アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

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小さな会社こそ、ブランディング。

中川政七商店十三代目、中川淳氏が書いた新刊「老舗を再生させたい十三代がどうしても伝えたい、小さな会社の生きる道。」を読んだ。



中川政七商店は、この近くだとタカシマヤ11階、三省堂書店前に「遊 中川」という店舗を構えており、知っている人も多いだろう。

本書では、創業300年の歴史を誇る自らの会社を見事再生させた実績をもとに、中小企業5社にコンサルタントとして係わった実例を紹介している。

中川氏のコンサルティングは「モノを売る」という考え方ではなく「ブランドをつくる」という考え方。

中川氏はマーケティングとブランディングの違いを端的にこう表現している。

マーケティング=市場起点
ブランディング=自分起点

市場を分析して穴(ブルーオーシャン)を探してポジションを取っていくのがマーケティング。
対して、まず自分たちが何をやりたいかどんなものを作りたいかが先に来て、その後で自分たちの市場におけるポジションを認識するのがブランディング。
やるべきことは同じでも何を起点にするのかが全く違うと中川氏。

さらに中小企業にはブランディングの方が方法論としては合っているとも言っている。
なぜなら中小企業の場合、お金をかけることができないので高度な市場分析ができないから。
そして、それほど大きなポジション(=売上規模)を取る必要がないからというのが中川氏の主張である。

問題は、「自分のやりたいこと」が知らず知らずのうちに「儲けること」になっていってしまうこと。
こうなると、ブランディングがマーケティングになっていってしまうから注意が必要だそうだ。

中川氏の手掛けた5社の実例の端々からも読み取れるが、ブランドづくりには経営者の覚悟が必要である。覚悟とは、こうと決めたらひたすら続けること。そして、捨てるものを明確にすることだ。もちろん最終的には会社を継続させるためには利益が必要になるが、手っ取り早く利益を求めると売りに走る。売ることを考えるとどうしても過去の成功体験にこだわり過ぎたり、アイテム数を無駄に増やそうとしたりする。そのあたりを覚悟を持ってばっさり捨て去ることができるか。その覚悟の度合いにブランディングの成否はかかっているといっても過言ではない。

さて中川氏のブランディングの考え方であるが、その他のコンサルタントと明らかに違うことは、中川氏が現在進行形のブランディングを実践する会社、中川政七商店の社長であることだ。自身の会社で社長として実践した目線で、かつての自身と同じ悩みを抱える会社のブランディングを考えることができることは信頼も大きい。

もうひとつ、中川氏のこだわりは、クリエイティブな部分には徹底的に一流のクリエイターを据えること。
あらゆる顧客接点で目に触れるロゴやパッケージはブランディングを大きく左右する要素であるからだ。
ここで予算を削ったり妥協したりするとすべてがご破算となってしまう。そこを中川氏はよくわかっている。

ブランディングの本というと、とかく理論が先行しがちだが、本書はその点非常に実践的で自身の会社にも応用しやすいわかりやすさが特長だ。一見遠回りに見えるブランディングこそ実は小さな会社を再生させる最大の近道、そう確信できる1冊である。
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フランス映画「最強のふたり」を観て。

フランス映画「最高のふたり」を観た。

映画「最強のふたり」

有名な俳優はひとりも出ていない。有名な監督が撮っているわけではない。
動員を計れる要素が少ないにもかかわらず、全世界で大きなヒットとなったのは、純粋に映画の完成度の高さによるものだろう。こういう映画はまず観て間違いないというのが私の経験則だ。

そんな期待を持って観た映画「最高のふたり」。噂にたがわず肌触りのよいカシミヤのような、上質な映画だった。

かたや事故で首から下が麻痺という障害を持つ大富豪、フィリップ。
かたや刑務所から出所したばかり失業中のドリス。
まさに普通に生きていれば会うこともない正反対ともいえる境遇のふたりが偶然出会い、やがて互いにかけがえのない存在となる物語。

金持ちと貧乏、障害者と健常者という以外にも黒人と白人、中年と若者など相反するさまざまな要素が複雑に交錯する。その設定が時にフィリップを強者に、時にドリスを強者にと物語に絶妙な変化を与えている。そしてハンディとも思えるその差が、最終的には人としての違い、いわゆる個性として際立たせる。つまりハンディとは世間の評価であって大切なのは自らの心の有り様だということを教えてくれる。まさにこれがこの映画の最大のテーマであり魅力なのではないだろうか。

観ている間に、自分が普通であることが恥ずかしく思えてしまう、そんな不思議な気分に陥った。

私がこの映画で感心したのは、音楽の使い方がとても効果的なこと。
私自身長年CMづくりに携わった経験から、音楽というのは伝わり方をどのようにも変えてしまう大変重要な要素のひとつだ。その観点からみても「ここでこう来るか」と選曲の妙をシーン毎に存分に楽しめた。
特にオープニングのセプテンバー、フィリップの誕生日のシーンのキーとなるブギウギワンダーランド、アースウィンド&ファイヤーの2曲のあて方は絶妙。しかも静的なシーンでは対比的にクラシカルな曲を用い展開の中でのギャップを上手に活かしている。

名前で観る映画もいいけれど、私が思う映画本来の魅力は、こうした名もない映画が、ある日、日の目を浴びて多くの人の心をとりこにしてしまうことだ。そこに映画の持つ力と可能性を強く感じる。

幸せとは心で感じるもの。そして感じ合える友がいれば、人生はもっと素敵なのものになる。「最強のふたり」を観てそんな想いを強くした。

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自らの手で自らの未来を選択できる。それが「多層的自立社会」。

組織経営論の提唱者、三木健氏が書いた「シフト~人生設計の可能な国に向けて」を読んだ。



今日、自民党の総裁選が行われ、決選投票の末に、安倍元総理大臣が自民党総裁に復帰した。

日本では珍しい総裁への返り咲きのケース。

ただでさえ、日本は一度失敗すると再び起き上がることが難しい国だ。
そういう意味では安倍さんのような経験を持つ人の返り咲きは、日本がこの先起業でチャレンジできる風土と、一度失敗しても再起に優しい国を作ってくれることを期待できるのではないだろうか。
ぜひ安倍さんにはそんな国家感を示してほしい。

さて本書の内容であるが、三木氏が考える「人が中心」となるこれからの国家感をまとめている。
まず何より感嘆させられるのは三木氏の知見、教養の深さである。それだけでも一読の価値があるというものだ。

今の世の中、誰が見てもある種の限界を迎えているのは明らかだ。
重要なのは、限界を認識して、それではこの先どの方向を目指して進んでいくかだろう。

三木氏の提言は実に意義深い。

すでに成熟域に達した日本は「量的成長主義」「経済産業主義」から「質的成長主義」「人間・社会中心主義」へと移行すべき、というのが三木氏の考えだ。

さらに、移行するためには、企業も目的、つまり成長の再定義、目標や経営手法のリセットが必要になると三木氏は続ける。

三木氏の国家感は「多層的自立社会」を理想としている。

地域の小コミュニティから国家規模のコミュニティまで、さまざまなコミュニティが多層的に存在し、それぞれのコミュニティで人が活き活きと役割を果たす、それが「多層的自立社会」だ。

当たり前だが、企業も社会も人で構成されている。
これまでの時代はどちらかというと成長のためには人が犠牲になってもやむを得ないという価値観があったが、これからはあくまで人が主役で、人の幸せに合わせて社会や企業のあり方を考えていく時代になるだろう。

本書を読んで、そのあたりのイメージがぐっと明確に見えるようになった。それが何よりの収穫である。

三木氏は「多層的自立社会」のポイントを二つ挙げている。
ひとつは、地域のコミュニティ内で雇用を創造し住民が地域に根付くようにすること。
ふたつ目は、人口構成が地域コミュニティ内でもバランスが取れていること。
このような多層的自立社会が実現できれば、そこに存在する人は間違いなく幸せな道を進めると三木氏。

人間らしくあること、個性的であることがまだまだ企業の中では難しい状況だ。
経営に携わる社長や経営幹部がこの本を読んで、人が主役となったこれからの企業のイメージを描いて頂ければ、そこで働く人は今より幸せになれるに違いない。

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なにものにも替え難い、対面して話す価値。

ひと昔前、インターネットが世の中に浸透していく時。
ネット社会になるとメールで事済んでしまうため会う機会が少なくなる、というようなことが言われた。

しかし実際は、減るどころか会う機会が多くなるというリサーチ結果が出て「確かにそのとおり」と激しく同意した記憶がある。

そして、今やソーシャルメディア全盛の時代だ。
フェイスブックを始めとするSNSは、まさに出逢いの機会を創造するメディアである。実名制であることも大きいだろう。

久しく会っていなかった懐かしい友人と。出かけていたイベントで出会った人と。善循環と言いたくなるほど、SNSをきっかけにあらためて顔を合わせて話す機会が加速度的に増える。

自分自身振り返って考えてみると、広告会社にいた頃は、同じ業界の人と面識はあっても、いざ食事をするとしても利害が働きそうでなかなか気軽に約束して会うことが難しかった。特に競合関係にある広告会社の人となると大いに抵抗があったものだ。

それが、幸い(生活面では幸いではないが)会社が無くなり同時に広告業界を離れたこともあり、いまは広告業界の知り合いともまったく利害関係がなく、会って気軽に話ができるようになった。
正直、広告会社にいた時の何倍も会って話しお酒を飲む機会が増えている。
業界を離れた時は予想すらできなかった、うれしい誤算である。

今思うこと。

会うということはそれなりにエネルギーがいる。しかし、そのエネルギー以上に新たなエネルギーをもらうことができる。ある程度知っていると思っていた人でも、あらためて心を開いてフランクに話してみると、その人の新たな魅力を発見でき、うれしくなる。

だから、時間が許す限り、人と会うことを優先したい。対面して話す価値は何ものにも替え難いのだ。
これからのビジネスは、意外とそんな関係から生まれてくるような気がしなくもない。楽しみである。

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「ものづくり」から「しくみづくり」の時代へ。

電通コンサルティング著「しくみづくりイノベーション」を読んだ。



すでにご承知のとおり、この時代、商品のコモディティ化が急速に進み商品自体では差別化が難しくなっている。

にもかかわらず、日本企業は商品の自社生産にこだわりすぎて「生活者の心を動かすような提供価値を持った商品を生みにくい体質になっている」。そしてそれが日本の企業の危機につながり、ひいては国内消費の成長の停滞の大きな原因になっている。というのが、本書における電通コンサルティングの変わらぬスタンスだ。

そして、その対極にあるのが株の時価総額世界一となったご存じアップルの成功。

アップルと日本企業の大きな違いは、日本企業が「ものづくり」にこだわったのに対し、アップルは徹底して「しくみづくり」を追求したことにある。
アイポッドの爆発的なヒットは、製品そのものの魅力以上にアイチューンストアの存在によるところが大きい。
音楽をダウンロードして聞く新しい価値、新しい文化を創造したことが最大の成功要因なのだ。

そしてこのアイポッドの成功は、早い時点で「ものづくりだけでは生き残れない」ことを日本企業に教えていた。にもかかわらず、柔軟に対応できなかった結果が今日の国内メーカーの慢性的な不振につながっている。この事実を良い教訓とすべきだろう。

さて、それでは「ものづくり」から離れてどうしたらアップルのように「しくみづくり」で優位性を創ることができるかが本書の最大のテーマ。

「しくみづくり」というと難しく感じるが、しくみづくりのポイントを、エジソンを例に挙げてわかりやすく教えてくれている。

電球を発明したことで有名なエジソンだが、彼の最大の功績は電球を使って多くの都市に電灯を灯すという環境の整備を行ったことにあるのだそうだ。つまり電力の供給システムという「しくみ」を世の中に構築したその功績こそエジソンが後世に名を残すことになった最大の理由であり、「しくみづくり」の成果に他ならない。

さらに電通コンサルティングは本書で、マーケティング・ドリブン・ビジネス・デザインという「しくみ」をデザインする具体的な方法論を提示する。

詳しい手法は本書を読んでほしいが、すべての起点は「顧客を理解する」ことから始まるというのが電通コンサルティングの主張。つまり、これからの企業は製品技術を磨くのと同様に「顧客を理解」する技術を磨かなければ生き残れないのだ。言いかえればアップルと日本企業の最大の差は、「顧客の理解」の差と言っても過言ではないように思う。

さらにここでは、論理よりひらめきを重視するクリエイティブな発想も合わせて必要になってくるに違いない。

商品もサービスも「しくみづくり」から考え直してみる、視点を変えればまだまだ未開拓な市場が見えてくるのではないだろうか。
ともすれば企業の生き残りという重いテーマではあるが、「しくみづくり」でその苦境を脱するためのポイントをわかりやすく噛み砕いて教えてくれている。「しくみづくり」を学ぶには貴重な1冊である。

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住所も連絡先もない不思議なチラシ。

コンサルタント佐藤元相氏の書いた「あなたのところから買いたい」とお客に言われる小さな会社、を読んだ。



先に紹介した「あなたが先に儲けなさい」の菅谷氏と同様、佐藤氏もMBAも持たなければ有名コンサルタント会社出身でく大学すら出ていない。しかし逆にそのなにげなさが小さな会社にとっては親近感につながっているようで、世の中捨てたものじゃないとあらためて思う。

そもそも、できるコンサルタントが必ずしもすべての会社のためになれるかというと決してそうでもなく、特に中小企業となると高度な戦略よりもここぞという一点突破のアイデアが重要になる。ゆえに佐藤氏のような実践派のコンサルタントの出番となるわけで、ニッチな世界で自分のポジションを明確にすることがいかに大切か、本書は教えてくれている。

さて、本書の内容であるが、佐藤氏が追求する一貫したテーマ「感性マーケティング」を中心に展開。
感性というといささか抽象的だが、要はお客様との「共感」を前提としたマーケティングである。

本書に登場する実例は、自身が主宰する「あきない☆実践道場」でのものがベースとなっており、ここも先の菅谷氏同様、実践型コンサルタントの本領発揮といったところか。

佐藤氏のコンサルティングのポイントは、売り込まないこと。まずはお客様との関係づくりに主眼を置き、欲しいと思った時にいかに自社を思い出してもらえるかを前提としている。

タイトルに掲げた「住所も連絡先もないチラシ」もその考え方を具現化したものだそうで、新築の住宅会社などで実際に行っている実例。工事中で迷惑をかけるお詫びから入り、それ以上は一切連絡先すら情報を盛り込まない、しかもすべて手書きという徹底ぶり。

連絡先のないチラシなんてそもそもチラシなのか、ということだが、あくまでコミュニケーションツールであることが重要なのだそうだ。

広告業界に馴染み過ぎると綺麗に作ることが当たり前の常識になってしまうが、確かに伝わるかどうかというと一方通行で終わるケースが多いことは否めない。手書きがあることを良しとするかどうかは別として、相手の立場に立って心が込められていなければ、受け取る人には見抜かれてしまう。そういう意味では佐藤氏のコンサルはどこまでも顧客視点に立脚したコンサルだ。

感性=心を重視した佐藤氏のコンサルティング。売るのはあくまでお客様が必要な時、それまではじっくり関係づくりに努める。できそうでなかなかできない。ともすると我慢できず売りに走ってしまう。それこそ自分本位のマーケティングだ。佐藤氏の考え方は一見回り道のように見えるが、実は近道なのだということが本書を読むとよく理解できる。

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儲かるまでコンサルタント料は頂きません。

菅谷信一氏の書いた「あなたが、先に儲けなさい」を読んだ。



自称、世界で唯一の出世払いコンサルタント。ビジネス的にいえば、成功報酬型コンサルタントとでもいうのだろうか。しかし普通は成功報酬といってもまったくお金を取らないわけではなく、基本料だけは取ったりする。

しかしながら、菅谷氏はとにかく相手が利益を出して払えるようになるまではびた一文も頂かないという徹底ぶり。そもそもそれで生活していけるのか、と考えるのは素人の浅はかさだろう、実際菅谷氏はこのスタイルで15年コンサルタントを続け多くの企業の再生を手掛けてきている。

私自身、菅谷氏の本は過去に2冊読んでいる。その2冊にも共通するのだが、菅谷氏の武器はインターネット、ある意味インターネットの申し子的な存在で、中でもユーチューブとアメブロ、ニューズレターが三種の神器。

この3点を中心にネット検索でその会社をある分野でずば抜けて知名度の高い会社に仕立て上げてしまう。

さて、なぜ出世払いなのかというと、菅谷氏のコンサルティングする会社はいずれも「余命6カ月」という倒産寸前の会社であるからだ。もともと払いたくても払うお金がないのである。

本書は、そんな会社を見事に甦らせた奇跡の物語が中心になっている。

この手の本は大抵がちょっとした事実をこれでもかと膨らませて書いてあるまゆつば的なものが多く疑ってかからなければならないが、菅谷氏に限っては戦術がシンプルで実に理にかなっている。

私自身ネットに長い間携わっていただけに、弱者の戦略と言うとまずは検索エンジンで上位にかかること、特にニッチな世界でのナンバーワンをとること、その点で菅谷氏のコンサルは、私も以前より共感できる点が多かった。
やや心配なのは検索エンジンからソーシャルストリームにネットの比重が移ってきていることだ。その点の菅谷氏の見解がここまでの著作では見えてこない。

加えて残念なのは、内容が充実しているのにもかかわらず、ややほら吹き的に読めてしまうことだ。せっかくの中身が逆に嘘っぽく見えてしまうのはやや大げさな語り口のせいかなと思う。少しもったいない気もしている。

それは別として、菅谷氏コンサルによる零細会社15社の再生事例は、読む人に勇気を与えてくれるのは間違いない。しかも、もし今会社が壁に当たっている経営者には、すぐに使って見てもよいと思える具体的なアイデアも満載だ。

コンサルタントというと、とかく先銭、何かあればお金お金という感じがあるが、菅谷氏の考え方を聞くと、少しほっとできる。可能であれば、ぜひ一度こんなコンサルタントと仕事をしてみたいものだ。

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真面目にコツコツ、会社を沈めていませんか?

組織開発ファシリテーター森田英一氏が書いた「こんなに働いているのに、なぜ会社はよくならないのか?」を読んだ。



タイトルを読んで「本当にそのとおり!」と思わず相槌を打ちたくなるような絶妙なタイトルに、まずは座布団1枚。

うすうすわかっているけど、どうしようもないと思っていること=「囚われ」 と定義して、この囚われこそが会社がよくならない最大の原因というのが、森田氏の持論。

囚われそのものは、ある意味思い込みであって、実際のところ幻想であることも多い。目に見えない敵を自分ででっち上げ、意気消沈しているというような構図だ。

囚われると何が問題かというと、まず人のこと、他部署の事が考えられなくなり、部分最適に陥る。
また、先のことを考えることが面倒になり、目の前に起こっているだけしか考えられなくなる、いわゆる短期最適にも陥ってしまう。

部分最適に短期最適。こんな状態では、どんなに忙しく働いても、働きが報われない状態に。
結局やる気がなえて社内にあきらめの嫌な空気が蔓延するというわけだ。これが悪循環というものだろう。

森田氏の職業は、こんな囚われに陥った会社を、組織開発ファシリテーターという立場で絡みあった糸をほぐし、努力が報われる会社に変えていくこと。

悪循環を脱する方法として、森田氏は「センサー機能を高めること」「質の高い対話を推進すること」「俯瞰してみること」の3つを挙げる。

社員との対話を通して何に囚われているかを気づく。そして少し高いところに立ち、点である気づきをつなげて共通の課題を見つけ出す。そうした活動を通して、ある瞬間をきっかけに、劇的に組織は良い方向へ変わっていくという。

十年一日のごとく、真面目にコツコツ働くことが美徳と言われた時代も確かにあった。しかし、今のように変化の激しい時代には、まず真面目にコツコツ=会社のためという価値観そのものを変えないと、かつての製版業や写植業のように、気づいたら仕事そのものがなくなっていたという笑えない話が起こり得る。

身の回りのすべてのことを、まずは疑ってかかれ。
真面目にコツコツタイプの人には厳しいが、気づいた人が生き残る時代なのである。それを肝に銘じなければならない。

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小さな共感の積み重ねが、やがて社会を動かす。思いやりの仕事術。

映画「おくりびと」の脚本ですっかり有名人となった放送作家、小山薫堂氏が書いた「幸せの仕事術」を読んだ。



登場するエピソードはすでに小山氏が過去に出版した「「人を喜ばせるということ」「つながる技術」などで紹介されているものが多く、やや新鮮さに欠けているというのが正直な印象。

たとえば、自身の持ち込み企画で実現したお弁当屋さんの特別なお弁当、偶然乗ったタクシーの運転手がパン好きと知って渡した自身のお店の無料券、イチローのお母さんの作ったカレーが特別なカレーに変わる瞬間、などなど、小山氏の有名なエピソードがここでも登場する。

あらためて考えてみると、それもこれも決して特別なアイデアではない。
それでも何度見聞きしても新鮮に映るのは、小山氏の企画が、何とかしてやろうと虎視眈々と企てられているのではなく、もう少しなんとかできないかなぁという「自身の素朴な想い」から生まれていることではないだろうか。

つまりは、アイデア自体が気張らず自然体で実行されやすさを前提として考えられており、受け取った人の笑顔が想像できることだ。この点に小山氏の企画の真骨頂があるのだろう。そういう意味で小山氏は、実行力の人というのが私の感想である。

過去私自身も企画に携わっていて痛感するのは、企画で重要なのは、その企画が実現されるかどうかだ。紙の上でどんなに素晴らしい企画であっても実現されなければ何の意味もないからである。

この本のテーマは、まさにここにある。

企画とは特別なものではなく、日常の中にあるちょっとした気づきをに気づけるかどうか、気づいたたら実行に移せるかどうか。その想いをどう考えたら形にすることができるかをわかりやすく教えてくれていることだ。
だから企画のプロフェッショナルからみると、いささか物足りない内容かもしれない。

彼の考える企画のポイントは、まず自分自身が楽しむこと。そして自分の周りにいる人を巻き込み幸せな気分にすること。その積み重ねがやがて多くの人を楽しませ善い循環を創り出す。

どこまでいっても、基本は身近に存在する小さな小さな単位なのである。

私自身も経験があるのだが、マスコミュニケーションが前提になっているとどうしても個が見えにくくなってくる。一丁やってやろうと力が入るほど、独りよがりの上滑りの企画になってしまうものだ。しかも経験を重ねるほどその度合いが強くなっていく。その点、小山氏の著書を読むと、いつも企画の原点を思い返させてくれる。企画は特別のものではなく、人を喜ばせたいというシンプルな想いの結晶であることを。

ビジネスの現場で企画が求められる範囲がどんどん拡がっているのが今の世の中。
素人だから企画はできないと考えるのではなく、まず近くにいる人を喜ばせてみる、そんなところから始めてみると意外と気づかなかったアイデアが生みだされたりするものだ。
すべての人をプランナーに変えてしまう「幸せの仕事術」。あなたの中で眠っている企画の力が呼び覚まされるかもしれない。

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GDPが増えれば、本当に私たちは幸せになれる?

枝廣淳子さんとアラン・アトキソンの共著による「GDP追求型成長から幸せ創造へ~グリーン経済とそのあとに来るもの」を読んだ。



持続可能型社会の実現に向けて講演会、出版と精力的に活動を続けるふたり、本書でも持続可能なこれからの国家、経済のあり方を鋭い切り口で説いている。

そもそも経済成長とは何か?

本書では過去に遡って経済成長が歴史の中でどのような形で進められてきたかがわかりやすくまとめられている。
経済成長の歴史を知ることで、あらためて今後も経済成長が必要かどうか、読む人ひとりひとりに考えてほしいという、ふたりからのメッセージなのだろう。

「経済成長」はあくまで手段であって、目的は「誰もが幸せに暮らせる社会を創ること」と枝廣さんはいう。

統計データを持ち出すまでもなく今の世の中を見ていると、幸せを実感している人は以前より大きく減っていることは間違いない。

3万人を下らない年間の自殺者。長時間労働で疲弊した会社員、その延長線で鬱病を患う人々。すべてが経済成長をひたすら追い求めてきた結果、というと言い過ぎだろうか。今の多くの政治家の議論を見ていても、そもそも経済成長自体を目的化してしまっている、現実とのその乖離の大きさ自体に問題を感じるのだ。

国の行く末を左右する政治家だけに、もうすこし大局的に俯瞰してみて本当に経済成長が必要かどうかの議論を重ねてもらいたいと切に願う。

さて本書は、この経済成長と幸せの関係を問い直すというのが大きなテーマになっている。

「グリーン成長」がこれからの社会に対する重要なキーワードになっているが、これに対してもふたりは、成長ありきの考え方がベースになっており従来通りの成長と大きな違いはないと手厳しい。

冷静に考えてみればわかることだが、重要なのは、成長が必要か必要でないかの議論ではなく、地球環境を損なうことなく人々が幸せになれる社会の実現に対する議論なのである。

そこを間違うと、自分で自分の首を絞めることになり、地球人にとって最悪の事態にもつながりかねない。

未来の運命は、まさに今ここに生きているひとりひとりの手に委ねられているのだ。
そういう意味では枝廣さんとアトキソンの提言は実に重い意味を持っている。

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