アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

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移行期的乱世を招いた「縮減モデル」、そして民主主義的な限界。

平川克美氏が書いた「移行期的乱世の思考」を読んだ。



移行期的乱世、つまり時代が大きく移り変わる時に一時的な混乱状態にある世の中、とでもいうのだろうか。

平川氏は、今まさにこの時をこのひと言で鋭く切り取った。あらためて言葉の力を思い知った次第である。

本書はこの移行期的乱世を、私たちはどのように考えて生きていくべきかについて語っている。

あえて語っていると書いたのにはわけがあり、本書は“考え続ける編集者”新求仁子さんが平川氏に行ったロングインタビューをまとめたもの。本書を読み応えのあるものにしているのは、この新氏の力に負うところが大きい。

さて、移行期的乱世同様に本書に度々登場するのが「縮減モデル」という言葉。本書の重要なテーマにもなっている。

縮減とは、物事を非常に単純化して考えるということで、ある意味民主主義の原則ともいえるキーワード。

平川氏いわく、ビジネスはまさにこの「縮減モデル」の典型で、“二項対立の式で物事の答えを出そうとするもの”と。

なぜそうなったかといえば、ビジネスとはそもそも株主の要請に応えて「良い結果を早く出す」宿命にあるものだからだそうだ。株主にとってはプロセスなどどうでも良い話で、どこまでいっても利益ありき、なのだ。

本当は、その間に複雑なプロセスがあるのにもかかわらず、それらをすっとばしてわかりやすく答えを求めてしまう(=縮減)、この縮減モデルの行き過ぎた結果が今の危機的状況、まさに混乱期の到来を招いた根源なのである。言いかえれば、民主主義の限界、危機と置き換えられるのかもしれない。

郵政民営化、イエスorノーと問いかけた小泉改革。そして必要か必要でないかの議論まっただなかの原発。
考えてみれば、このところの国の問題のほとんどに、この「縮減モデル」があてはまる。

それではこの混乱期に私たちはどのように考え行動すべきか。

大切なのは、縮減モデルをビジネスの場だけのものとして、決して個人の人生観に持ち込まないことだと平川氏は主張する。具体的には二項対立の問いに対して、もうひとつ次元を繰り上げて、常識と直観に立ち返ることが重要なのだそうだ。

読み終えてあらためて思ったこと。
それは、“すべての常識は疑ってかかれ”だ。そして立ち止まって物事の背景を今一度点検してみることが重要だということだ。

いたずらに結論を急がず、時にスピードを落としてゆっくり歩みをすすめる、そんな生き方が求められる時なのかもしれない。
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「自分ゴト×仲間ゴト×世の中ゴト」で創るこれからの影響力。

戦略PRの本田哲也氏、ソーシャルメディアマーケティングの池田紀行氏。
それぞれの分野で第一人者であるふたりの共著による「ソーシャルインフルエンス」を読んだ。



その分野の著作も豊富なふたりだけに、この度の合体は衝撃的でもあるが、そもそも過去の著作を読んでも共通点が多く、ある意味必然とも言えなくはない。

タイトルにもなっている“ソーシャルインフルエンス”とは、ひと言でいうと、世の中を動かす影響力。

このソーシャルメディアの出現によって生まれた新たな影響力をマーケティング力とするために、コミュニケーションをどのように設計すればよいかを解説しているのが本書だ。

本書の中で池田氏は、ソーシャルメディアをひと言で「公園のような場所」と説明している。

公園には毎日いろいろな人が様々な目的でやってくる。
そんな場所に突然企業が大音響を発するアドトラックでやってきて自社製品の売り込みを始めたら・・・
無視されるか嫌われるかのがオチだろう。

しかし、ソーシャルメディアではそこかしこでそんな無謀なことが平然と起こっていると池田氏。

みんなが集まっているから、そこで宣伝をすればすごく効果的なんじゃないか?
そこで宣伝すればみんなが口コミで拡げてくれるんじゃないか?

大いなる勘違いである。

しかし、広告関係者でさえもネットのリテラシーが低いと、旧来の広告と同じようにソーシャルメディアをこんな風に活用できると考える人が未だ絶えない。

公園には公園のマナーがありルールがあるのである。

だからこそ本書でふたりが提唱しているのが「自分ゴト×仲間ゴト×世の中ゴトのデザイン」。本書のテーマでもある。

自分に関係あると思わせる=自分ゴト。
仲間はみんな知っている状態をつくる=仲間ゴト。
誰に話しても知っている状態をつくる=世の中ゴト。

戦略PRとソーシャルメディアの適切に設計することで、人を動かし、話題をつくり、世の中を動かす。
その結果として商品が売れサービスが利用されるようになるのだ。

言うまでもなく、ソーシャルメディアマーケティングは、テレビCMのような瞬発力メインで完結する短期勝負のマーケティングではない。
いつもユーザーに寄り添い中長期的なブランドコミュニケーションでエンゲージメントを高めていくマーケティング(本書では、オールウェイズオン型と呼んでいる)であることを忘れてはならない。

だから時間もかかるし、一方的に売り込むのではなく、ユーザーとともに共感をつくることが大切になるのである。

いままさに旬、そして、これからしばらく広告業界を賑わすことになるであろうキーワード、“ソーシャルインフルエンス”。

まずは本書でそのエッセンスを押さえておいても決して損はないだろう。

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素晴らしい人柄が、素晴らしい会社と世の中をつくる。

「日本でいちばん大切にしたい会社」シリーズでおなじみの法政大学教授、坂本光司氏と価値研が書いた「21世紀をつくる 人を幸せにする会社」を読んだ。



前著「日本でいちばん大切にしたい会社」では、数十年も前から障害者雇用を続けている日本理化学工業、内山社長の素晴らしいエピソードを紹介した坂本氏。

そのエピソードとはこんな話だった。

ある人に頼まれて障害者2名を試験雇用として迎え入れたが、なかなか難しい。
試験採用期間が終わり本採用は断ろうと考えていた時、いっしょに働いていた従業員がぜひ2人を正式採用してほしいと訴えてきた。
足りない部分は自分たちが補うからと。その心に打たれて2名の採用を決めた内山社長の覚悟とともに日本理化学工業の障害者雇用の歴史がはじまる。

採用を決めた社長も素晴らしいが、社長に採用を直訴した従業員の方もさらに素晴らしいではないか。従業員が利他の心を持てる会社はやはり強いとこのエピソードを読んで確信した次第。

さて本書、鎌倉にある鎌倉投信というまたまた素晴らしい考え方を持つ蒲田社長と意気投合して創った「価値ある企業の指標策定に関わる研究会」、略して「価値研」での共同研究から生まれた。

数百社への取材、調査をもとに21世紀を創る価値ある企業の姿を見える化することが目的だそうだ。さすが坂本氏、シリーズは変わってもその考え方には全くぶれがない。

本書で紹介されているのは、アイエスエフネット、スギ製菓、コガワ計画、エフピコ、スワン、石見銀山生活文化研究所、旬材、めのや、生活の木、四国管財、フェリシモ、アチーブメントの12社。

それぞれ業種業態は全く異なるが、やはり共通しているのは社長や従業員の人柄の素晴らしさ。

ひとことでいうと、利他の心に満ち溢れていることだ。簡単なようで難しい。
素晴らしい会社の力とは、経営する人、働く人の「良い心」の総和だとあらためて思う。

もちろん人柄だけでは経営できない。しかし良い人柄でなければ正しい経営はできないと、つたない人生経験ではあるが私自身は確信している。

儲かっている会社をまねるとか、流行っている会社をまねるだけでは長続きしない。
ましてやどんなに儲かっていても人を大切にしない会社は結局のところ従業員も顧客もついてこないだろう。

本書では、価値ある企業は3つの資源形成に力を入れているとしている。

(1)正しい経営理念を浸透させる“経営理念力”
(2)社員のやる気を高める“人財育成力”
(3)社員同士、社員の家族、取引先や地域社会などとの絆を結ぶ“信頼形成力”

この3つの力をベースに経営を実践する会社、まずはその存在を知ってほしいと切に思う。

この厳しいと言われる世の中でも、こんな素晴らしい会社が間違いなく存在しているという事実があるのだ。

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イノベーションを最短で進めるために、社内に出島をつくる。

経営コンサルタントの河合拓氏が書いた「ブランドで競争する技術」を読んだ。



河合氏は学卒後、商社でファッションブランドの仕事に従事、その後経営コンサルタントに転身した人。

現在の会社に入社後はそのキャリアを活かして数々のファッションブランドのターンアラウンド(再生)を手掛けてきたそうだ。

それだけに日本のブランドビジネスに造詣が深く、本書の中でもオンワードからワールド、レナウンなどの老舗ブランド、そして無印良品、ユニクロ、ナルミヤインターナショナルなどの個性的なブランドまで、さまざまなブランドの強み、弱みを冷静に分析しているのが特徴的だ。

さらには、長い間そのブランドビジネスの推進役だった百貨店のビジネスがなぜ成り立たなくなったのか、その歴史的経緯からビジネスモデルまでを時代の移り変わりと合わせてわかりやすく解説している。

世の中のあらゆる分野でファッション化が進んでいる今、ファッションブランドを通してブランド論を考えてみることは理にかなった事といえるのではないだろうか。

河合氏はターンアラウンドの豊富な経験から、再生を前提に新たなブランドを立ち上げる時、もっともイノベーティブに進めるためには、社内に独立した出島を作ることが成功確率が高いと話す。

その出島に既存組織とは切り離した形で事業を推進しながら、まずは小さな組織で大きな改革を成し遂げ、その成功体験を徐々に組織全体に展開していくことが結局のところ近道なのだそうだ。

河合氏が「出島理論」と呼ぶこの方法で成功したのが、かつて西友が立ち上げた「無印良品」。

大手GMSがファッションブランド立上げでことごとく失敗していく中で、唯一と言ってもよい成功事例である。

「出島理論」は、ここではファッションブランドに特化して書かれているが、他業種の商品ブランド戦略においても十分に展開可能と思う。

本書で河合氏はブランド戦略の考え方を「3つの価値」を元に展開している。

(1)機能価値:商品の物理的な完成度
(2)サービス価値:ホスピタリティ、特別な接客、eコマース
(3)イメージ価値:商品が生みだす世界観、ストーリー、伝統

ファッションブランドのエピソードなど初めて読む話も多く意識がそちらに向かいがちになるが、実はブランド戦略に必要な基本中の基本がきっちり押さえられており、ブランドについて学びたい人にも格好の1冊ということもできる。

このブログでも再三書いてきているが、ほとんどの商品でコモディティ化が進んでいるのが今という時代。

そういう意味では、ブランド戦略はすべての企業で避けて通れない道であることは間違いないし、今ほどクリエイターのみならずすべての人に、その理解と実践のための知識が求められている時はないともいえる。

もし売上低下、商品力低下で悩んでいるのであれば、ブランドを学ぶことで会社の危機を救えるかも知れない。

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営業とは「モノを売る仕事」ではなく、「情報の力で相手を動かす」活動である。

「営業の見える化」「仕事の見える化」など、見える化でおなじみの経営コンサルタント、長尾一洋氏の書いた、営業マンは「目先の注文」を捨てなさい!を読んだ。



20世紀のできる営業マンのスタイルはひと言で言って「狩猟型営業」。

市場のパイが拡大する時代、次から次へと獲物が待っていた(お客様を獲物とはあったならぬことであるが)。
ハンターは貪欲に新規顧客を獲得し、自らの手柄をアピールしたものだった。

まず新規ありきなので、一度釣った獲物には興味がない。手の平を返したような態度も横行した。

しかし21世紀に入って時代は180度の転換、どの市場もシュリンクしており、新規顧客自体が減っているのが実情。それでもなお狩猟型の営業は負けず戦いを挑むが、顧客も成熟しており嘘っぽい営業はいとも簡単に見抜かれてしまう。つくづく時代は変わったものだと思う。

しかしながらそれほど時代が変わったにもかかわらず、悲しいかな未だに〆前の押し込み型のセールスがまかり通っているという現実もある。何としても今月のノルマ達成のために注文をもらうまでは帰ってくるな!と指令が飛ぶ。

そもそも〆日はこちらの都合で顧客の都合ではない。身勝手な営業マンは早晩お役ごめんとあいなり評判を落とすどころか二度と顔も見てもらえない状況もありえるのだ。

本書の著者、長尾氏はそんな営業スタイルは為にならぬと警鐘を鳴らす。
そこで提唱するのがストラテジック・セールスという手法だ。

「がんばって足で稼ぐ」から「頭をつかって稼ぐ」への転換である。

そのために重要なキーとなるのが情報収集。これを長尾氏は諜報活動と呼ぶ。

ストラテジック・セールスを簡単に説明すると、いわゆるセールスしたけど受注につながらなかった失注客をいったんダムに貯蔵、定期的にアプローチすることで情報収集に努め、タイミングを見て観覧車と呼ぶ受注サイクルに乗せ、受注率を効率よくアップさせようというもの。

PDCAのサイクルを回すことで時を経るごとに情報の精度が上がってくるメリットがあるし、今まで失注ということで忘れられていた存在に光をあてることで無駄な消耗戦を避けられるメリットもある。

さらには既存顧客もこのサイクルに乗せることで継続的な顧客あたりの売り上げアップにもつなげられる。

まさに善循環を回す営業手法、それがストラテジック・セールスなのだ。

長尾氏いわく、「売らなくてもいい」と思ったとたんに売れる、それが営業の本質であると。

売ることを忘れることで、自分自身の弱みがなくなるし、お客様の立場にも立てる。

単純なことのようであるが実は奥が深い。実は経験豊富な営業マンこそ忘れがちなポイント。

断られることはマイナスのようであるが、断られことをプラスにできる。長尾式ストラテジック・セールス。営業マンならず商売をされている方にも一読の価値ありである。

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公ではできない社会的課題の解決。それがクリエイターの役割になる未来。

「幸せに向かうデザイン~共感とつながりで変えていく社会」を読んだ。



編・著者のひとり、博報堂デザインの永井一史氏が自ら言うように、10年前ならとてもデザインという概念が当てはまらなかったくらい、あらゆる分野にデザインの領域が拡がっている。

今デザインと呼ぶべきものは、社会の仕組みを設計することとイコールだ。

世の中には課題がいっぱいある。
というか、昔とは比べようのないくらい課題が増えているのが現状と言ってもよい。

長い時間をかけて豊かさを追い求めてきた結果が、行き場のない閉ざされた社会で息が詰まるような厳しい現実である。

社会的格差、貧困、差別、いじめ、地球温暖化、原発事故、ざっと挙げただけでも指が足りなくなるくらい、先進国であったはずの日本が、いつのまにか課題先進国となってしまった。

そんな中、「政治では、政府頼みでは、とても解決できない」やりきれない思いを抱え自ら解決に立ちあがった人たちがいる。

本書「幸せに向かうデザイン」は、アートディレクターの永井一史氏とコミュニティデザイナーの山崎亮氏のふたりがそんな彼らとの対話を通して、これからの日本のあり方を模索していく。

梅原真氏、曽根原久司氏、田中浩也氏、北川大祐氏、篠塚恭一氏、丹羽順子氏、小松真実氏、井上英之氏、西山浩平氏といずれもそれぞれの道でのパイオニアといえる存在。

象徴的なのは彼らが口を揃えて言うこと。「自分がやっているのはソーシャルデザインというような大仰なものではなく、その時たまたま身の回りにあった課題に自分なりに取り組んできただけ」だと。

そう、ソーシャルデザインとは決して特別なことではなく、誰もが取り組むことができることであり、本来取り組むべきことなのである。

本書に登場する9名のいきさつから今日までの足跡を知るとその意味がよくわかるというものだ。

この本を読んで、自分自身が思いを強くしたのは、この先課題解決の手段としてクリエイターの資質が求められるステージが十分にあるということだ。

広告という枠の中では身動きが取りづらい世の中になったが、外に目を向けてみると、逆にさまざまなチャンスが待っているともいえる。

大切なのは、プライドという鎧を取り払って0から自分自身のキャリアを棚卸してみること。そこから新たに見えてくる可能性がたくさんあるはずだ。

能力を活かすチャンスは、実は自分自身のすぐ近くで眠っている。今が掘り起こす時なのである。

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広告とソーシャルメディアがつくった「つながり」の道を情報が自走していく。

電通のアカウントプランナー京井良彦氏の書いた「つながる広告」を読んだ。



京井氏にとっては前作「ロングエンゲージメント」に続く2作目の著作。

前作同様、私自身はこの新刊での彼の主張にも全面賛同だ。

かねがね自分がもやもやと頭の中で考えていたことを文章で整理してまとめて「どーだ」と提示された感覚。
「なるほど、そういうことだよね」と、登場する事例も含めページをめくる度にうなづくばかりだった。

ソーシャルメディアと広告の関係を書いた本はほかにもたくさんあるが、どちらかというと、広告、特にマス広告には否定的なネット側の人によって書かれたものの方が多い気がする。

そんな中で、彼の著作は、同じ電通の佐藤氏が書いた「明日の広告」と同様、あくまで広告の可能性を前提に書いている点に希少価値があり、読んでいてもワクワクするような高揚感を感じられる。

もちろん現役バリバリのアドマンであることの影響も大きいが、広告への熱い想い、広告業界に対する深い愛情がバックボーンとなっていることが大きいのではないだろうか。

さて肝心の内容、本書のタイトルにもなっている「つながる広告」の主旨であるが、
広告がソーシャルメディアと連携することにより、人と人、企業と人がつながり、そのつながった道の上を情報が自走していくというものだ。

京井氏は、そこに新しい広告の姿を確信している。

少し前までの広告は情報を自社の有利なようにコントロールして説得する役割がメインだった。
しかしこれからの広告は、あくまで「つながる」ことにより共感を創造することを前提とする。
従って、企業にとって大切にしなければならないのは、つながった後のつながり続ける情報の発信力になってくるのだ。

承知の通り、ソーシャルメディアが主流となる時代は、情報はコントロールできないことが前提。
だからこそ真摯な隠し立てのない情報発信がなされなければならない。

人と人がつながった道の上を情報が自走して「共感」を広げていく。なんとも夢のある喩え、
その新しい姿が、何となくではあるが可能性とともに具体的な映像としてイメージできるのではないだろうか。

現役アドマンはもちろん、これからのメディア・広告との係わり方を模索中の人にもぜひ読んで頂きたい、そしてできれば前作「ロングエンゲージメント」も合わせて読むと、彼の主張の意義がよりわかるだろう。

新書ではもったいないような、読んで損のない太鼓判の1冊である。

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ブラウン経済からグリーン経済へ。価値観の大転換期。

環境経営論・CSRの第一人者でテレビでもおなじみの末吉竹次郎氏と伊田徹治氏の共著による「グリーン経済最前線」を読んだ。



本書にこんな話が登場する。

たゆまぬ努力と技術革新により、アメリカと日本を最短7日で結ぶことができるようになった船舶輸送。

ちょっと前なら万々歳、めでたしめでたしで終わるところが、こんな話が続けられたらどうだろう?

「あと1日延ばして8日間にすると燃費効率が高まり、2酸化炭素の排出量がなんと30%も削減できる。」

ビジネスのスピードを選ぶか、地球環境への負荷低減を選ぶか、まさに究極の選択を迫られる時代が目の前にやってきているのだ。

特に経営においては、今後ますます分岐点での選択が難しくなってくることは想像に難くない。

そんな状況で何より問題なのは、現在、地球で起こっている環境破壊の実態を知っているか知っていないかで取るべき態度が180度変わってしまうということだ。

そういう意味では、少なくとも経営者は今現在世界各国で進行している環境破壊のレベルそしてそこへの取り組み・最新技術くらいは最低限知っていなければならない。

本書「グリーン経済最前線」は、環境情報を求める経営者にはまさにタイムリーな1冊であり、最先端の取り組みをほぼ世界中を網羅して隈なく紹介している。

本書における豊富な情報量は、長らく国連の環境計画金融イニシアティブ特別顧問を務めた末吉氏と共同通信社の記事を務めた伊田氏の情報収集力のたまものだろう。

いささか余談にはなるがこの問題、決して他人事ではなく、広告業界が関与している問題も大きい。

たとえば、印刷用紙。
今ではFSC認証紙を使うことは当たり前になっているが、それを知らないことにより環境破壊に通じる紙をコストが安いという理由だけで使ってしまっているケースもまだまだ多い。

どんな業種、どんな職種にあっても、環境保全は避けられないテーマになってきている。
知れば知るほど価値観が変わる、それが今という、すべてが転換点にある時代なのだ。

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「低エネルギー社会の実現」という課題解決にデザインができること。

この夏の電気需要をまかなえないから原発を再稼働させる。

それだけ切迫していることは承知するが、常に目の前の議論だけが目立つのは、一にも二にもこの国の将来像が描けていないからではないだろうか。

当然、私たちの立場からいえば、エネルギー問題について感心が薄いことも大きな問題だ。

そこには長い間に刷り込まれてきた成長=拡大=繁栄という価値観がじゃまをしている。
経済も企業も社会も拡大することによってしか成り立たないと植え付ける、教育の問題も大きいだろう。

今大切なのは、成長を前提にしない国のあり方を利害関係抜きに議論できるクリエイティブな土壌づくりではないかと思う。特に国をリードする政治家や官僚にそういった資質が決定的に欠けている。

博報堂デザイン社長、永井一史氏が書いた「エネルギ問題に効くデザイン」を読んだ。



「エネルギー消費の削減」という社会問題をデザインで解決する、がテーマ。
博報堂の若手デザイナー30人とのワークショップを通して、その発想のプロセスやアイデアを提示している。

永井氏自身、大震災を契機にエネルギー問題を真剣に考え学んできたそうだ。
そして考えれば考えるほどデザインが大きな困難に対してあまりに無力だと感じたということ。

そういう意味で本書は、いま一度デザインにできることでエネルギー問題という社会的課題と向き合う、永井氏の現時点でのひとつの答えといえるかもしれない。

本書の意義は、あくまでエネルギー問題を自分の立場で考えるというきっかけを提示していることだ。
エネルギー問題にとって大切なのは、まず関心を持つこと、問題の本質を知ること、そして考えるということ。

その上で行動に変えることができれば、クリエイターに新たな役割が付与されるだろう。

若手デザイナー30人のアイデアはそれぞれ創造性に溢れ今すぐ実践できそうなアイデアもある。

そろそろデザインも新しいステージに登る時代が来ていることを実感した。
そういう意味で広告会社が取り組んだ本書の意義は大きい。

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