アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

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「Think Simple」 ジョブズの哲学が人間を前進させた。

クレージーな人たちがいる。

反逆者、厄介者と呼ばれる人たち。

四角い穴に丸い杭を打ち込むように、物事をまるで違う目で見る人たち。

彼らは規則を嫌う。

彼らは現状を肯定しない。

彼らの言葉に心を打たれる人がいる。

反対する人も、称賛する人もけなす人もいる。

しかし、彼らを無視することは誰にもできない。

なぜなら、彼らは物事を変えたからだ。

彼らは人間を前進させた。

彼らはクレージーと言われるが、私たちは天才だと思う。

自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが、本当に世界を変えているのだから。

~Think Differentキャンペン

ジョブズがアップルに復帰してはじめて放った伝説ともいえる広告キャンペーン
「Think different」の名コピーの日本語訳である。

このキャンペーンを手掛けた広告代理店のクリエイティブディレクター・コピーライターの
ケン・シーガルが書いた新刊、「Think Simple~アップルを生みだす熱狂的哲学」を読んだ。



この有名なコピーのほとんどはシーガルが書いたものだが、
この本によれば1行だけジョブズが書いた個所があるという。

「彼らは人間を前進させた。」この1行だそうだ。

歴史にも名を刻むであろうジョブズの数々の功績。間違いなく彼は人間を1歩も2歩も前進させたのである。

シーガルが12年間彼の傍らで学んだジョブズの哲学は、ひと言でいうと「Simple」。

どんなに企業が大きくなっても、このジョブズの哲学は創業当時と何も変わらなかったという。

広告作りのほとんどに最初から最後までかかわり、とことん自身の考え方を貫き決して妥協しなかった。

多くの大企業が、規模と比例して複雑になっていくのに対し、あくまでシンプルにミニマルに徹する。

こんなエピソードが紹介されている。

ジョブズは広告会社の形式ばったプレゼンを大変嫌ったそうだ。そしてよくこう言ったと。

「広告代理店の人間になるのはやめて、普通に話してくれ」

ともすると派手な演出を施したプレゼンをすること自体が目的となってしまう
広告代理店のクリエイティブの無駄を一刀両断にした。

すべてがジョブズ流で、まさに哲学ともいえる高みにあったジョブズ。

広告代理店のクリエイティブディレクターという立場だからこそ語れる人間ジョブズの魅力を、
コピーライターならではの豊かな表現力で余すところなく紹介している。

広告業界で苦しんでいる人、広告業界を目指す人、はたまた自らの生き方に自信をなくしかけている人、
彼の生き様を知ればきっと勇気を貰えるだろう。

決して夢を諦める必要はない。なぜなら今この瞬間あなたはまだ生きているのだから。
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オフィスを見れば、経営者の「創造力」に対する考え方がわかる。間違いなく。

プロモーション会社、eプライズを創設、世界最大のインタラクティブ・プロモーション会社に育て上げたジョシュ・リンクナーが書いた「ひらめきトレーニング~クリエイティブに結果を出す5つのステップ」を読んだ。



リンクナーは起業家でありながら、プロのジャズ奏者という肩書を持つ。
ジャズのアドリブ演奏を通じて身に付けた「創造力」が、ビジネスにおいても非常に有意義に働いたそうだ。

リンクナーは、創造力とは何かから始まって、問いかける→準備する→発見する→火をつける→実行に移すの5つのステップで、自身の体験を元に創造力のビジネスへの活用法を解き明かす。

そもそも、なぜ創造力?という理由であるが、ビジネスのあらゆる分野でコモディティ化が進行しているのが今の世の中。
他社との違いが明確に見えなければ抜け出すことができない環境にある。
その閉塞した現状を切り拓く切り札がずばり「創造力」というわけだ。

当たり前だが創造力は目に見えない。
それだけにどのように創造力を付ければ良いのかわからないという人がほとんどだろう。

リンクナーは言う。
創造力は生まれながら備えているという先天的なものではなく、鍛えれば誰でも持つことができる後天的なものだと。つまり私たちに欠けているのは創造の才能ではなく、創造力を開放するシステムなのである。

中でも、創造力を育む場という意味で、オフィスの存在は大きいとリンクナーは続ける。
オフィスにお金をかけてもそれ自体で利益を生まない、ということでお金をかけたがらない経営者も多い。

以前の会社で、こんな笑うに笑えない話があった。

新しいオフィスへ引っ越した時のこと。引っ越しを仕切っていた役員がこういった。
「制作には新しい机を渡したから、椅子は営業が新しいものを使え」

もちろん予算の都合はあるだろう。
しかし、働きやすい環境が良い成果物を創造するのであれば、少しばかり座り心地の良い椅子を制作に用意しても損はないはずだ。広告会社ほど創造性が求められるビジネスはないのだから。
ついでながら、その言葉を聞いた時、その役員への信頼がモチベーションとともに一気に下がったのはいうまでもない。

さて、あなたの会社は、創造力を育む場となっているだろうか。
もしあなたが経営者であるなら、一度オフィスのあり方を見直してみるのもいいのではないかと思う。

まだまだ未開拓のビジネスにおける「創造力」。

号令をかけて社員の尻を叩いてもモチベーションが上がる時代ではない。
ましてや社員は企業の所有物ではない。

どうしたら社員の創造性を高め、利益を創造できるか。

そういう意味で本書は創造性について書かれた宝箱のような存在だ。
蓋を開けてみれば意外なヒントが見つかるに違いない。

※内容は素晴らしいだけに「ひらめきトレーニング」というタイトルは残念。
 もう少しクリエイティブな心に火をつける訳はなかったものか。
 訳者花塚さんの一度聞いてみたい。

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映像の伝えるチカラ。そしてあまりにも知らなかったという現実。岩井俊二「Friends after 3.11」を観て。

過去に観た日本映画(あまり観ませんが…)で印象に残るシーンは?と尋ねられたら、私の場合間違いなくこの映画のこのシーンを挙げる。

岩井俊二の「花とアリス」。そう、蒼井優が紙コップをトゥシューズに仕立てバレエを踊るシーンだ。



まだまだスポットライトを浴びていない時代の蒼井優の瑞々しさはもちろん、岩井の創る映像の美しさも相まって、永遠に心に余韻が残る素晴らしいワンシーンとなった。

その岩井俊二は宮城県仙台市出身、東日本大震災以降脱原発をNEVERな事としメガホンをとったのが、このドキュメンタリー映画「Friends after 3.11【劇場版】」。



この映画と花とアリスを対比すること自体不謹慎であると承知で、彼の映像の「伝わるチカラ」について、書き留めておきたい。

登場するのは、いずれも脱原発を志向する人たち。昔からの友人、新たに知り合った友人もいる。
彼らを岩井が淡々と取材し、「日本の未来に対してなぜ脱原発が必要なのか」、彼なりの答えに集約させていく。

「伝えるべきメッセージをいかに伝わるものに変えるか」。
エンターテイメントでもドキュメンタリーでも、変わらず一貫しているのが彼の凄いところ。

震災の傷跡が生々しい現場のシーンを美しいというのはまったく不謹慎であるが、それほどに岩井の撮る映像はどこまでも美しい。しかもその美しさが作られたものではないだけに、かえって事実の本質をえぐっている気がして心に突き刺さるのかもしれない。

しかも彼が投げかけるメッセージはシンプルで痛烈だ。

電力会社とマスコミと政治家が三つ巴となってひたすら進めた原発推進。
金と欲を前提とした成長という以外何もでもないと静かに訴えている。
マスコミを押さえるために電力会社7社が投入した媒体費は、年間トヨタの2倍にも及ぶという。
重要なのはお金でほっぺたをたたかれ誰もNo!といえない、そんな構造が長年維持されていることだ。

私のような元広告関係者であっても、心が痛くなる。

終盤、渋谷の路上で展開される超長回しのFRYING DATCHMANの反原発メッセージソングは、まさにそんな三つ巴の状況を痛烈に歌っている。
周りの人の冷めた表情との対比が、事の複雑さを伝えていて印象に残った。

映画館に入る前と観終わって映画館を出た後の景色が180度違って見えるという体験は久しぶり、
それほど心に刻まれる映画となった。

大震災、そしてその後の原発事故。まだまだ進行中であり決して風化させてはいけない。
しかし行動に移すうんぬんより、もっと問題なのは、私を含めおそらく事実を知らない人があまりにも多いいということだ。そのことでマスコミが責められるのは当然である。

マスコミですら伝え切れていない難しいテーマだが、岩井の演出で観やすく、考えるきっかけを与えてくれるものに変わっている。そういう意味では岩井が撮ったこの映画の意義は大きい。

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辛く厳しく、けれど楽しく素晴らしいCMづくり。

まったく0の状態から少しづつ輪郭が見えてきて、やがて15秒という形に凝縮される。

CMづくりのプロセスには、プランナーからディレクター、カメラマンや照明のスタッフなどさまざまな人がかかわり、それぞれの感性や価値観がクリエイティブディレクターの導きでひとつの方向に集約されていく。

たかが15秒、されど15秒。それはほかのどんな仕事とも違う。

ゆえに一度味わったら辞められない、というかおそらくは他の仕事では満たされない麻薬のような刺激があるのだろう。

私自身CMの世界に30年携わってきて、今さらながらその仕事の特殊性と奥の深さを思う。

そんな自分にとって、決して読んではいけない(?)禁断の1冊と出会ってしまった。

それが本書、エステーの特命宣伝部長にしてクリエイティブディレクター、鹿毛康司氏が書いた「愛されるアイデアのつくり方」である。




鹿毛氏は、あのミゲル君のCMなど話題のCMでエステーの好感度をぐっと高めた影の貢献者。
その鹿毛氏、本書を読むまで知らなかったが、前職ではあの雪印事件の真っただ中でマスコミ対応の最前線にいた。その後退社、エステーの広告宣伝部長になったということだ。

なので、彼のCMづくりの考え方の根本は雪印事件時に形成されている。
それはひと言でいうと、超現場主義。

調査データもグループインタビューも、すべて自身の目と足と身体で検証する。
徹底的にお客さまと向き合うこと見えてくるものだけを信じるということだ。

通常、企業の宣伝部長というと、自分は何もせず、上の顔を伺って難癖をつけるといったタイプが多かったりする(もちろん中にはそうではない素晴らしい方もいます)が、鹿毛氏は広告会社との付き合い方も既成概念に捉われることなく、スタッフとの付き合い方も同様。

あくまで正面から向き合い、自らが考える企業、商品の想いを伝える。
しかもお客さまから愛されるためには、お客さまの立場に立ち、伝わることが重要になってくる。

だからやらないではなく、だけどやる。やれない条件に押しつぶされるのではなく、厳しい条件があるからこそそれをアイデアで突破する。これぞクリエイティブの醍醐味だ。

鹿毛氏の超ポジティブCM発想法、真面目に全人生を賭けて表現することを遊ぶ。

自分もその場に身を置いていたにも関わらず、結局道半ばで下りざるをえなかった。ある意味の逃避に近い。

だからこそ、鹿毛氏の想いの強さ、そしてその突破力に全面リスペクトである。

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人が生きる上で、目標が大切な理由

某雑誌で、尊敬する建築家・安藤忠雄氏が心に刻む言葉としてサムエル・ウルマンの青春の詩を挙げていた。

青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相を言うのだ。
年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる……

私も若い時から大好きな詩で、事あるごとに読み返してきた。
いくつになっても心がけ次第で青春であると。その言葉の重みが歳をとるほどにわかるようになってきた。

安藤氏はこの詩を挙げて、現状に満足せず常に高い目標を持ち続けることで成長し続けることができる。
そういう意味で自分はまだ成長過程、だから目標を持つことが大切だと語っている。

2009年に大病をし、1カ月もの入院生活を余儀なくされたという安藤氏。
あらためて健康の重要さを知り自分を見つめ直すことで、さらなる目標を持てるようになったとも語っていた。

どこまでも前向きな安藤氏の生き方、せめて爪の垢でも煎じて飲みたい心境だ。

ある調査では、目標のある人の方が長生きするというデータもある。

長生きすれば良いというわけではないが、死ぬまで活き活きと生を全うしたいと思うのはすべての人に共通の思いではないか。

であれば5年後10年後の目標だ。

あの日立てた自分の目標は錆ついていないか?今、正直心からイエス!と言えない。
目標があいまいだから、気持ちが揺らぐのではないか。
あらためて目標の棚卸しが必要な今日この頃かもしれない。

明確な目標は人を成長させる。はずである。

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「ものつくり」論で見た日本の弱点。サムソンと日本企業の違いとは。

HY研究会を主宰するふたり、畑村洋太郎氏と吉川良三氏が書いた「勝つための経営」を読んだ。



勝ち負けは重要ではあるが、勝ち負けにこだわりすぎると本質を見失う。
そういう意味で、この手のタイトルには以前にも書いた通りやや違和感があるが、内容は現在の日本の製造業が置かれた立場を的確にとらえている。
さすが日本の製造業を長い間見てきた70代の著者ふたりならではと、その説得力に頷かされる点も多かった。

さて先日発表された今期の決算。その中で電機産業の不振が目立った。
なぜそのような状況に陥ったのか、本書ではその理由を明確に教えてくれている。

製造業=「ものつくり」産業と言われるが、本書によれば「ものつくり=もの+つくり」と分解されるそうだ。
70年~80年代世界を席巻した日本のものつくりの最大の特長はこの「つくり」にあった。

この時代の「つくり」とは誰かが考えだした製品をいかに上手に作るかに重点を置いたもの。
生産技術に磨きをかけ、良質で安価なものを大量に生産できた。そこに日本の最大の強みがあったのだ。
電化製品や自動車はその代表例で、アメリカでは日本車の不買運動も起きたほどである。

しかし、その技術にこだわるあまり、そして90年代以降の戦略の過ちも伴い現在のガラパゴス化に至ってしまったことは皮肉な結果だ。

特に日本が存在を見失ってしまったのが2000年以降、「デジタルものづくり」の流れに乗り遅れてしまったからだ。

デジタルものづくりとは、簡単にいえば設計から実際の量産までの設計情報をデジタル情報でやりとりすること。
その結果、設計情報さえあれば誰でも簡単に製造ができるようになった。
つまりは日本の企業がこだわってきた生産技術が、新興国でも簡単にコピーして拡げることができてしまったのだ。

さらに問題は、日本の企業体質が過剰な製品品質を求めること。
当然必要以上の品質を追い求めればコストに跳ね返ってくる。重要なのはそこまでの品質を求めていない消費者も多いということだ。

このデジタルものづくりと顧客志向・低コスト重視でこの10年急成長したのが韓国のサムソン電子やLG。

著者のひとり、吉川氏は1994年から10年間、実際にサムソン電子の常務として社内のシステム構築・組織改革に取り組んだ、まさに躍進の原動力となった人物だけにそのあたりの記述には説得力がある。

デジタルものつくりにより、「つくり」では競争優位性が持つことが難しくなった今、あらためて問われているのは「もの」そのものの優位性。その核となるアイデアでありクリエイティビティなのだ。
いうまでもなくこの象徴例として登場してくるのが「アップル」である。

「つくり」はすべて外部の会社。わくわくするような「もの」そのものに集中するアップルの考え方。

ものづくりの世界を熟知するふたりが提言する日本企業再生への道。
そのポイントは「秘伝のタレ=自社だけの強み」にあり、それをどう生かすかにかかっているそうだ。
秘伝のタレの活かし方に興味を持った方には一読をお薦めする。

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確信。ソーシャルの力で会社は変えられる。

経営コンサルティング会社、アンツ・アイ・ビュー・ジャパン代表の田中正道氏が書いた「ボイス~ソーシャルの力で会社を変える」を読んだ。



企業がソーシャルメディアをマーケティングにどのように活用するか、おそらくは多くの経営者共通の悩みの種ではないだろうか。

というのも従来、企業は社内の情報が外部に漏えいしないよう、情報セキュリティポリシーを設けて従業員のソーシャルメディアの利用をコントロールしてきた経緯がある。ブログにしてもSNSにしてもちょっと前までは就業時間中の利用はご法度という会社も多かった。

ところがどうだろう。今は大きな転換点にあり、ソーシャルメディアを上手に活用しないとあっという間に取り残されてしまうということが起こり得る時代になってしまった。まさに180度の転換であり、それだけに経営者の先見性と決断力が問われているのである。

本書「ボイス~ソーシャルの力で会社を変える」のテーマは、ソーシャル化の波にどのように乗り、いかに企業変革を進めることができるかについて。ソーシャルメディアによる変革のプロセスを詳しく解説している。

田中氏が最重要視するのは、ソーシャルメディア上に氾濫する「顧客の声=ボイス」の活用だ。

長年内向きにあった分、すっかり高くなってしまった外部との壁。
その壁を打ち破ることはちょっとそっとではできないだろうと思うが、現時点でおそらく最大の力を発揮するのが顧客の声=ボイスの力というわけなのだ。

ソーシャルメディア上に氾濫しているボイスを聞き、対話し、商品やサービスに新たなイノベーションを巻き起こす。ソーシャルメディアだからこそ実現できる最大のメリットなのだと本書を読んであらためて思った。

いずれにしても、閉ざされた世界からオープンで自由な世界に飛び出すことはとても勇気がいることに違いない。
だからこそその真価を見極められる経営者の決断が重要になってくる。

経営者自らがソーシャルメディア上の顧客の声の重要さに気づくことができれば、おのずと企業変革は加速されるだろう。
企業のソーシャルメディア活用自体まだまだ確かな答えがない現状においては、本書がソーシャル化をすすめる企業の貴重なバイブルとなる1冊ではないかと思う次第。

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共創。これからのビジネスを左右するもっとも重要なキーワード。

ゴールデンウィークが終わる。

この数日間、本を読んだり街へ出かけたり人と会ったりして、あれこれ考えた。

今あらためて整理してみると、今自分の脳裏に鮮明に浮かんでいるキーワードがある。

“共創”である。

今までのビジネスは、どちらかというと企業が情報をコントロールすることで成立していた。

いいかえれば、消費者が少ない情報で企業を評価していた時代。だからこそ企業は競争市場で優位に立てた。

そしてその成長を強力に後押ししたのが、テレビCMをはじめとするマス広告の存在だった。

テレビCMで刷り込まれ、大量に売り場に送り込まれた。マス広告が消費者製造工場ともいえる唯一無二の役割を果たしていたのである。

しかし今は違う。生活者の方が良くも悪くも正しい情報をたくさん持っている。
だから企業がどんなに情報を隠そうとしても、ソーシャルメディア経由の口コミですべて丸裸にされてしまう、そんな生活者優位の時代なのである。

ゆえに企業が情報を抱え込み他社に先駆けて上手い汁を吸ること自体がほぼ不可能に近い。
逆に内に籠ることで情報の偏りが生じ、時代から取り残されて行ってしまう。

重要なのは、自らの存在を外に開いて、生活者も、協力会社も、そしてライバル企業さえもパートナーとして、いかに同じ価値観で連携しビジネスを再構築することができるか。

その根底に流れるべきが“共創”の精神。

そして、この共創を加速させるのがマスメディアではなくソーシャルメディアの存在なのである。

これはそのまま個人にもあてはまる。
ひとりで完結するのではなく、自分と違う個性と連携することで、1+1が2以上になる。
そのためには自分にしかない“強み”という剣を研ぎ澄ますことが必要になってくるだろう。

競争から共創へ。ある意味180度の価値観の大転換。

図体が大きい大企業ほど転換に時間がかかるだろう。ここは中小企業、個人の出番だ。

小が大を制する、そんなあり得ないことが現実に起こるかも知れない時代を迎えている。

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効率主義や前年対比主義を超えて。今、日本マーケティングの出番。

「日本の心がマーケティングを超える~おかげさまの心 ぶれない心」を読んだ。



書いたのは、日本マーケティング塾という場で学び合ってきた有志4人。そのうち3名は資生堂、富士ゼロックス、パイオニアの日本のトップメーカーで長年実務を積んできたメンバーである。

彼らに共通する考えは、「昨年の3.11以降、日本人の心が変わった」ということ。

長い国内景気の低迷から諦め感に包まれていた日本人の心が、その対応が世界で評価されたように、日本人としてのポテンシャリティでこの苦境を乗り越えようと目覚めたという。

そして当然、日本人の心が変わればマーケティングのあり方も一変するというのが本書における彼らの総意だ。

それでは、その新たなマーケティングの考え方とは何だろう?

彼らの出した答えは、日本人“らしさ”を活かすマーケティング。

マーケティングは戦後の高度成長とともにアメリカから持ち込まれたものであるため、そもそも日本文化とはそぐわないところがあった。しかし、そこに日本で開発された生産管理システムが加わり、競争を前提としていかに効率を上げるかに専念したことで日本企業は成長してきた。行き過ぎた成果主義はその最たるものだろう。

しかしながら、その結果として人の心が疲弊し社会全体が大きな閉塞感に包まれてしまった。
多くの人の収入が下がり続けることも問題であるが、もっと大きな問題は、もともと日本人が持っていた大切な商いの心まで失ってしまったことだ。

一意専心といわれるようなぶれない心。万物におかげさまでといえる心。

そんな精神性をいま一度取り戻すことによりこの苦境をきっと乗り越えられるという、日本マーケティングの復活の道筋を四人四様のアプローチで教えてくれる。

日本には、何百年も続いている老舗企業がたくさんある。そんな企業に共通するのは、本業の継続、先祖を敬う心、地域に根ざしてお客さまの顔が見える商売をしていることだ。

時代に合わせ絶えず進化を繰り返しているが、その根っこにある商売の心は決してぶれていない。
これが彼らのいう日本マーケティングの真髄ではないか。

まだまだ厳しい時代は続く。しかし、その先の光は間違いなく見えてきている。
大切なことは、本業に徹し、お客様との接し方、協力してくれるパートナーとの接し方をいま一度真摯に見直してみることではないか。

今経営者、マーケティング担当者の資質として求められる能力は人間力なのである。本書を読んであらためて思いを強くした。

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