アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

バイトを大事にする飲食店は必ず繁盛する。当然のことを当然と思える会社。

エーピーカンパニーの若き副社長、大久保伸隆さんが書いた「バイトを大事にする飲食店は必ず繁盛する」を読みました。

バイトを大事にする飲食店

エーピーカンパニーの収益の屋台骨は、言わずと知れた超繁盛店「塚田農場」。

私も犬山で町歩きをした時、夕食でこの「塚田農場」を利用した経験があります。
鹿児島産の地鶏炭焼きをメインにした大変コストパフォーマンスの高い店だったと記憶しています。

本書で大久保さんは自社の目的をこう書いています。

「実をいえば、居酒屋をメインにしている会社ではありません。地方の生産者から、品質のいい食材を直接仕入れることで、中間のマージンと流通にかかるタイムコストをカットし、都心の店舗で鮮度のいい食材を、低価格で提供する。生産から販売までの、一次、二次、三次産業を貫通した六次産業ビジネスの会社で、居酒屋はその販売方法のひとつです。」

居酒屋ではない?!
苦しい立場にある地方の生産者の生活向上を第一に考え、営業が苦手な彼らの販路開拓を肩代わりするために、居酒屋という消費の場を作っている…
正直、まずはこの考えに驚きでした。しかしこの考え方ひとつで、あまたある居酒屋とは明らかに違う一線を引いています。
これがミッション経営の最大の効果なのではないでしょうか。

目的が明確だからこそ、目的を達成するために何が必要かがきちんと共有されている。まさにそれが先に掲げた「ミッション=大義」。理念の実践者、大久保さんが30代前半にして副社長まで上り詰めることができた理由もなんとなくわかるような気がします。

そんなエーピーカンパニーの「人」に対する考え方がまた秀逸です。
それが如実に表れているのが、本書の帯にある一言、「アルバイトは、働く客である。」
この一言に、すべてが凝縮されているのではないでしょうか。

考えてみれば、アルバイトが「塚田農場」で過ごす時間以上に長いのが「塚田農場」を卒業した後に過ごす時間です。
当たり前ですが…こんな当たり前のことをわかっていない会社が世の中にどれほどあるか?
ひとつ間違えば、アルバイトを単なる労働力と考えている会社だって死ぬほどあるはずです。

私も前職時代、辞めていく社員たちが快く思わず会社を去る現場にたくさん触れました。
どんな辞め方にせよ快く送り出せないのは会社の将来にとって絶対に良いことではない、そんな思いを強く抱きましたが、それからみるとエーピーカンパニーの考え方は働く人、特にアルバイトの気持ちをよく理解している、いやぁ、これを知っただけでもこの会社に共感をせざるを得ませんでした。

本書には、大久保さんが店長時代、アルバイトが働きがいを持って働けるよう、さまざまな手段を講じブラッシュアップさせていく実例があの手この手と紹介されています。

それが凄いのは、すべて正論であり、自身がアルバイトだったらきっとこうしてほしいだろうという、徹底したアルバイト目線であること。こんな会社だったら自分もアルバイトをやってみたい、本書を読んでそんな学生が、また増えるのではないでしょうか。

本書を読み終わってあらためて思うこと。
飲食業にかぎらず、これからの企業にとって最も大切なことのひとつ、それは間違いなく「人」への向き合い方です。
お客様に対して、近隣の住民に対して、もちろん社員に対しても。彼らがこころよく思わなければ会社なんて、あっと言う間に消えてしまいますから。
「人」がすべてであると認識すれば、今の価値観を180度変えなければいけない会社もたくさんあるように思います。
さて、あなたの会社は、どうでしょうか?

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「陸王」を読んで、あらためて思う。中小企業経営にとってお金より大切なこと。

下町ロケットや半沢直樹シリーズなどの大ベストセラーでおなじみ、池井戸潤さんの最新作「陸王」。
圧倒的な筆力に背中を押されるようにして、気づいたらあっという間に読みおわってました。

陸王

舞台は埼玉県行田市にある老舗足袋会社「こはぜ屋」です。

ご多聞にもれず業界自体は衰退産業で、厳しい事業の現状を打開すべく奮闘する四代目社長、宮沢紘一が主人公。
資金繰りに苦しむ日々、偶然得たヒントから、足袋製造の技術を活かしたランニングシューズの開発を思いつきます。

ここからがまさにジェットコースターのような、息つく暇もない展開につぐ展開。
さまざまな出会い、葛藤、そして最後は、仲間との強い結びつきにより、思いを成し遂げる。
ざっというと、そんなストーリーです。

小説自体の面白さはさることながら、職業柄、私が特に関心するのはハラハラドキドキのエンターテイメントでありながら、経営のイロハをきっちり押さえた優れた経営書でもある点。
ある意味、そこらのマーケティング書よりは何倍も、実践的にマーケティングを学べるといったほうが適切かもしれません。

あまりのリアリティさにこれは?とネットで調べてみると…ありました。

池井戸さんは執筆にあたり、実際に埼玉県行田市にある足袋メーカー「きねや足袋」を取材したとのことで、確かにリアルな製造・開発現場の描写には、「なるほど」とうなづかされるばかり。

本書を読んであらためて思うこと。
衰退産業だからといって、すべての会社が消えていくのかというと、そうではありませんね。
どの業界をみても、必ず生き残る会社があり、そんな会社にかぎって、衰退どころかさらに成長をしています。

大切なのは、根幹となる技術の周辺に必ず新たなビジネスチャンスが眠っていること、それに気づくことができるかどうかではないでしょうか。

今回の「陸王」の話も、きっかけは娘に頼まれてたまたま訪れた百貨店での遭遇でした。
経営者こそ、本業にとらわれすぎて近視眼的になるのではなく、たまには街に出て違う空気を吸い、違う世界を体験せよ
。そんな教訓を教えてくれている気がします。

そして、経営すべてに共通することですが、なにより大切なのは、経営者の熱い思いの存在。
お金儲けも重要ですが、それだけでは社員も協力会社も、もちろん顧客も動かすことはできません。

余談ではありますが、本書を読むきっかけとなったのは、名古屋の足袋会社のF社長と知り合いになったこと。
ご本人も本書の宮沢社長に負けず劣らずの熱い社長です。

世はまさにリオオリンピックの真っ只中。
本書を読んで、「男子マラソン」をみると、また違った楽しみ方ができるかもしれません。ぜひおすすめします。




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エクスマの藤村正宏さん、最新刊のテーマは「つながりの経済」。

エクスマの藤村正宏さんが書いた『「つながり」で売る!7つの法則』を読みました。

「つながり」で売る!7つの法則

エクスマとは、エクスペリエンス・マーケティングの略。
モノからコト、体験をベースにしたマーケティングで数々の実績を残している藤村さん、ご存知の方も多いでしょう。

そんな藤村さん、今回のテーマは「つながりの経済」。

今はいきなり買ってもらうことを考えるより、まずはつながり=関係性をつくって、その結果として買ってもらったほうが良く売れる。そんな時代のマーケティングを、藤村さんは「つながりの経済(=つながりの消費)」の7つの法則として、本書にまとめています。

私にとっても、「つながり」と「つながりが生む消費の大転換」は、このところの最大の関心事ですが、この順番、藤村さんも言っていますが、今までのマーケティングとは真逆。

あくまで「売ってからつながる」のではなく、「つながってから売る」。この順番が重要なのです。

そして、かつての真逆の時代のマーケティングでは、なんといっても広告が主役でした。
対して、すでにおわかりのように「つながりの経済」の主役はSNS。FacebookやInstagram、Blogなどです。

そう考えれば「つながりの経済」では、かつての花形であった「ハンター型の営業」も必要ありません。
それどころか彼らが売りの意識をガンガンに持って表に出れば出るほど、悪い評判が拡がり、
企業の価値まで落とすことにつながりかねないのです。

もし今だにこのような営業スタイルが推奨されているとしたら…。
あなたの会社が市場からの退場を余儀なくされる日も遠くないかもしれません。

それにしても、広告とハンター型営業、あらためて考えてみると共通点が多いですね。

そうこういっても、SNSはまだまだリスクも多いのではないか?
そんな疑問を持って、SNSの活用に二の足を踏んでいる企業に対して、藤村さんは本書の中で「新しいルールの新しいゲームが始まっている」と書いています。

重要なのは、時代の価値観(新しいルール)が変わっていることを受け入れること。SNSを使うか使わないかはあくまで手段にすぎないということです。たまたま勝者になれたのは、過去のルールであったから、それに気づいているかどうか…
かつて日本のスキージャンプが圧倒的な強さを誇っていた時、ルール改正により一気に勝てなくなった、そんな時代を思い出します。

時代が変わったのだから、価値を入れ替えて、コミュニケーションツールを時代に合ったものに変える。
それが真の時代対応ということではないでしょうか。

「時代なんてパッと変わる。」
かつて高度成長期に、名コピーライター秋山晶さんが書いたコピーですが、その変化のスピードは、今や当時の何倍何十倍にも加速しています。

そんな時代のキーワード「つながりの経済」。
そろそろ企業コミュニケーションのあり方を根本的に見直すことが必要なときだと思いますが、いかがでしょうか。

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「売り方」の神髄、すべては「知る・見る・聞き出す」から。

今回読んだのは、マーケティングコンサルタント、松野恵介さんが書いた『売れる人が大切にしている!「売り方」の神髄』です。

「売り方」の神髄

「売れる」人が大切にしている!「売れる」方法とは?

「売る」のではなく「売れる」、ここが肝心ですが、そのスタートは「知る・見る・聞き出す」こと。
本書で松野さんが繰り返し書いている、本書のテーマでもあります。

そのためにまず大切なのは、お客様が何を求めているかということ。

松野さんいわく、
お客様が求めているのは、決して商品の良し悪しや、安い高いだけではなく、
自分の悩みや困りごとをきちんと聞いてくれること。

それに対して漠然と聞いているだけではダメで、相手を知るためにこちらから積極的に聞くことが大切だそうで、
これをもっと正しく表現すれば、「聞き出す」ことなのだそうです。

そして、しっかり「聞き出す」ことができれば、

・商談がスムーズになる
・価格競争に巻き込まれなくなる
・お客様から信用され仕事を任される
・提案営業がラクになる

などなど、さまざまな効果が生まれてくると松野さんは言っています。

確かに、かつて多く存在した自己主張の強い営業マンタイプほど、「話す」ことに時間を費やし、聞く」ことがおろそかになる。結果、売れるものも売れなくなってしまう。まさに松野さんがいう「売れる人」の裏返しなのだと思います。

しかしながら「聞き出す」ことが重要だとわかったとして、そう簡単にうまくいくほど、世の中甘くありません。
なぜなら「聞き出す」ためには、こちら側も質問できるだけの知識や情報が必要になるからです。

たとえば自社商品に対する知識。
まずは自分がその商品を好きになり、詳しい商品知識をもっていなければ、相手にも「想い」が伝わりませんね。
逆に好きになって詳しくなれば、相手にもその気持ちが伝わり、あなたに自然と話したくなるのではないでしょうか。

つまり、人を動かすのは、巧みな話術ではなく、自分の愛する「商品」で相手の役に立ちたいというあなたの「想い」がすべてなのだということです。

松野さんのいう「売り方」の神髄とは「根本」、基本中の基本ということで、まさにこの「想い」の存在こそ「神髄」なんだと本書を読んで気付かされます。


本書で松野さんが展開しているのは自身が経験の中から磨き上げた「コネクションマーケティング」というもの。
お客様との「つながり」を作り出すことが、マーケティングの全てを左右するという考え方です。

私もよくいうことですが、お客様と良い関係ができていれば、自然と商品も売れるようになる。
大切なのは、関係が出来る前に売ろうとすると、せっかく売れるものも売れなくなってしまいます。
そこを見誤ると、これからの時代のマーケティングはうまくいかない、そのあたりの時代感を松野さんはきちんと押さえて本書をまとめています。

「売れない」から必死で「売る」のではなく、「売れない」からこそ、立ち止まって、根本に立ち返ってみることが大切な時。

今の世の中の価値観にあった「売り方」を考え直してみるには、格好の1冊かと思います。

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とうふを売るな。思いを売れ。おとうふ工房いしかわのまっすぐ経営術。

皆さんは、一丁いくらくらいの豆腐を買うでしょう?
日常的には、国産大豆の豆腐を選んでも、せいぜい100円から150円程度といったところでしょうか。
スーパーの客寄せ商品ともなれば一丁50円以下もざら。それでどうやって利益を出すか、以前仕事でお世話になった豆腐製造会社の社長が頭を悩ませていたことを思い出します。

そんなわけで今回ご紹介する本は、豆腐製造を主たる事業として愛知県高浜市に本拠を構える「おとうふ工房いしかわ」の石川伸社長が書いた「年商50億のまっすぐ経営術」。ちなみにいしかわの豆腐は一丁300円近くもします。

いしかわまっすぐ経営術

家族経営、町の小さな豆腐屋さんを引き継いで25年、今では年商50億円を超える売上の会社に成長を遂げた「おとうふ工房いしかわ」。
とはいえ、決して順風満帆であったわけではないようです。そんな窮地を救ったのは…
詳しくは本書を読んでいただきたいのですが、いしかわ社長はその成長のポイントを以下のように綴っています。

(1)国産大豆とにがりの豆腐にこだわったこと。そして決して安売りをしなかったことです。
   本書のタイトルにもあるように、ブレないまっすぐな経営が最大の成功要因だったように思います。

(2)子供たちの「旨い、安全、安心(社是でもあります)」にこだわったこと。
   こどもに食べさせるためには、特に安全な商品であることが重要で、
   それが時代に先駆けて、世の中の評価を受けることにつながったのです。

(3)もうひとつ挙げるとしたら、ネーミングに知恵を絞ったことでしょう。
   いしかわの代表商品である「究極のきぬ」「至福のもめん」はまさにその象徴ではないでしょうか。

そのほかにも、本書では「顔の見える経営」「おとうふエンターテイメント」「先輩・後輩のバディシステム」「毎月のお誕生日会」「農泊研修など、アイデアマン石川社長の本領発揮とも言える成長のエッセンスがぎっしり詰まっています。

決して妥協せず、商品を貶める値引きは頑ななまでにしない。
ここまで考え実行したら、あとは成功するしかない。そんな気持ちを抱かせる石川社長の一途さ、純粋さ。
たまたま夕方出かけたスーパー「フランテ」のおとうふ工房いしかわのコーナーが、いつも以上に輝いて見えました。

おとうふ工房いしかわの石川社長の経営術は、まさに経営の原理原則に則ったもの。経営者が読めば自社に何が欠けているか、また幹部が読めば自分がどんな役割を果たすべきか、今のあり方を見つめ直したいと思うのであれば、読んでみて損のない、そんな1冊です。

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