アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

アメリカで始まっているライフスタイルの革命。

佐久間裕美子さんが書いた「ヒップな生活革命」を読んだ。



佐久間さんはブルックリン在住のライター、すでに15年ほどアメリカで暮らし、その間の9.11やリーマンショックなど、アメリカ人の価値観が変わるほどの大事件をまさに肌で体感している貴重な日本人の1人だ。

さて、アメリカ人というと未だにマックを頬張って肥満した身体を持て余している、そんな印象が強いが、佐久間さんに言わせると、とっくの昔にそのライフスタイルにはさよならを告げ、革命というべき大きなライフスタイル転換が起きているという。

本書は、そんな佐久間さんがブルックリンやポートランドなど、今アメリカの最前線で起きているヒップな生活革命を紹介するもの。

ヒップとは?

佐久間さんによれば、アメリカではこの生活革命をリードする人たちをヒップスターと呼んでいるそうだ。

私など、ヒップというと真っ先に連想されるのが70年代のサブカルチャーを創ってきたヒッピー文化であり、そこにはややネガティブな印象もあるのだが、今や最前線で環境やオーガニックな食材にこだわることこそがヒップであり、非常にポジティブに使われているのだそうだ。

環境とヒップスターとは、時代は変われば変わるものだと感慨深いが、まさに今という時代を言い得ているのではないだろうか。

ところで、本書の冒頭で紹介されるのが「サードウェーブ」と呼ばれるコーヒームーブメント。

スターバックスなどを第2世代コーヒーとして、その後に続く地域に根ざしたインディペンデント系のコーヒーショップを指すそうで、ポートランドのコアヴァコーヒーロースターズなどがその代表だそうだ。

ポートランドは本書でも度々登場するが、「ポートランド的価値観」として、デザインや雑誌の世界でもひとつのキーワードになっているらしい。

そのあたりは、さまざまな分野の事例とともにかなり詳しく紹介されており、消費トレンドを知る上でも貴重な一冊といえる。

本書を読んであらためて気づくことは、間違いなくムーブメントの主流は大資本からローカルの小資本、コミュニティに移ってきていること。その根底にあるのは、人と人のつながり、そこから生まれる地産地消などの顔が見える消費、食の安心安全など、生活者の価値観の変化だ。

行き過ぎた経済至上主義への反省とそこからの自立意識の萌芽。
この流れはもはや止めれれない。
そしてこのムーブメントは間違いなくこの先の日本にも大きな影響を与えるだろう。

幸いこの流れは、ローカルの中小企業には大きなチャンスとなる。しかしその時問われるのは、大資本ではできないこだわり、独自価値だ。

本物だけが生き残る、そんな時代がやってくる。

出てこい、イノベーターズ。その存在が企業の盛衰を決する。

株式会社ワークハピネス社長、吉村慎吾氏氏が書いた「イノベーターズ~革新的価値創造者たち」を読んだ。



組織に変革をもたらす人=イノベーターはどのようにして生まれるのか、自身が経営者としてイノベーションをリードしてきた経験も含め、その法則を解き明かしている。

さて、かつてドラッカーが「企業の基本的な機能は、マーケティングとイノベーションである」と著したように、企業が存続していくのに重要な要件がイノベーションであることは承知のこと。
しかしながら、日本の企業は概して「イノベーション」が苦手なように思われる。
その理由として、吉村氏は次の2点を挙げている。

・経営者の多くが、自身、優秀なオペレーターであること。優れたオペレーションにより標準化と効率化を推し進め、業績を新調させた結果として、経営者の座を獲得している。ゆえにイノベーションが必要とされる現場に遭遇してきていない。
優れたオペレーション集団は、イノベーションを押しつぶす。まさにイノベーションのジレンマだ。

・イノベーションが「技術革新」と訳されてしまったこと。こだわるべきは技術ではなく、顧客に提供する価値であるはず、というのが吉村氏の主張である。

イノベーション=「革新的価値創造」

そのように訳し直し、それではどのように考え、どのようなことをしたら、イノベーション=革新的価値創造が生まれるのかを本書で展開する。

そもそもイノベーションは、カオス(混沌)とオーダー(秩序)の間で生まれると吉村氏。

先に書いた経営者がオーダー(秩序)を前提に過去の成功体験を積み重ねてきたのであれば、カオス(混沌)はその企業には存在していないだろう。
したがって、組織にカオス(混沌)こそ重要という新たな価値観を意図的に作り出さなければならない。
だからこそ、就業時間のうち20%は、本来の仕事以外での取り組みに費やさなければならないとするグーグルの20%ルールなどは、その価値観を意識づける意味で大いに参考にできるのではないだろうか。

また吉村氏は、イノベーションが生まれる組織の条件として、
(1)明確ななミッション
(2)限りなく少ないルール
(3)異質の尊重
を挙げている。

特に(1)のミッションの設定は、経営者の意思決定がぶれず、現場社員が誇りを失わず、イノベーションが生まれやすい企業風土をつくるとして特に重要であるとしている。

従来の日本企業が武器としていた標準化と効率化をベーつとした経営手法が、今では一転デメリットとなってしまう。それほどまでに世の中の価値観が変わったことの大きな証とも言えなくもない。だからこそミッションの再設定は必然、私がミッションにこだわる理由もそこにある。

重要なのは、その価値観の変化を、皮膚感覚として感じることができているかどうかだ。
それがわかっていれば、過去の成功体験も捨てることができる。

管理から自立へ。統制から透明性へ。
斉藤徹氏が自著「ソーシャルシフト」で掲げる、自由で風通しが良い組織から続々とイノベーションが生まれてくる、そんな時代が訪れる、本書を読んで、その想いがより一層強くなった。

テーマ:徒然なるままに… - ジャンル:ブログ

言葉を変えれば、人生だって変わるかもしれない?!

もと博報堂、現プール代表、コピーライター/クリエイティブディレクターの小西利行氏が書いた「伝わっているか?」を読んだ。



伝えようと思えば思うほど、気持ちが空回りして、肝腎の伝えたいことが伝わらない。そんな経験はないだろうか。

頑張って伝えようとしている、その意識が問題なのだと、小西氏はいう。

なぜかというと、「伝える」ことばかり考えていると、結局、相手の気持ちを考えず、自分の意思を押し通すことばかり考えてしまうからだそうだ。

そんな時は、まず「相手のしてほしいことを想像する」ことがコミュニケーションの基本。
その人が嬉しくなって心を動かすようなアイデアを徹底的に考えなければならない。

そこで広告のプロ、コピーライターの登場となる。

たとえば、こうだ。

好きな人に会いたい気持ちを伝える時。

今日、会える?

より

1分だけでもいいから、今日、会える?

どうだろうか?

本書では、そんな小西氏秘蔵の「伝わる」メソッド20を全編に渡って紹介している。

人気の無かったナポリタンが、たった1日で人気商品に変身する。
商店街の不法投棄ゴミが、たった一晩で無くなった。
お金を、1円もかけないで、新商品が飛ぶように売れるようになった etc

それもこれもすべてコピーの仕業だとしたら…

さて、どんなコピーで不可能を可能に変えたのかは本書を読んで頂くとして、あらためて思うのは、できるコピーライターとは、相手の心を読む達人なのである。

自分が自分がではなく、自分はさておいて、いかに相手のためになろうとできるか、そこにあるのは、利他の精神。

言葉を変えれば、仕事が変わる。
言葉を変えれば、恋愛が変わる。
言葉を変えれば、世界が変わる。

言葉の力とは、それほどのものなのだ。

伝えたいことが伝わらない。もしそんな悩みを感じたとしたら、小西メソッドを一度お試しになることをおススメする。

テーマ:徒然なるままに… - ジャンル:ブログ

データサイエンティストとは、“データでイノベーションを起こす人”である。

慶應義塾大学大学院の准教授、森川富昭氏が書いた「ビジネスを動かす情報の錬金術」を読んだ。



「ビッグデータ」はビジネス上の重要ワード、そしてそれを取り扱うデータサイエンティストは世界的に人材不足だという。
しかしそんな状況にありながらも、今ひとつ理解が進まないのは、一にも二にも、データサイエンティストという職種がどのような仕事なのか、わかりにくいことにあるのではないか。
かくいう私も典型的な右脳人間であり、正直、データと名が付くだけで遠ざけたいほど。

そんなデータ音痴な私に福音的な1冊が出版された。それが本書「ビジネスを動かす情報の錬金術」だ。

本書がデータサイエンティストへの理解をわかりやすくしている理由、それはストーリーを通してデータサイエンティストの価値や役割を伝えていること。読者は物語を辿っているうちに、意識することなく自然とデータサイエンティストの世界に入っていける。

さて、肝心なストーリーであるが、こんなあらすじになる。

SHOEMAKERSという靴の全国チェーンに勤める大島周司。
SHOEMAKERSはこのところ経営難に悩み、聞くところによると社外取締役として外国人のロバート・ゲッコーを迎えアドバイスを受けようとしているらしい。
ゲッコーの方針は、不採算店を閉じ、海外への展開を重点的に進めていこうというもの。
国内店舗の閉鎖となれば社員のリストラが予測される。
それを阻止するためには劇的な施策を投入し業績をV字回復するしかないと立ち上る周司。こんな調子で話が進む。

しかしなかなか妙案が浮かばない周司…そんな時、たまたま訪れたカフェでデータ分析に取り組む学生3人組と出会う。聞くところによると大学でデータサイエンスを学ぶ現役のデータサイエンティストだという。
彼らの話を聞き、データ分析の可能性に会社の未来の姿を見つけた周司。

そこから話は急展開、彼らとチームを組み会社の「ビッグデータ」分析に取り組む。数々の困難にぶつかりながらも抜群のチームワークで乗り越え、最終的に見事、会社の苦境を救う。そんな物語だ。

もちろん物語だけでは流れてしまうので、ところどころにDIRECTOR'S VOICEとして、分析の専門家としての著者の解説が入る。その解説により、物語の意味がさらに深く理解できるという絶妙な仕掛けとなっている。

データサイエンティストというとどうしても理系、技術者というイメージが拭えないが、森川さんいわく「データサイエンティストとは、データからイノベーションを起こす人」「マーケティングな発想ができる人」であると定義している。

この先、データサイエンティストのポジションは企業の中で重要性を増すことは間違いない。しかしデータはそのままでは単なるデータの塊りに過ぎないわけで、データサイエンティストを活かすも殺すも、経営者の価値観、そして先見性次第であるといわざるを得ない。

重要なのはまずは経営に携わる人自身がデータ分析の価値を理解することだ。そういう意味では、本書は間違いなく現在あるデータサイエンス関連本の中で、マーケティング視点で捉えた最もわかりやすい入門書である。

ゆるいつながりが、セーフティネットになる。

フリージャーナリスト、佐々木俊尚氏が書いた「自分でつくるセーフティネット」を読んだ。



副題に「生存戦略としてのIT入門」とあることからもわかるように、これからの時代、ITを活用することで、個人がどのように生き残っていくかを指南してくれる本。

佐々木氏がこのテーマにこだわる理由は、従来日本の社会に存在していた「情」のセーフティネットが機能しなくなってきていることにあるという。

その危惧が佐々木氏のペンを走らせた。

倒産した、リストラされたとなると、再び定職に付くことすら難しい。生き馬の目を抜くなどというが、冷酷な野獣になって「理」だけで生きていける人はほんのひと握りしかいないだろう。

それでは、そうでない普通の私たちは、どのように考えて行動してゆけば良いのか?

佐々木氏は、その答えとして、次のような時代感を持つことを提唱している。

・総透明社会の時代
・ゆるいつながりの時代
・見知らぬ人を信頼する時代
・「善い人」が生き残る時代
・生き方そのものが戦略になる時代

どうだろうか。
本書を読んで頂けばわかるが、佐々木氏が上記を実現する鍵としているのが、SNS、特にフェイスブックの存在だ。

自分自身を丸見えにする、ゆるくつながる、見知らぬ人を信頼する、このあたりは実際にフェイスブックを使っている人なら体感的に効果を理解できるであろう。

特にゆるいつながりは、強い絆に対して、欧米でもウィークタイズと呼ばれ注目を集めているそうだ。

強い絆は一見崩れにくそうだが、長期的にみると意外と脆い。逆にゆるいつながりの方が長続きするという研究結果も出ているらしい。

SNSによる個人情報の漏洩が取り沙汰されているが、そもそも完全プライバシーがあり得ない世の中で、隠すよりはあえて晒す方がよほどメリットがあると佐々木氏。

その考えには私も全面的に賛同する。

リスクを恐れてSNSを使わないという考え方は、これからの世の中にはそぐわないと肌で感じているからだ。

「理」より「情」が勝つ世の中。
裏表のない、善い人が信頼される。

正直者が得をする。
そんな時代がやってきている、本書を読んでその想いを強くした。


次のページ

FC2Ad