アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

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「NO」を「YES」に変える、言葉のチカラ。

コピーライターの佐々木桂一氏が書いた「伝え方が9割」を読んだ。



この本、ベストセラーで重版となっており、多くの書店の店頭でかなりの冊数が平積みされている。
人気の秘密は、わかりやすさ。そして2時間もあれば読み切れる気軽さ。まさにコピーライターとしての技術が出版企画というジャンルでも惜しみなく活かされている点にまずは感心した。

佐々木氏は博報堂に入社後、コピーライターとして配属されたもののなかなか芽が出ず燻っていたある時、伝え方にはある法則があることを発見、その時以来、伝え方だけでなく人生までがらりと変わったのだそうだ。

本書はその体験をもとに、発見した技術をまとめたもの。

その人の印象は9割見た目で決まると言うメラビアンの法則が有名だが、こちらは結果は伝え方で9割決まるという、いわば佐々木の法則。

佐々木氏いわく、「伝え方には技術があり、共通のルールがある」「感動的な言葉はつくることができる」。

言葉の力で「NO」を「YES」に変えられたら。ひと言でいうと、本書はそんな願いを叶える本だ。

たとえば、こんな感じ。

「この領収書、落とせますか?」ではNOだけど、「いつもありがとう、山田さん。この領収書、落とせますか?」ならYESとなる。

方法はいたってシンプル。感謝の気持ちを伝えること、目の前の人に身近さを感じさせること、その技術を使う言葉に加えることで結果が大きく変わってくるのだ。

佐々木氏はこの「NO」を「YES」に変える方法を3つのステップで紹介している。

ステップ1:自分の頭の中をそのまま言葉にしない。
ステップ2:相手の頭の中を想像する。
ステップ3:相手のメリットと一致するお願いをつくる。

これを応用した別の例。

デートの誘いも、「デートしてくれない?」ではなく「驚くほど旨いパスタの店があるのだけど、行かない?」

確かにどちらもデートに誘っているのだが、3ステップが見事に反映されていて、結果が大きく違ってくる、わかりやすい好例ではないだろうか。

私自身、言葉を扱う元同業者としては、振り返ってみれば同じような技法を使っていたものの、ここまで法則的に考えたことはあまり記憶にない。言葉のプロとして言葉に対する意識の問題なのだろう、正直レベルが違うと佐々木氏には脱帽である。

これ以外にも本書では佐々木氏が開発した「強い言葉」をつくるさまざまな技術が紹介されている。

大抵の場合、コピーライターの技術は広告や販売促進ツールで活かされるものであるが、あらためて考えるまでもなく、いずれもコミュニケーションが前提であるから、人と人のコミュニケーションにも活かせるわけだ。

佐々木氏がいうように、言葉を変えれば、人生が変わる。それほどまでに重要な言葉ではあるが、意外と普段は意識されていない。そういう意味で「うん、なるほど」と思わずにはいられない、納得の1冊であった。
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つながりの連続がエンゲージメントを創る。あらためて知る戦略PRの価値。

電通パブリックリレーションズのPRプランナー、井口理氏が書いた「戦略PRの本質~実践のための5つの視点」を読んだ。



戦略PRといえば、ブルーカレントジャパンの本田哲也氏の名前が思い浮かぶ。
彼の著書「戦略PR 空気をつくる。世論で売る。」はPRの新しい考え方を捉えた名著だ。
そういう意味では、本書と本田氏の著書を併読することで、より戦略PRへの理解を深めることができるかもしれない。

本書での井口氏の考え方は、本田氏より若干広告よりの印象はあるが、今一度、戦略PRの考え方を確認すると言う意味では非常に参考にできる1冊である。

井口氏は、戦略PRをこう定義している。

生活者に「自分ゴト化」を引き起こす「ストーリー」を構築し、広告を含む様々なコミュニケーション施策を融合させてその「ストーリー」を伝えることで、生活者の意識変化・態度変容・エンゲージメント(共感の構築・強化)を生み出す仕組み

戦略PRというだけに、PRとの違いはいかに仕組み化できるかに尽きる。広告ほど結果が見えやすいものではなく、経験知がものをいう世界なだけになかなか取り組みにくい実情もある。逆に言えば一度仕組み化できればさまざまな展開が可能になるだろう。良くも悪くも戦略PRが今少し浸透しない理由なのかも知れない。

さて、本書の特筆すべき点は、最新事例が豊富であること。

特に冒頭のカンヌライオンズでのPRのトレンドについての記述は、今後のアドマンのあり方、可能性について非常に示唆的なもの。明らかに進んだ企業の考え方は、事業を通しての社会的課題の解決という方向に向かっていることを実感した。

その他にも、ソーシャルメディアの使い方、井口氏が考える戦略PRの核となる「ストーリーテリング」のついてなども、事例とともに大変わかりやすくまとめられている。

重要なのは、広告、PRという概念でのクリエイティブではなく、エンゲージメントを構築するために、枠を超えた総力戦を必要な武器を使って展開できるか否かではないだろうか。

クリエイターの資質として、まずは価値観の転換、柔軟な思考、そして、より幅広い知見が求められている。

短期から長期へ。目先の利益から持続的な成長へ。経済的価値から社会的価値との両立へ。企業の目指すべき方向に戦略PRの考え方は相性が良い。その点で、まさに今読むべき1冊である。

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本屋での「想定外」の出会いから、クリエイティブジャンプは生まれる。

博報堂ケトルの嶋浩一郎さんが書いた「なぜ本屋に行くとアイデアが生まれるのか」を読んだ。




嶋さんの言葉を借りて恐縮であるが、広告会社時代の私がまさにそうであった!

あたりまえだが、本屋は本を買う場所である。しかし、それだけなら5分もあれば事足りる。
なら、なぜ3時間も4時間も本屋にいるのか?(何を隠そう、私のことである)

嶋さんがいうように、本屋の最大の魅力は何より「予想外の出会い」があること。
だからこそ本屋好きは、その予想外の出会いを求めて本屋へ足しげく通うのである。

その出会いが、クリエイターであれば思わぬ広告のアイデアとなって世の中に出ることもあるだろう。
また別の出会いは、見知らぬ場所へ「旅」という形で導いてくれるかもしれない。
本屋はその瞬間まで予想もできなかった、人の新たな可能性を拓いてくれるのだ。

さて、本書で嶋さんは本屋に関して心に留めておくべき「本屋の歩き方・五カ条」を掲げている。

(1)本屋に行くのに目的はいらない
(2)自分の持っている本を探してみる
(3)普段行かない本屋に行ってみる
(4)レジ横は見逃さない
(5)迷ったら買え

いずれもうなずける五カ条であるが、特に賛同するのは(5)迷ったら買え。

嶋さんが本は一期一会というように、今日その場に合った本が明日行ってみると消えていることがざらにある。
増刷されない場合は2度と店頭ではお目にかかれない場合もあるほどだ。
だから、気になる本はなるべく今読まなくても買っておく習慣を本屋好きはたいがい持っているように思う。

・本屋は元祖セレクトショップ
・本屋は世界とつながる場所
・本屋は無駄なものと会いに行く場所…

本屋好きにしか語れない、「名語録」の宝庫とも言える本書。本屋好きであれば思わずにやりとしてしまうことだろう。。

もちろん、広告会社の社長である嶋さんだけにクリエイティブについても当然言及している。

嶋さんいわく、仕事で成果を出すためには二つの方向性があると。

ひとつは、ある特定分野を掘り下げていって他の人にはない強みを出すこと。
もうひとつは、異分子的に横から入り込んでくるものと掛け合わせて強くしていくこと。

クリエイターにとって火花が散る瞬間ともいえるクリエイティブジャンプを生むのは、まさに後者であると嶋氏はいう。私の経験から言っても、その点で本屋で無駄な時間を過ごす意義は大きいと断言できる。

アイデアがなかなか降ってこない、そんな悩みを抱えているなら、さっそく本屋へ行ってみよう!
本屋にはアイデアの種がいっぱい舞っているのだ、目には見えないが…

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広告に頼らず、信用による口コミで売上を伸ばすスローマーケティング。

ニューヨーク市立大学経営学部准教授、平久保仲人氏が書いた『「信用」を武器に変えるマーケティング戦略』を読んだ。



1円でも多く利益を追求するために極限まで社員を消耗させる経営。弱肉強食の世の中では、これも仕方ないこと。

それに対して、信用をベースにして、社員とも、顧客とも、地域とも、共存共栄をめざす経営。

あなたなら、どちらの会社を選ぶだろうか。

考えるまでもなく答えは明白である。

それでもなお、社員を金儲けの道具としてしか見られない利益至上主義の経営が後を絶たないのは、偏に経営者が社員を信用できないからではないだろうか。
そういう会社の経営者は、失礼だが大抵ワンマンでわがままな性格な人が多いように思う。

平久保氏が提唱するのは後者の、誠実で正直な経営をベースに顧客との信用を構築していく、
スローマーケティング。

スローマーケティングとは平久保氏の造語のようだが、信用を積み重ねるには時間がかかるだけに、スローという言葉がこのマーケティングの本質を言い得ているような気がする。

スローマーケティングでは、短期の刈り取りではなく長期にわたっての関係づくりが重要になってくる。
じっくりゆっくり顧客との“信頼”というブロックををひとつひとつ積み上げていく考え方だ。
それだけに、短期で一気に広めるマス広告は残念ながら必要とされていない。

冷静に考えてみれば、そもそも商売とはそういうものだったのではないだろうか。

相手の顔がしっかり見えて、冗談も交わしながら相手が欲しているものを提供する。
そんな商いの原点がいつしか忘れられ、極端に言えば金儲けの道具となり下がってしまった。

今一度経営のあり方を「信用」をベースに見直すべき時。「信用」を勝ち得た企業こそが長期に渡って繁栄を続けられると本書を読んで大いに共感、確信した次第。

平久保氏は長く海外の大学で教鞭をとっている。そんな平久保氏が提唱するのが日本的な商いの原点ともいえる考え方というのは皮肉な気もするが、本書を読んでいると、再び日本の時代がやってくるのかもしれない、そんな気がしてくるから不思議だ。はたしてこの予感は本物となるのだろうか。

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企業と生活者が良い形でつながるために。シェアード・ヴィジョンという考え方。

電通のコミュニケーション・プランナー廣田周作氏の書いた「SHARED VISION~相手を大切にすることからはじめるコミュニケーション」を読んだ。



勤務先が電通、宣伝会議の書籍ということで、基本的には、広告会社や企業にあって広告を中心としたコミュニケーション業務に携わる人を読者として想定しているようだ。

それだけに、ともするとプロ向けの難しい方法論に偏りがちであるが、本書は非常にわかりやすく、かつ普遍的なコミュニケーションの本質を捉えて書かれている点にまず好感が持てた。

廣田氏はこれからのあるべきコミュニケーションの姿を「シェアード・ヴィジョン」というキーワードに託している。

シェアード・ヴィジョンとは、廣田氏いわく「皆で創りたいこと」「皆で創る理想の姿」という意味。

具体的に言えば、企業と経営者と生活者がひとつのヴィジョンを共有することで、これまで解決が難しかった課題を解決していくことを表わしている。ある意味、3者が対等の関係にあることが重要なのだ。
そして、課題解決の重要な手段のひとつが本書でも中心に展開されるソーシャルメディアの活用というわけだ。

廣田氏も言っているが、これからのコミュニケーションは、短期の結論を求めるのはなく長期的に課題を解決していくことが大前提。

広告もコミュニケーションの一部と考えるのであれば、まさに目先の売上を求めるために使うのではなく、長期的かつ良好な関係づくりにその役割を求めるのが正しいといえるだろう。

売るための広告から、関係を創るための広告へ。広告にも「シェアード・ヴィジョン」が求められているのだ。

廣田氏は、組織と個(=働く人)の、これからのあるべきコミュニケーションの姿にもページを割いている。

ここにも「シェアード・ヴィジョン」の考え方が重要と廣田氏はいう。

組織は個を管理するためだけの存在ではなく、臨機応変に対応し、個人間のコミュニケーションの良き「羅針盤」となれるかどうか。社員とシェアできる経営者のビジョンがますます問われる時代なのだ。

たかがコミュニケーション、されどコミュニケーション。この永遠ともいえる課題に「シェアード・ヴィジョン」というテーマで果敢に取り組んだ廣田氏。新しいメディアに翻弄されることなくコミュニケーションの原点に立ち返る重要性を、あらためて教えられた気がしている。

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結局、誰も幸せにはなれない。「椅子取りゲーム社会」の恐怖。

大ベストセラー「もしドラ」の著者、岩崎夏海氏の書いた新刊『まずいラーメン屋はどこへ消えた?~「椅子取りゲーム社会で生き残る方法』を読んだ。

昔なら駅前などに必ずあった、まずいけど仕方なく通っていたラーメン店が、インターネットで誰もが情報収集できる世の中になったおかげで、生き残ることが難しくなったというのが本書タイトルの由来。美味しいラーメン店の存在を知り隣町へも気軽に足を延ばすようになったからだ。

つまりは今までは競争相手ではなかった店までが競争の対象となる大競争時代に突入、そんな状況で生き残るには企業は、個人は、果たしてどのように考え振舞えば良いのか?というのが本書のテーマである。

岩崎氏は、そんな今の世の中の状況を「椅子取りゲーム社会」というキーワードで見事に切り取った。

数少ない椅子を求めて競争相手が殺到する。仮に椅子に座ることができたとしても、また淘汰されて少なくなった椅子を奪い合う。そんなことを繰り返し、最後まで残る椅子ははわずか1つ2つに過ぎない。

これでは消耗するばかり、生き残ることは至難の業だ。

本書で岩崎氏は、そんな状況から脱出して「生き残る」4つの方法を紹介している。

1.今あるものを捨てる
2.本質を見極める
3.隣にずれる
4,現場に還る

どの章も参考になる記述がめじろおしであるが、特に3.隣にずれる での記述はこれからの生き方について非常に示唆に富む内容で大いに参考になった。



隣のずれる方法として紹介されているのが、2つの特技を作ること。

1つの専門性しか持たない企業や人は、どうしても多くの同業者との競争にさらされる。ところがその専門性に別の専門性を掛け合わせると、競争相手が一気に少なくなり、目の前にブルーオーシャンが拡がると言うわけだ。この考え方は私自身も以前よりこうあるべきと考えていたこと。岩崎氏の指摘でこの考え方に確信が持てた。
岩崎氏自身、テレビの放送作家という専門性と、その後転身したプロデューサーとして学んだマネジメントという専門性を掛け合わせたことで「もしドラ」の独自な世界を展開できたのだと言う。
そのあたりの経緯も本書で詳しく記されているので興味がある方はぜひ読んでほしい。

無意味な競争は体力を消耗する。特に価格競争だけは何としても避けなければ未来はない。

「もしドラ」同様、またまた非常にわかりやすく書かれたマーケティング書が世に出た。
岩崎氏が前作で若い人の間にドラッカーファンを増やした功績は大きいが、本書でさらにマーケティングに興味を抱く人が増えそうだ。

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遅くて低成長の途、速くて高成長の途、どちらの途を選ぶべきか。

マーケティングの権威、フィリップ・コトラーと弟のミルトン・コトラーの共著、「コトラー8つの成長戦略~低成長時代に生き残る戦略的マーケティング」を読んだ。



コトラーといえば大ベストセラーとなった前作「マーケティング3.0」で一躍時の人に。
それだけに新刊の登場を楽しみに待っていた人も多いだろうと推測する。

今回のテーマは、低成長時代の企業戦略について。8つのメガトレンドから分析している。

その中で特に私が興味を持って読んだのが、第8章の「社会的責任の卓越した評判で成長する」
企業のCSRの取り組みの必要性について解説している章だ。

ポーターが提唱するCSVでも言われているように、これからの企業には経済性と社会性の両立が必要不可欠になる。
そしてなにより透明性が監視される時代なのだ。

コトラー兄弟は、企業の評判を決定づける主な要因として次の5つを挙げている。

1.その企業は、卓越した品質の製品やサービスをつくっているか。
2.その企業は、長期間にわたって利益を出しているか。
3.その企業では、良いマネジメントや発想豊かなマネジメントが行われているだろうか。
4.その企業は、従業員、サプライヤー、流通業者に対して献身的だろうか。
5.その企業は、社会的責任を意味のある方法で示しているか。

いずれも重要であることがわかっていても生半可では実現が難しい要因ばかりだ。
ある意味、経営者の覚悟が試されていると言っても過言ではない。

当たり前の話ばかりで派手さにかけると揶揄された時代もあったコトラーの経営論であるが、派手さにかける分、普遍的であると捉えることができる。
ベストセラーになった「マーケティング3.0」をまだ読んでいない方にはぜひセットでの読書をオススメする。

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