられるようであれば、相当テクノロジーに長けた人と言ってもよいだろう。しかし知らなくても問題はない。何せ、2,3年前には影も形もなかった言葉だから、逆に言えばそれほど陳腐化のスピードも速いということの証でもある。

本書で私がいちばん注目したのは、21世紀の価値観のトレンドを書いた第2章。

そこで長沼氏は、“「社会貢献競争」という大潮流”を紹介している。

これからは「経済的価値=お金」でなく「社会的価値=世の中のために」という価値観が、消費者、生活者が企業を選定する大きな理由になるというのが長沼氏の主張。

当然お金が最優先の目的でないとすれば、ハンター的な営業は影が薄くなる。利己ではなく利他の精神が働く人の重要な素養になる時代、ある意味、今よりずっと幸せな時代になるのだ。

ここにきて働き方が変わるのには必然的な理由があったのも確か。それには便利さと引き換えに、行き過ぎた金融資本主義が招いた様々な弊害が挙げられる。成果主義による組織の機能不全、社会的弱者の急増、3万人を超える自殺者、環境負荷の増大…いずれもこれまでの働き方と密接な関係があることは否定できない。

この働き方を変えない限り、上記の課題解決は実現できないだろう。ゆえに、働き方の価値観の転換は遅かれ早かれすべての人に求められるようになるのだ。

5年後、10年後、どうなるかは誰もわからない。ただ一つ間違いなく言えるのは、今のような安定した(?)「働き方」は間違いなく続いていない。いや多くの企業がそのような雇用を続けていけないだろう。

本書を読んで思うこと。
これからの新しい働き方は、自らの手の中にあるということだ。
使われるのではなく自らの意思で「働き方」を選ぶ時代。ここでも重要なのは、自らの価値観の転換なのである。

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「モノづくり」で勝っても「ブランドづくり」で負けていないか。

静岡県立大学経営情報学部教授、岩崎邦彦氏の書いた、小さな会社を強くするブランドづくりの教科書」を読んだ。



前作「小が大を超えるマーケティングの法則」はなかなかの良本で、ある意味、私のバイブルになっている1冊。

そんな岩崎氏の新刊は中小企業の実践的ブランド論。テーマは「モノづくり」から「ブランドづくり」へ、だ。

正直、日本の企業はモノづくりには熱心でも、ブランドづくりには関心がない企業が多い。思うに、モノは目に見えるから評価がしやすいのに対して、ブランドは目に見えないからか、効果を信じられない経営者も多い。

本書ではそんな疑り深い経営者に対して、岩崎氏が自らリサーチした具体的なデータをもとに、ブランドが企業経営にもたらす効果をわかりやすく解説している。この豊富なデータの存在が、本書と似たような本とは決定的に違う、説得力を与えているのだ。これだけの調査を行う労力は相当なものだと想像するが、それを上回る成果につながっており、その大変さは十二分に報われることとなった。

本書のもう一つの特長は、実在するアメーラというトマトのブランドづくりのプロセスを詳細に紹介していること。とかく理論が先行しがちなブランディングを、自分ごととして考えることができる効果を与えている。

とはいえ、ブランドづくりは一筋縄ではいかないのも事実だ。そこで著者の岩崎氏は、本書の最後で、ブランドが失敗する「10」の理由として、やってはいけないことをまとめているので紹介しておきたい。

(1)品質管理がしっかりしていない
(2)戦略がない
(3)共感性の欠如
(4)コミュニケーションに一貫性がない
(5)無関係なブランド拡張
(6)なんでも屋になる
(7)消費者の声を聞かない
(8)値引き競争をする
(9)感性に訴えない
(10)動きがない

つまりは、これと逆のことをやれば、強いブランドが作れるというわけだ。

たかがブランド、されどブランド。ブランドを確立するまでの時間、労力はそれなりに大変であるが、一度ブランドを確立すると、その先は好循環が生まれ、ますますブランド力は強化される。だからこそ、ブランドに目覚めた経営者はさらなる高みを目指し、どんどん先へ行くことになるわけだ。

まだまだブランドの考え方が浸透しているとは思えない、ブランド後進国といってもよい日本の現状。そこには間違いなくチャンスが眠っている。

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「振り向かせる」から「見つけられる」へ。インバウンドマーケティングの可能性。

大手広告代理店からグーグルを経て独立、今はインバウンドマーケティングエージェンシー・マーケットエンジン代表の高広伯彦氏が書いた「インバウンドマーケティング」を読んだ。



インバウンドマーケティングの本といえば、提唱者であるハブスポット社のハリガンとシャ―が書いた「インバウンドマーケティング」が有名であるが、私の読書歴からいえば少なくとも本書で4冊目。広告の効果が疑問視される中、ますますインバウンドマーケティングに注目が集まっていることが窺える。

そんな数あるインバウンドマーケティング本も、出自はハリガンとシャ―のマーケティング論に基づくものであるが、本書はその中では、最も広告会社寄りと言えるような気がする。

というのも、先に書いたように、著者の高広氏はもともと大手広告代理店出身。
広告会社の問題点や弱点を十分にわかっているだけに、そこを補うべく研究を重ねるうちにインバウンドマーケティングに辿りついたというのは当然の帰結なのかもしれない。

インバウンドマーケティングの対極にあるのが、広告会社が長年実行してきたアウトバウンドマーケティング。

アウトバウンドマーケティングはテレビコマーシャルに代表されるような、後ろをを向いている人に対していきなり呼び掛け、強引こちらを振り向かせるという手法。テレビコマーシャルだけでなく、旧来の広告会社が使う、ほとんどの広告的手法はこちらに属する。

それに対して、インバウンドマーケティングは、もともとこちらを向いている人から「見つけられる」マーケティング。

その気があるかないか、その違いが結果を大きく左右する。インバウンドマーケティングが注目される理由はまさにここにある。

たとえばコマーシャルで考えると、その昔はある程度興味を持って見られたから、今ほど無視されることはなかった。それが今は情報爆発時代と言われるように、以前に比べると何十倍も接触する情報量が増えている。それだけに強引に振り向かせること自体に無理が生じるというわけだ。

本書の帯にはこんな風に書かれている。

「広告が無視される時代を生きるマーケッターのためのまったく新しい考え方」

このひと言には、アドマンへの温かな眼差しが注がれていると考えるのは私だけだろうか。

広告会社はもっとインバウンドマーケティングを研究することだ。そこには広告会社の未来への扉があり、開けられるのを待っていると…。

本書にはインバウンドマーケティングの理論から実践方法まで、分かりやすく紹介されている。
知るのと始めるのでは大違い、まずは出来るところから実践してみることが重要である。

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