アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

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伝えるだけではダメ。大切なのは相手の心を動かすこと。これからの広告人へ。

コミュニケーションデザイナー、笠松良彦氏が書いた「これからの広告人へ」を読んだ。



大学卒業後、NECに入社。その後、博報堂に転身、電通を経て、2005年に電通とリクルートのジョイントベンチャーとしてメディア・シェイカーズを設立し、フリーマガジンの「R25」事業を手掛けるという異色のキャリアの持ち主。
現在は、自身の会社イグナイトを立ち上げ、企業内外のコミュニケーション領域の課題解決に取り組んでいる。

本書は、その笠松氏が変化の著しい広告業界において広告人として生き残る術を記したもの。

笠松氏が強調するのは、マーケットからみて自分のアウトプットにはいくらの価値があるのか?会社の看板を外したら、自分にはどんな価値があるのか?いつも自問自答して取り組むこと。

実際に自身の会社イグナイトでは、それぞれの人間が、自身の仕事に対してクライアントと相談してすべてに金額を付けてもらっているそうだ。

長い景気低迷でどの企業においても広告費の削減が課題となっている今、広告人の今後は厳しいと言わざるを得ない。そんな中で生き残るためには、どの会社に属してどんな役職についているかより、ひとりの広告人として何ができるかがますます重要になってくる。
年齢も肩書も関係のない時代が進んでいくに違いない。

さて肝心の本書の内容であるが、

・広告人とは何か?
・広告の仕事とは何か?
・コミュニケーションとは何か?
・広告人が良い仕事を成し遂げるために必要なことは何か?
・今、広告人に求められること
・私が理想とする仕事の仕方
・特別付録・プレゼンテーションについて

以上の章で構成されている。

その中で特に私が注目して読んだのが、広告人が良い仕事を成し遂げるために必要なことについて書いた章。

笠松氏が大切にするのが、人的ネットワーク。仕事毎にさまざまな専門職が必要となるのが広告の仕事。しかしどんな仕事が来るのかは千差万別。だからこそ、普段からのネットワークづくりが仕事においての財産になるのだ。ある意味、いちばん属人的な業界が広告業界なのかも知れない。
笠松氏は電通に転職した際、一流といわれるクリエイターと人脈を作るため、自腹で食事やお酒に誘い無理やり仲良くなってもらったのだそうだ。その人脈がその後の仕事につながったことは言うまでもない。

GIVE&GIVEとかGIVEの5乗とか言われるほど、今はまず相手に自分の持っているものを提供することが大切だ。
仕事の付き合いも同様で、自身の利益を求めれば求めるほど利益が得られないというジレンマを抱えるだろう。
しかし重要なのは信頼関係が生まれてこそ、利益がついてくるということ。
笠松氏の話は、まさにその大切さを教えてくれている。

広告業界を離れてみて、あらためて広告人という職業の素晴らしさを実感している。

二つと同じ仕事はなく、毎日新鮮な気分でいられる。そんな仕事は周りを見渡しても見当たらない。
すべての広告人は、この幸せを噛みしめ、自らの手で未来を切り開くべきではないか。現状を嘆いている時間があるなら…。

本書「これからの広告人へ」は、そんな、広告人が幸せな存在であるための「未来への羅針盤」となるに違いない。
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利益から理念へ。厳しい時代に成長を続ける「自己覚知」の経営。

CWM総合経営研究所の杉田圭三、杉田一真氏の共著「なぜ、この会社の成長は止まらないのか」を読んだ。



タイトル通り、この厳しい時代にあっても、景気の影響を受けることなく成長を続ける企業の強さに共通するものは何かを解説している。

二人が掲げるその共通するものとは、「自己覚知」の経営。

「自己覚知」=自分に気づき、自分を知るということ。

経営者がその役割と責任を「自己覚知」すればするほど、最適な経営執行が実現されるのだそうだ。

自己覚知経営を実践して会社を成長させている企業の代表例として登場するのが、
しまむら、ヤオコー、ハイデイ日高屋、サイボクハム、ユー・コーポレーションの5社。

いずれの会社も、知名度はそれほどでもないが経営方針にはトップの確固たる信念が貫かれており、己を知ることで業界のオンリーワンと言っても良いポジションを獲得している。まさに「自己覚知」の賜物と言ってもいい。

著者は、この5社の自己覚知経営を支えているものとして、

1.独自性のある優れた企業理念(=経営哲学)
2.理念を現場に落とし込む仕組みづくり

を挙げている。

そしてなぜ「自己覚知」が経営に必要かという問いについては、
今は時代が大きな転換期にあり、古いパラダイムが通用しなくなりつつあることが大きいとしている。

産業界の価値観が、古いパラダイム下では「収益性・合理性優先」であったものが、新しいパラダイム下では「理念・使命感優先」に移行しており、利益中心の経営から理念・哲学中心の企業風土への転換を迫られていると。

消費者・生活者が容易に企業の情報を入手できるようになったこともニューパラダイムが求められる要因だろう。
創られたイメージや巧みなセールストークでは、すぐに本心を見破られてしまう。だからこそ、経営者の経営に対する信念(=本気度=思いの強さ)が需要なのである。

本書で紹介する「思い」の仕組み化と「場」の作り方により、業績が必ず上向くと杉田氏。

それほど重要な経営理念であるが、ほとんどの会社では額縁に納まり壁に掛けられ、いつしか忘れられた存在になっているのが現状ではないだろうか。

今こそ、額から取り出し再点検すべき時かも知れない。会社を成長させるヒントは意外と身近に眠っているのだ。

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風向きが変わる時、あるものは塀を立て、あるものは風車を作る。

東京工科大学大学院ビジネススクール教授、尾崎弘之氏の書いた「GREEN RUSH~社会変革期の成長戦略」を読んだ。



タイトルに掲げたのは、本書に登場する中国の古いことわざである。

ビジネスは常に目の前に起きた事象に対して選択を迫られ、その繰り返しの毎日だ。特に現代のような変化のスピードが速い時代は、ひとつ選択を間違えれば、大きなハンデを背負うことにも成りかねない。それだけに経営には難しい対応と冷静な舵取りが求めれる。

本書は、この先に起こるであろうグリーンラッシュとそこで生まれるビジネスチャンスについて書かれている。
しかし、先に書いた選択の話ではないが、ひと言にグリーンラッシュと言っても、そこにはさまざまな機会があるのだ。どの領域に参入すべきか、参考にできるのが、本書に登場するゴールドラッシュの教訓だ。

時は19世紀の中盤。
アメリカのカリフォルニア州で発見されるや、金鉱を目指して人の大移動が起きた「ゴールドラッシュ」。しかし多くの人が駆けつけたにもかかわらず、金鉱を掘り当てたのは、ごくわずかの人。多くの人が投資額を上回るお金を回収することができずに終わった。

それに対して、真に成功した人は、金鉱の採掘を避け、「金鉱堀りを掘ること」を基本的な戦略とした人だそうだ。つまり金鉱掘りが必要としたシャベルやテントと言った用具や頑丈なズボンのような衣類など必需品を提供した人。

頑丈なズボンと言えば、そう、いわずと知れた世界の大企業リーバイスは、まさにここからスタートしたのである。

このようにゴールドラッシュが社会にもたらしたインパクトの本質は、金鉱発見による富の発掘ではなく、金鉱発掘に伴い、街に人が集まり、その人たちを対象にさまざまなビジネスが派生的に生まれた「環境変化」にあったのだ。

さて、肝心のこの先始まる「グリーンラッシュ」についてであるが、尾崎氏は「歴史は繰り返し、時代は揺り戻す」という言葉を象徴的に掲げている。

ゴールドラッシュの成功の理屈を冷静に分析すれば、この先のグリーンラッシュにおいてのビジネスチャンスがわかるというものだ。

歴史は繰り返し、時代は揺り戻す。

お金が儲かりそうだと人が集まるような場所は実は儲け話は少なく、意外と盲点のような場所に金鉱は眠っている。

変化をどう読むか。今は頭に汗をかき、知恵を廻らす時だ。

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つながる、発信する、共に創る。プラットフォームが企業ブランディングを変える。

電通のチーフコンサルタント、小西圭介氏が書いた「ソーシャル時代のブランドコミュニティ戦略」を読んだ。



フェイスブックが地球上の10億人をつなぐ世界。この景色を10年前に誰が予想できただろうか。

当然、コミュニケーションのあり方も変わってしかるべき。しかし、あまりに速い変化のスピードについていけていないのが、メディア業界、広告業界の現状。

しかし、それよりもっと深刻なのは、企業のトップ・幹部がこの変化を経営課題と認識していないことだ。
単なるコミュニケーション戦略やメディア戦略として捉えていると、成熟した顧客、消費者からは一気に見放されることにもなりかねない。

本書はそんな経営戦略の危機的状況に直面して、企業がどのように考えどのようにふるまうべきかについて言及している。

小西氏が本書の中心テーマに据えているのが、生活者主導の「ブランディング」を再定義すること。

小西氏が定義するブランディングの概念をいささか長くなるが抜粋して紹介する。

ブランディングとは本質的に、共有された価値に基づく有形無形のコミュニティ資産を形成する行為で、それは企業や製品と顧客とのつながりにとどまるものではない。生活者やパートナー、社会的コミュニティとの継続的な経営基盤を築き、その力を借りながら、新しい事業や価値を生み出していくための新しいシステムを創ることこそが、今日的なブランディングの意味である。

ブランディングの意味が、より包括的に、かつより俯瞰的に大きく変わってきているということなのだろう。

もはや広告でグッドイメージを作れば良いというような短絡な時代ではない。
顧客をパートナーとして新たな価値づくりを共創することで、顧客との絆を深めていく。それこそこれからのブランド戦略の本質なのだと小西氏は強調する。

広告会社、メディア会社などのコミュニケーションを生業とする人間は、この変化しつつある時代の「立ち位置」を間違えないようにしなければならない。
大切なのは、企業と顧客は向き合う関係ではなく横並びで同じ未来を見つめる関係であるべきということなのだ。

プラットフォームとしてのコミュニティ戦略とは?「形容詞」のブランディングから「動詞」のブランディングへ。などなど、今ブランド戦略において押さえておきたいポイントがめじろおし。

ソーシャルメディアの登場で、見える景色が180度変わったいってもよい「ブランディング」。
本書はその最先端を知ることができる、貴重な1冊である。

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競合プレゼンからは「幸せな広告」は生まれない。

CMディレクター、今村直樹氏の書いた「幸福な広告~広告ディレクターから見た広告の未来」を読んだ。



本書は、今村氏が50代半ばにして早稲田大学大学院に学んだ際の卒業論文を基に書かれている。

「効果的な広告は信頼から生まれる」が今村氏の中心テーマ。

中でも特に多くのページを割いているのが、広告主のリーダー(=社長)と制作者のリーダー(=クリエイティブディレクター)との信頼関係の重要性だ。

その代表例として登場するのがソフトバンクの孫社長とシンガタのクリエイティブディレクター佐々木宏氏の関係。犬のお父さんが登場するCM。SMAPが登場するCM。いずれも解説の余地がない国民的CMといってもいい存在だ。

その他にも、キューピーとライトパブリシティの秋山晶氏、いいちこの三和酒類と河北秀也氏など、数十年も同じコンセプトで続いている広告は信頼関係なくしては成り立たないと、あらためて取材を通して今村氏は語っている。

広告主と制作者の信頼関係。
言葉にすればシンプルであるが、広告業界においてこれほど深く難しいテーマはないのではないだろうか。

その信頼関係を阻む最大の問題が、競合プレゼンというシステムだ。

ほとんどの場合、短期での成果を求めて数社に提案を求めるというもの。
プレゼンに通るためには、決定権者の好みを知らなければと、本来向き合うべきのユーザーを蔑ろにして情報合戦が始まったりするのだ。さらにインパクト重視、話題性重視と、持てる力をこれでもかと駆使する。通った時には疲れきっている状態だ。さらに修羅場をくぐって通ったとしても半年も経たないうちに次のプレゼンが待っている場合もある。

ジャッジする人間に深い思慮があれば別であるが、これでは、広告主にとっても制作者にとっても「幸福な広告」などできあがるはずがないだろう。

また今村氏のようなCMディレクターの場合は、決定した企画に対して参加する場合が多く、本書の中でも言っているとおり「はじまる前に終わっている」という状況もありえるのだ。

さて50代半ばにして大学院の学生になるという一見回り道のような選択をした今村氏であるが、この1年が今村氏のその後の人生を大きく変える転換点となったようだ。

今は現役のCMディレクターの傍ら、東北芸術工科大学映像学科の教授に就任したとのこと。
研究のための取材を通して、新たに地域活性化のための広告と言う新たな課題も見つかった。

広告の未来。言われるほど悪いものではないのではないかと本書を読んで意を新たにした次第。

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中心は消滅し、“周辺=ニッチ”から新たなビジネスが生まれる。

フロックウォッチング社代表、ジェームズ・ハーキンが書いた「ニッチ~新しい市場の生態系にどう適応するか?」を読んだ。



万人受けという考え方が通用しなくなった消費社会においての消費者と企業の関係について考察している。

本書の中で、消費社会の変化の象徴として度々登場するのが、百貨店ウールワースが2009年に倒産した話。

かつてイギリス全土、いたるところにあり国民的百貨店と言ってもいい存在だったウールワース。

全盛期はウールワースに行けば何でも手に入るとして大いに人気を博した。
しかし、皮肉にもその倒産の原因が、この何でも手に入るところにあったというからややこしい。
市場は変わったのである。

今や空気のような存在であって、行こうと思えばいつでも行けるのであるが、さてウールワースで何を買おうかと考えてみると、何も浮かばないという状態だ。

今の世の中には、同様の状況があちこちで見受けられる。
一時はノンエイジで成長したギャップも、本国アメリカではその成長した理由で若者離れを起こし苦境に至ったという。

本書でのハーキン氏の主張は、すでに大衆が集まる中心は存在しなくなったということ。
さらに言えば、成熟した消費者は大衆が集まると知った時点で、自ら離れていく。

今は、欲しいものがあれば、自ら「狩り」に出かけていくというのが消費者心理の主流。

しかもハーキン氏に言わせると「狩り場」はニッチであればあるほど良いそう。
どうやら、これからのビジネスの成功は、いかにしてこの「ニッチ」を見つけることができるかにかかっているようだ。

さて肝心のこの「ニッチ」を見つける方法であるが、残念ながらビジネスの特効薬的なものはなさそうである。

今重要なのは、市場の規模などのマーケットデータではなく、特定な分野で誰にも負けない「プロ」になること。
たった1人の熱烈なファンができればそこからファンが拡がっていく時代だ。
なぜなら、昔とは絶対的に違うインターネットの存在があるから。同じ何かを好きな人がインターネットを通じて1か所に集まれるようになったことが大きい。

ニッチと言うと、私たちの感覚では“隙間”というイメージであるが、ハーキン氏の提言では随分イメージが違う。どちらかとエンスージアスト=熱狂、という言葉が私の抱くイメージ。かつての中心であった大衆は去り、新たにニッチが市場の中心に浮上する。マーケティングの考え方も大きく変えていく必要があるのではないだろうか。

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共感できる企業を応援する、澤上氏の長期投資という考え方。

さわかみ投信、澤上篤人さんの講演を聞く機会があった。

澤上さんの投資に対する持論は、長期投資。

40年のキャリアのほとんどをその考え方で貫き通してきた、その重みを話の節々に感じた。
もちろん株を扱うだけに損をした人がいるのも当然のことで、諸々批判もあるようだが、考え方がぶれないということ自体、それはそれで素晴らしいことだと私は思う。私自身、株をやらないので、なおさらそう思えるのかもしれないが…。

話の中で特に印象的だったのは、「自分の子供、孫の時代になった時、この会社には残っていてもらいたいと思えるかどうか」を投資対象とするという澤上さんの言葉。

質問を受け付ける段階で質問者がどうすれば儲かるかという意見を一刀両断、質問の度にこの言葉を繰り返していた。

さて、私のこだわりとしてこの手の講演を聞くときは、著書があればできる限り読んでから出かけることにしている。
予備知識があれば、より深く講演者の話に入り込むことができるからだ。

というわけで、講演会前に昨年末に出た“お金を「まわす」だけでいい!”を読んだ。



本書の内容もほぼ講演の話とイコールで、企業を応援する長期投資が景気回復のカンフル剤となる理由について触れている。
世界一とも言われるタンス預金が、頑張っている企業の応援に回ることで企業も勇気づけられ好循環につながると。

もちろん良い話ばかりではない。
澤上氏いわく、3千数百社の上場企業うち、本当に応援したいと思える会社は、600ほどしかないそうだ。
この数が増えれば増えるほど、もっと良い世の中になっていくのだろう。逆に言えばこの数が増えない限り本格的な景気回復は望めないのかも知れない。

いずれにしても、株価は景気の先行指標として、いつの時代も重要な指標であることは間違いない。
幸い安倍政権となって今のところ株価も順調に上昇している。
予算の中身が公共投資中心に戻ることには大いに疑問を抱くが、景気の回復が雇用状況の改善につながるのであれば、ここしばらくは様子を見守っていくことを良しとすべきなのだろう。

澤上さんが主張する応援投資が、世の中を良い方向に変えていくことを切に願う。

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