アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

アメリカが主導した経済100年の常識を破る「里山資本主義」とは。

ベストセラー「デフレの正体」の著者である日本総合研究所調査部主席研究員、藻谷浩介氏が書いた『里山資本主義~日本経済は「安心の原理」で」動く』を読んだ。



90年代から00年代初頭、欧米から上陸し、たちまち日本中を席巻した金融資本主義。
しかしながら欧米発金融資本主義がもたらしたお金こそすべての世の中は、結局、私たちに幸せをもたらさなかったようだ。

それどころか年間の自殺者は3万人超。そして、ますます拡がる貧富の差。一部の富裕層にお金が集中する不可思議なシステム…

企業における成果主義も、まさに金融資本主義の産物であり、未だそこから脱せずに四苦八苦しているというのが日本企業の現状ではないだろうか。

前段が長くなったが、幸せをもたらさなかった金融資本主義のアンチテーゼとして、藻谷氏とNHK広島取材班が提唱するのが、「里山資本主義」だ。

コンセプトは、マネー資本主義の「マッチョな経済」からの解放。
肥大化した経済にさようならをして、等身大の地域経済のあり方を、もともとの日本に存在していた里山の暮らしから見直そうというもの。

というと、何か山に引きこもって霞を食べて暮らす仙人のような生活をイメージするかも知れないが、藻谷氏たちが提唱するのはもっと現実的なもので、決してマネー資本主義を全面否定するものではない。あくまで金融資本主義のサブシステムとしての里山資本主義なのだ。

里山の麓で、コミュニティと共存しながら自分らしい暮らし方を自らの手で見つけていくような生き方。かつて日本の至ることに存在した瑞々しい暮らし、かつてホッジがラダックの暮らしに影響を受け表わしたまさに「懐かしい未来」がそこにある。

藻谷氏いわく、日本経済は決して衰退などしていない、問題はゼロ成長と衰退を混同していることにあると。

無理な拡大を目指すから、人々の不安をかきたて、お金がすべての価値観を作ってしまう。
成長しなくても、地域で経済を回すことで、十分に幸せな生活を営むことができるのだと。

里山資本主義。人が人らしくある経済。藻谷氏の主張が現実になる日も近いのかもしれない、個人的にはその日がくることを楽しみにしたい。

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「競争」から、「共感」へ。社員も顧客も幸せにする、グレートカンパニー。

船井総合研究所執行役員、コンサルタントの五十棲剛史氏が書いた「競争をやめれば会社は強くなる~グレートカンパニーへの道」を読んだ。



10冊以上ある五十棲氏の過去の著作はすべて読了するほどの隠れ五十棲ファンの私、正義の経営という著書もあるように、今回の新刊もまさに五十棲氏らしさ全開の1冊である。

特にここ数冊は五十棲氏が中心となって制定した新しい船井総研の新たなタグライン「明日のグレートカンパニーを創る」がベースになっており、そういう意味では本書はその集大成と言ってもよい。

五十棲氏の考えるグレートカンパニーは、これからの企業のあるべき姿そのもので、次のように定義している。
社会的価値の高い「理念」のもと、その「企業らしさ」を感じさせる独特のビジネスモデルを築き上げ、その結果、持続的成長を続ける会社。

五十棲氏いわく、売上至上主義だから会社が疲弊し、業績も上がらない悪循環に陥る。
売上にこだわることをやめて、自社らしさを明確にしお客様の共感を獲得することに全力を挙げれば、おのずと売上も上がってくると。

そのために重要になってくるのは、ミッションをベースに経営のあり方そのものから再構築すること。そしてミッションに共感してくれるファン客を増やすこと。
特に今はインターネットがあるおかげで、評判は口コミ経由で一気に広がっていく。逆にお客様の期待を裏切れば悪い評判が拡がるスピードも速い。
良くも悪くもインターネットの影響力をあなどってはいけない。

あらためて言うまでもなく、ビジネスは「人」が行うものだ。特に五十棲氏が戒めるのは、社員を大切にしない経営。まず社員が経営者の経営方針に共感できなければ、お客様に満足を提供できるわけがないというのが五十棲氏の変わることのない、経営に対する基本姿勢である。

船井総研のコンサルタントは中書企業のコンサルティングをコンセプトとし事例も豊富に有していることが特長。本書でも「共感」経営を実践している企業のj例が豊富に紹介されている。

オンリーワンの存在として、社員を大切にし顧客満足を超えた顧客感動を提供するグレートカンパニー。
もちろんそこへ到達する道のりは安易ではなく時間もかかる。
しかしいったん到達すれば、ファン客が新たな顧客を呼び、ファン客が飛躍的に増えていく好循環に入ることができる。

年間自殺者が3万人を超す、なんとも不可思議な世の中。その原因の背景にあるのは、多くの企業で未だ続いている、社員の競争をあおる経営のありかたそのものだ。幸せな未来を築くためにも、もうそろそろ競争をベースにした経営を脱皮できなければならない。安易な価格競争は社員も家族も顧客も、最終的に誰も幸せにしないからだ。
1社でも多くのグレートカンパニーが世の中に増えることをただただ願うばかりである。

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あたらしい働き方は、既成概念を打ち破ることから始まる。

ベストセラー「レバレッジシリーズ」でもおなじみの本田直之氏の最新刊「あたらしい働き方」を読んだ。



過去の著書であるレバレッジシリーズでも、パーソナルマーケティングでも、ノマド・ライフでも。
常に個人に焦点をあてて、企業や社会との係わり方を通して、人としての理想の生き方を追求してきた本田氏。

本書「あたらしい働き方」はある意味、その集大成ともいえる。

本書は、日米20社の新しい働き方を追求している企業への取材を通して、それぞれの独自性が生まれている背景、そこで働く人のライフスタイルを紹介している。

取材企業は次の20社。

IDEO、エバーノート、インストラクタブルズ、スタンフォード大学d.school、キックスターター、ネットアップ、パタゴニア、セールスフォース・ドットコム、パタゴニア、ホワイトストラタス、ザッポス、カヤック、sansan、スタートトゥデイ、チームラボ、ディー・エル・イー、Plan・do・See、Liverty、ワークスアプリケーションズ。

革新的な企業としてすでにマスコミなどで何度も紹介されている企業もあれば、この先一気に認知が上がるであろう急成長中の会社もある。本書での本田氏の狙いは、こうした新しい働き方を実践している企業を通して、これから働き先を探そうとしている人たちに、新たな基準を提示し、企業選びの再考を促すこと。時代が大きく変わっているのだから、企業選びの基準もどんどん変わっていかなければいけないというのが本田氏の主張だ。

確かに企業30年説が言われるように、時代が変われば時代に受け入れられる企業が変わってくるのは当然と言えば当然のこと。その凋落を左右するのは、安定という名の堕落、つまりは企業が生き残っていくためには、常に止まることなく革新を模索していかなければならない宿命にあるということなのだろう。

本書で紹介されている企業をこうしてあらためて眺めてみると、それぞれが個性的で一見共通点は少ないように見えるが、本田氏の取材を通してわかったことがある。
それは、すべての会社が「既成概念を打ち破る」ことを第一義としビジネスの大前提としていることだ。
そもそも、紹介されている経営者のほとんどが、当たり前と言われていることに疑問を持ったことからビジネスをスタートさせているから、当然と言えば当然のことであるが…。

今就活まっただ中にいる人にはぜひ読んでもらいたいと思うが、それ以上に経営者にはぜひ一読をおすすめしたい。こうした会社が世の中に存在し、それぞれが社会から高い評価を受けていることをぜひ肌で感じてもらいたいからだ。共感できることがあれば積極的に取り入れて頂きたい、それが社員の幸せにも通じることは間違いない。

経営者の価値観が、会社のすべてを規定する。社員を幸せにするのも不幸せにするのも経営者の考え方ひとつ、それほど経営者の考え方は重要だとあらためて思った次第。

つくづく思う、働き方とは生き方そのもの。それだけに本書で紹介されている会社で働く人たちは、さぞや幸せなのだろう。うらやましい限りだ。

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ピンク氏の最新刊、テーマはセールス。さて「売らない売り込み」とは?

ベストセラーマーケティング書の著者、ダニエル・ピンク氏が書いた新刊「人を動かす、新たな3原則」を読んだ。



副題に“売らないセールスで誰もが成功する!”とあるように、今度のピンク氏のテーマは、ずばりセールス。

ピンク氏いわく、100年の間、自動車販売に代表されるように綿々と続いてきたセールスのあり方が、ここ10年で大きな変貌を遂げている、と。

それでは新しい時代のセールスとは、一体どんなものなのだろうか?

それは、ひと言でいうと「売らない売り込み」~購入行為に誰ひとり関与せずに、他人を説得し、影響を与え、納得させること~
ピンク氏とそのスタッフの調査では、職場で過ごす40%がこの行為に充てられているのだそう。古いタイプのセールスマンが淘汰され存在が少なくなっていると思っていたら、実は働く人のほとんどが何らかの形でセールスマンの役割を担うようになってきているらしいのだ。つまりセールスマンは死んだわけでなく、形を変えて増殖しているというわけだ。

経営者やマネージャーがこの変化を捉えられないと、旧来の売れないセールスを未だに続けて、悪循環に陥るという愚行を犯してしまう。

本書では、この“売らない売り込み”の極意を、価値観の変化の必要性から具体的な手法、組織・リーダーシップのあり方など、余すところなく紹介してくれている。

本書でその中心的な考え方として多くのページを割いて展開されるのが、新しいABC3原則。

古いABC3原則、それはピンク氏に言わせると「Always Be Closing=必ずまとめろ契約を!」だった。
対して新しいABC3原則は、「Attunement=同調、Buoyancy=浮揚力、Clarity=明確性」
英語に馴染みがないと少しとまどうが、日本語の意味で伝えたいことのおおよそは理解できる。

昔は何が何でも契約書に判を押させることが目的で、クロージングの能力に長けた人が有能なセールスマンと位置づけられた。しかし現代ではその資質が大きく変わってきている。その資質を端的に表わしたものが、先のABC3原則となる。

同調=他者や集団、背景との調和をもたらす力。
浮揚力=精神的強靭さと楽観的見通しを併せ持つ力。
明確性=当事者も気づいていない問題を発見し、明らかにする能力。

詳しくは本書を読んで頂きたいが、どの能力も古いタイプのセールスマンには備わっていない能力だと言う点が象徴的だ。
ある意味、セールスマンらしくないタイプこそ、これからのセールスマンに必要な資質を備えており、新しい時代の有能なセールスマンなのである。

本書の最後に登場する、マネジメントの変化を象徴する「サーバントリーダー」の記述も興味深く読んだ。

サーバント、すなわち奉仕するリーダー。
上から社員を鼓舞し強引に引っ張っていくタイプではなく、下から部下を支え、納得をベースに働きやすさを支援するタイプの静かなリーダー。セールスのあり方とリーダーシップは表裏一体であるだけに、ここにも企業の変化すべき方向が見てとれる。

昔からのセールス手法に“アップセル”という考え方があるが、ピンク氏に言わせると、“アップセル”ではなく“アップサーブ”となる。セールストークでより高いものを買わせるのではなく、もっと相手のためになるよう尽くすという考え方。

大切なこと。それは、セールスとは売るのではなく、人を動かすこと。
売れるとは、相手のためになった、その結果なのである。

考え方を変えれば、行動が変わり、結果が変わる。
となれば、いちばん大切なのは、価値観を変えることだ。
本書は、社員総セールスマン化の時代の、新しいセールスのあり方を明確に教えてくれている価値ある1冊である。

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企業が正しく一歩踏み出すために。ソーシャルメディアのはじめかた。

ソーシャルメディアコンサルタント、末広栄二氏が書いた「売上を2倍にする!ソーシャルメディア成功の方程式」を読んだ。



末広さんが一躍時の人となったきっかけは、加ト吉の中の人としてのTwitterでの発言。「おそれいりこだし」など、さまざまな名言も残し、売上拡大の一翼を担ったことは記憶に新しいところだ。

末広氏は、その後、讃岐釜揚げうどんチェーンに転職、現在にいたっている。

本書は、その末広氏が、過去の飲食業において、ソーシャルメディア活用により売上を拡大した手法を余すところなく紹介している。余すところなくとあえて表現したのは、この手の本はとかく抽象的な記述が多く、概念としては理解するものの、いざ実践しようと思うと「使えない」ケースが多いからだ。対して本書は、実例をベースに、その成功法則を共通の方程式にまとめ、即実践できるよう配慮されている。

もちろん実際のケースでは、担当としての意識や知識レベルの違いにより、結果は変わってくるだろう。しかし、その場合でもこの方程式に立ちもどればPDCAを回しやすいという利点がある。

本書で末広氏がもっとも伝えたかったこと、私はこう理解した。

それはソーシャルメディアはあくまで手段のひとつであり、なぜソーシャルメディアを使う必要があるのか?そもそもソーシャルメディアを使う前にもっとやるべきことがあるのではないか?
現状の問題点の把握、課題の抽出が必要不可欠であるということだ。
ソーシャルメディアだからといってその分野の知識があればよいというわけではなく、あくまでマーケッターとしての資質、知見が求められることは間違いない。

ソーシャルメディアは上場企業にとっては未だ両刃の剣のところがあり利用に躊躇している企業も多いと聞く。一にも二にもコンプライアンス上の問題がネックとなるのだろう。
そういう意味では、柔軟に対応できる中小企業の方がソーシャルメディアを活用するメリットも多そうだし、まさに今がチャンスである。

顧客、見込み客との継続的な関係づくりには、使い方によっては重要な役割を果たすソーシャルメディア。積極的に活用してファンづくりに取り組むのか、それともコンプライアンスやリスクを懸念して使わないか、後は経営者の決断ひとつである。

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経営者のリーダーシップとは『人への理解』『深い愛情』から始まる。

前作「ミッションの経営学」に続く田中道昭氏の新作「人と組織 リーダーシップの経営学」を読んだ。



冒頭の田中氏の言葉。

どんな大きな事業でも、どんな大きな組織でも、そこで活動しているのは「人」。
経営とは「人」の理解から始まる。
いまあるものをフルに活かした「ホワイトオーシャン戦略」で、
人も組織もあなたも生まれ変わる。

ホワイトオーシャン戦略とは耳慣れない言葉かも知れない。
それもそのはず、田中氏の造語で、競争が厳しいレッドオーシャン、競争のないブルーオーシャン、対してホワイトオーシャンは、自分たちがすでに持っている「マーケットや顧客」に「自分たちがすでに持っている強み」を発揮することで問題を解決する手法を指す。

つまり外部の競合や環境を意識するのではなく、あくまで問題解決を自社内のリソースに求めるもの。

田中氏は、組織は人の集まりだから組織も人と同じだと言う。

窮地に立つほど、人は足元が見えなくなると言うが、企業も同じで、どうしても売上が下がったり経営がうまくいかなくなると自社の良さを見失い、過剰な自信喪失に陥ってしまうパターンが多いという。

そんな企業こそ、自社内のリソースを最大限活かすために「人」のあり方を見直し、今いる人材をフル活用すべきと。

田中氏の理論は次の方程式で表される。

すなわち、「ミッション×ホワイトオーシャン×リーダーシップ」

経営者の明確な経営哲学をベースに、人間愛に溢れたリーダーシップにより、社内の人材をフルに活用する。

いたって明確だが、ここで重要なポイントとなるのが、経営トップの「人への理解」。

どんなに難解な経営理論を身につけても、基本的な人間理解がなければリーダーシップは生まれないと田中氏。

経営に一番大切なもの、それは人間愛という田中氏の深い愛情が、経営書であるにも関わらず静かな感動に近い読後感を提供している。

人間愛に富んだ経営者がひとりでも増えれば、今よりもう少し幸せな世の中になるのではないか。そう願いたい。

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