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アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

あえて今世に問う。会社の究極の目的とは何か?

紺野登氏と目的工学研究所による「利益や売上ばかり考える人は、なぜ失敗してしまうのか」を読んだ。

20世紀はまさしく「手段」の時代だった。それでは21世紀は?というのが本書のテーマである。

本書における紺野氏と目的工学研究所の論旨は、21世紀は間違いなく「目的」の時代になるということ。

なぜなら、手段に捉われすぎて「本質」を忘れてしまった象徴が行き過ぎた成果主義であり、短期の利益を追求するあまり、人を金儲けの材料としてしか見られなくなった企業が続出した。
その末路が2008年のリーマンショックだ。
確かに数多くの成功者を生んだかもしれない。しかしその一方では、年間3万人を超える自殺者、減ることのない躁鬱病患者…すのすべてが「手段」を優先したため、と結論付けるのは言い過ぎだろうか。

幸いなことに、紺野氏によればこの経験を経てこのままではいけないと立ち上った世界の先駆者たちが今続々と「目的」の重要性を唱え始めていることだ。

そもそもビジネスにとっての「目的」の重要性は何も今に限ったことではない。
かつて高度成長期の松下幸之助も本田総一郎も井深大も、世の中のためにという「目的」の人だったのだ。

問題なのは、その後にアメリカからやってきた市場原理主義という考え方だろう。
その牽引の象徴とも言える「競争の戦略」を表わしたマイケル・ポーター教授も今はCSV=共創価値の創造で、経済性と社会性の両立を唱えている。またアメリカではこのところドラッガーの経営理論が再び脚光を浴び始めているらしい。

さて肝腎な本書の内容だが、著者いわく「世界は目的で動く」ことを知る8章で構成されている。

後半は研究のテーマになっている「目的工学」の考え方についてより詳細に書かれており参考になるがやや難しいところもある。
私が特に注目して読んだのは、冒頭の2章。

第1章:利益や売上は「ビジネスの目的」ではありません。
第2章:イノベーションは「よい目的」から生まれてくる。

冒頭に書いたとおり、現代は、「そもそも何のために事業をしているのか?」という目的が問われている時代なのだ。もちろん売上や利益は企業の存続にとっては欠かせないものであるが、それはあくまで結果であり、それ自体を目的とするような会社はすべからく顧客からそっぽを向かれ市場から退場させられる。
今必要なのはイノベーションと声高に叫ぶ経営者もいるが、イノベーションの原点は、常に世の中をもっとよくしたいという熱い思いである。思いがなければそもそもイノベーションなど生まれない。

この2章では「目的」の重要性が、豊富な実例とともにわかりやすく整理されており、この2章だけでも本書を読む価値があると私は思う。

「目的」か「手段」か、ビジネスにおける永遠のテーマであるが、ネットで企業も丸裸にされる時代だけに、目的を忘れた会社・経営者には顧客の鉄槌が食らわされることも覚悟する必要がある。

“どう儲けるか”より“どう世の中のためになるか”
世の中はアベノミクスでうかれ始めているが、そんな時だからこそ、当たり前のことではあるが忘れがちなことと、今一度向き合う必要があるのではないだろうか。

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社会価値イノベーションを担う“デザイン型人材”とは?

ITと新社会デザインフォーラム編「ITプロフェッショナルは社会価値イノベーションを起こせ」を読んだ。



普段はライバルとして競い合うNTTデータと野村総合研究所。
両社が共同で取り組んだことでも注目されている本書、2社がこれからのIT業界のあり方を模索して導き出した結論は次の3つだ。

(1)これからの時代に求められるイノベーションのあり方=本書のタイトルにもなった「社会価値イノベーション」

(2)社会価値イノベーションを創造するために必要なアプローチ=「価値創造アプローチ」。

(3)価値創造アプローチに求められる人材像=「デザイン型人材」。

何だか3段論法のようであるが、順序立てて書かれているのでその分読みやすい構成になっている。

さて、技術イノベーションでの取り組みが頭打ちになり、これからのひとつのモチベーションの源泉として社会価値イノベーションへの転換を目指す。そんなIT業界のイノベーションを中心に本書は展開される。

今までのIT業界のモチベーションの源泉が「ユーザーのニーズに基づいて、社会や企業の課題を解決すること」だったとすれば、今後は「自ら問題点を発見して、社会や企業の課題を解決すること」へビジネスのスタート地点を変えることが重要だと2社は結論づけている。

つまり、“世の中のため”という自発的なモチベーションこそ、IT業界を進化させる大きなキーワードだということだ。

が同時にこのテーマ、実はIT業界に限らずほとんどの業界に共通の課題でもある。それだけ現代は新たなモチベーションとイノベーションが希求とされているということなのだろう。

さらに本書で強調されるのは、この社会価値イノベーションを起こす人材“デザイン型人材”の重要性。

“デザイン型人材”を本書ではこう表現している。

「デザイン型人材とは、課題の発見と解決のために人が知恵を出し合う“場”をデザインする人材」だと。
それ以外にも、メンバーをキャスティングする能力、メンバーを仲介し、様々な意見をわかりやすくする翻訳者としての役割、最終局面では社会価値と技術・ビジネスとの折り合いをつける、などなど、デザイン型人材には多彩なスキルが要求される。

しかしながら、アップルの成功を受けビジネスの現場でもこのタイプの人材が引っ張りだこにもかかわらず、このデザイン型人材、教育方法も確立されておらずまだまだ稀有な存在であることは間違いない。

IT業界の復活をかけて2社が提言する、“世の中のために”を起点とする社会価値イノベーション。
IT業界が輝きを取り戻せるかどうかの鍵は、実は経営者の価値観の転換にかかっていると言っても過言ではない・。

これからの企業では、経営者こそ誰よりもデザイン型人材であるべき、そう思うのは私だけではないはずだ。

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経営者の「優れた直観力」がビジネスを、そして社員を救う。

慎泰俊氏が書いた「正しい判断は最初の3秒で決まる~投資プロフェッショナルが実践する直観力を磨く習慣」を読んだ。



慎氏の本業はタイトルにもあるように、プライベートエクイティファンドにおいて投資先のジャッジを担当する投資のプロ。投資先判断という長年の経験から、経営を左右するのは経営者の理念が大きいとして、理念を形成する「直感力」を研究してきた。
手に取った時はタイトルから投資について書かれた本と感じたが、読んでみると実は中々良くできた経営書であった。

さて「優れた直感」を身につけることによって、ビジネスの何がどう変わるのだろうか?というのが本書のテーマ。

慎氏によれば、実はほとんどの人が何らかの意思決定を迫られた時に、ほぼ3秒以内で何が正しいのかを判断するのだそうだ。さらにそれは大抵の場合、正しい判断であることも多いのだそうだ。

本当にそうかの真偽は別として、それは本能に近いものらしく、自分たちの体験に根付いた「直感」と「信念」の賜物だそうである。
それだけに直感力を鍛えることは、正しい判断においては重要になってくる。

慎氏はこの「直感」と「信念」の違いを次のように定義づける。

直感…経験に基づき、無意識のうちに最善の選択肢を選びとるものであり、人の発想を左右するもの。

信念…軽々に基づき、無意識のうちに最善の選択肢を選びとるものであり、人の行為を左右するもの。

つまりは発想を左右する「直感」を鍛えることで、行為を左右する「信念」が磨かれ、決断の精度がより高まるというわけだ。

決断の精度=経営判断の精度と置き換えれば、あらためて直観力が優れた経営者に共通の能力であることがよくわかる。

慎氏の主張がいちばん凝縮されているのが、“第四章「競争優位の源泉」としての直感”の記述。

本章で慎氏は、企業における理念の存在の重要性を説き、優れた理念こそ、競争優位の最大の源泉であるとの持論を展開している。

強い理念(=経営者の想い、信念と言ってもよいだろう)があれば、迷わないから意思決定のスピードが素早くなる。しかもそれが正しい経験に根付いたものであれば、そこで働く人にも正しい行動を促し、愛社精神を含めた心の拠り所ともなる。結果、おのずと離職率も下がり採用にかかるコストも削減できるという好循環を生む。

競争優位の源泉は経営者の強い想い、まさにその通りではないか。慎氏の主張に全面的に賛同する。

しかしながら直感が正しく働かなければ、逆にその負の影響は即社員に及ぶ。しかも信念が強ければ強いほど社員を追い込むことにもなりかねない。経営者の直感と信念、是と働くか非と働くか、その影響の大きさは計り知れない。

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今企業が最もやるべきこと。売ることではなく<ファン>をつくること。

濱畠太氏の書いた「小さくても愛される会社のつくり方」を読んだ。中小企業のブランディングの必要性について書かれた本である。



濱畠氏は、鈴鹿サーキットの広報を皮切りに柿安本店の広報を経て、現在は大東建託の宣伝・PR担当。つまりは現職の企業の宣伝担当が書いた本ということ、そして私自身もかつて柿安本店のCM制作に関わったこともあり、特別な想いを持って読んだ。

文章量として200ページ弱、非常にわかりやすくまとめられており、ほぼ3時間程度で完読。
そういうと、中身が薄いのでは?と思われるかもしれないが、ブランディング関連の本としては、ツボを押さえたなかなかの内容である。

特にこれからブランディングに取り組もうと考えている企業の経営者や幹部、あるいは今一度ブランディングとは?を整理してみたい方、そんな方々には今おすすめできる最適な1冊という印象を持った。

本書で書かれているテーマは、ずばり中小企業の企業ブランド構築。
企業に安定的な利益をもたらし、企業を発展させる源、それこそ企業ブランドの力と濱畠氏。

濱畠氏の考えるブランドの根本は、大きさや売上額ではなく<姿勢>と<ハート>
あくまで本書のタイトルにもなっている、心を重視した“愛される会社”を創ることなのである。

思えばかつて作れば売れる高度成長期という時代があった。
しかし今は、どの市場もシュリンクが当たり前の時代。一時的に売上が急増したとしても長続きしない。それどころか売ることばかり考えていると一気に顧客は離れて行ってしまう。私自身も広告会社にあって、そんな末路の会社をいくつか見てきた。

今の時代に大切なのは、濱畠氏もいうように、長期に渡る<ファンづくり>。

売る前に、事業を通して社会をどうより良く変えていくか、どのように社会に貢献していくか、そういった企業の姿勢に共感することで、商品が売れ、企業の成長が支えられるのである。営業力はない方が、かえって長続きするかもしれないのだ。

この本には、あっと驚くようなテクニックは書かれていない。今すぐ結果につながる妙案が載っているわけでもない。

時間がかかってもやるべきことをコツコツと愚直に貫き通す、その軌跡がすなわちブランディング。その意味、価値を1冊を通して教えてくれる。

その大切さに気付かされるだけでも読む価値があるというものだ。
同じ企業内で自社のブランディングに関わる立場としても、元気を頂いた気がする。

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進化から深化へ。真価が問われはじめた企業のCSR。

早稲田大学商学学術院商学部教授、谷本寛治氏の書いた「責任ある競争力」を読んだ。



本書はCSRについて書かれた本である。

重要なキーワードであるのに一般の人へはなかなか認知が進まないCSR。

コーポレートソーシャルレスポンシビリティ=企業の社会的責任と訳されるが、認知・理解が進まないのは偏に覚えにくいから。特に日本人にとっては馴染みにくい英語3文字の構成だ。もう少し分かりやすい言葉であったなら、日本でも早く浸透したのではないかと思うのは私だけだろうか。

いささか余談になるが、あらゆる分野でグローバル化が進む現代、新商品や新サービスは、企画段階からグローバル展開を視野に入れたネーミングが必要なのかもしれない。

さて肝心な本書の内容であるが、CSRがいよいよ新しい次元に入ってきたことを予感せずにはいられない1冊だ。

CSR=企業の社会的責任というと、以前は利益を上げたら寄付をするような社会貢献活動を指していたような気がする。あくまで利益最優先で、利益が上がらないとなった途端、続けてきた寄付もあっさりご破算にしてしまう。それが当然と考えていた経営者も多かった。

それに対して、本書が伝える最前線のCSRは様相が変わってきた。株主を始めとするステークホルダーの成熟もあるが、事業そのものを社会と紐づけて考える経営者が増えてきている。彼らの存在が、CSRそのものを、より企業と関わりの深いものへと進化させているようだ。

しかしながらその一方で、企業によってはいまだ「CSRって何?」という温度の低いところもある。
そういう意味では、事業と社会性を結びつけ経営に活かし成果を上げている企業とそうでない企業の差がますます開いてきているというのが実態と想像する。

幸いなことに、本書では企業がCSRと真剣に取り組むことで、ステークホルダーとのパートナーシップにより商品やサービスの開発において新たなイノベーションにつなげている先進的な事例がたくさん紹介されている。もし意識レベルの低い経営者が読んだとすれば、相当焦りを感じるだろう。

本書を読むにつけ、この傾向はこの先2年3年でさらに加速していくものと実感を新たにした次第。

CSRと連動した重要なキーワード、サステナビリティ。
短期の利益追求、拡大思考から持続的かつ長期的な成長の時代へ。競争から協奏(=共創)へ。消費者の企業の評価軸も大きく変わってきている。

経営者・企業幹部は、この価値観の転換を今こそ肌で受け止めなければならない。
「何のために事業を行うのか?」「どんな価値を提供して世の中のためになるのか?」「社員の幸せは実現されているのか?」
CSRを通して企業の真価を問う。ステークホルダーの厳しい目がそこにあるのだ。

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