アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

双雲流、しあわせになれる「はたらきかた」

書道家、武田双雲氏が書いた「しあわせになれるはたらきかた」を読んだ。



書道家として認知度は抜群、しかしながら著者としての彼は?がこれまでの私の評価だった。
(ファンの皆様にはごめんなさい)

が今にして思えば失礼な話。著書においても大変な才能なのである。
歯切れが良く、ブレがない。おそらく集中力が人一倍問われる書道家で培われたところも大きいのではないだろうか。

本書「しあわせになれるはたらきかた」はそんな武田氏の、ベストセラーになった「ポジティブの教科書」に続く最新刊。
帯にもあるが、「すべての働く人に贈る、仕事でわくわくできる方法」を武田氏が伝授するものだ。

武田氏が提唱するのは、頑張りすぎない働き方。確かに今の時代、頑張りすぎて消耗している人も多い。それどころか心まで消耗して容易に立ち直れない人も激増しているようだ。

武田氏がこの考え方に至った背景には武田氏のサラリーマン体験がある。実は武田氏自身、書道家になる前はNTTの社員。結局、会社生活になじめず早々に退社することになるのだが、その時に学んだことが本書のベースになっている。

本書にこんな一節が。

「頑なに張ると書いて頑張る。頑張るからこそうまくいかないこともあるんじゃないかと」
「楽しくない仕事を続けていても、おそらくいい結果には繋がらないんじゃないと思うのです」

企業人として成功することも大事だけれど、毎日を気持ち良く過ごせることの方がもっと大事。
武田氏にとって、早々の会社員生活からの撤退は、まさに最善の選択であったことが伺える。

たまたまであるが、データによれば今日9月1日は年間通して学生の自殺者がいちばん多い日らしい。季節の変わり目にあるだけに、おそらくは社会人でも似たような傾向にあるのではないか。

好きになれないこと。どうしても我慢できないこと。心が落ち込むこと。

直面している張本人にとってはそれどころではないだろうけど、結局のところ自分を追い込んでも何も変わらない、ある種あきらめの気持ちも必要なのかもしれない。

日々の行動と考え方を少しだけ変えるだけで周りの景色が違って見える。本書にはそんなヒントがいっぱい詰まっている。

難しく考えるのは止めよう。今日1日をめいっぱい楽しんでみよう。案外それくらいで丁度いいのかもしれない。何せ人生は長いのだから。

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「敵がいない」のではなく「敵をつくらない」。それこそ無敵の経営。

陶芸家、北川八郎氏が書いた「無敵の経営」を読んだ。



本書の冒頭に掲げられているのは「戦って勝ち抜くことでは繁栄しない」という言葉。
ここに北川氏の経営に対する価値観のすべてが込められている。

ゆえにタイトルに掲げられた無敵とは、戦って勝ち抜く「無敵」ではなく、戦わずして独自の商品やサービスで消費者の支持を得る、敵がいない「無敵」を表しているのだ。まずここを間違えないようにしたい。

さてそれでは、そのために何が大切か。

「稼ぐためだけに生きる」
「儲けるためだけに商売をする」
「見せかけだけの良いものを提供する」

そういう経営の考え方を徹底的に排除し、顧客の利益と喜びと幸せをいちばんに考える経営に、方向転換する必要があると北川氏は言う。

そもそも北川氏はなぜこのような考え方に至ったのだろうか。

その答えはここまでの北川氏の経歴にある。経歴を見てみよう。

北川氏は、カネボウ化粧品で社員教育を担当した後、会社の正義と社会の正義の狭間で苦しみ、人として生きている意味を見失った。32歳で退社後インドを放浪、帰国して阿蘇外輪山の小国郷に移住、41歳と43歳の2度、40日を超える断食を敢行、人としての小さな光明を得たという。
そしてその後はさまざまな縁に導かれ、田舎での「七陶三農」生活を維持しつつ、多くの経営者のメンターとして信頼を集めているとのことだ。

人生を通して、「人とは、生きるとは」の答えを模索しつづけてきた結果ゆえに、その観点から発せられる、本書における数々の言葉は、実に奥が深いのだ。

こんなエピソードが本書で紹介されている。少し長くなるが以下に記す。

ある企業セミナーでの講義を終えた時のこと。五十代の工務店社長がやってきてこう言ったそうだ。

「あなたの言うことは頭ではわかります。あなたの言う通り、私は今まで自分中心の考え方で儲けることだけを考えてきました。だから急にお客様のためにと思っても、利を失う恐れの方が大きいのです。その一方で、自分の利益を得るために他の業者をいじめてきたことに少し疲れている自分もいます。今日の話は胸に響きました。家族が心配なく食べていけるだけのお金は貯めましたので、これからは相手の業者にも利益と信用を分け与える経営をやってみようと思います。」

その日から1年後。再びやってきた工務店社長は、
「あの日の翌日から言われた通り、ただ儲けるだけの考えをやめたら(信を選んでみたら)、なんとかえって儲かり始めた
のです。あなたの言葉は本当でした!とても驚いています!」

彼がやったことは、自分の取り分を少し少なくして、業者の方に少し多めの利益を渡したこと。すると、たちまち業者の方々の表情と仕事内容が変わったのだそうです。そればかりではなく、業者の皆さんが会社の宣伝まで担ってくれるようになったのです。

まさに戦わない経営、無敵の経営とは、こういうことを言うのだろう。

少しの利益に目が眩んで、信用を失ってしまうのか。利他の心で周りのためになり、信用を積み上げるか。
インターネットが普及して、悪い噂が口コミで一気に広がってしまう時代だけに、余計答えは明確である。

経営において、経営者の考え方=価値観が今ほど重要な時代は、かつてないのではないか。本物の経営とは。本物の経営者とはを、本書であらためて考えさせられた。



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「私らしく」働くこと

フリーライター、一田憲子さんが書いた『「私らしく」働くこと』を読んだ。



私が普段読むのはもっぱらマーケティング、広告関係の書籍になるが、書店での楽しみはジャンルに関わらずあらゆる棚を見て回ることだ。なぜなら、ネット通販では味わえない、本との偶然の出会いがあるから。
本書もそんな偶然の幸せな出会いによって見つけた1冊。嘘のような話であるが、通り過ぎようとしていた私を手招きするように、ひっそりとそこに佇んでいたのである。

運命に導かれるように開いてみたら・・・
第一印象は、圧倒的な文章力。著者は、「暮らしのおへそ」など、フリーライターとして長いキャリアを誇る一田憲子さん。取材対象の個性を引き出すのが抜群に上手いのだ。

そんな一田さんが本書で取り上げたのは、8人の女性の働き方。

CHECK &STRIPEオーナー在田さん
蔦屋書店勤務、勝屋さん
BEAMS勤務、中田さん
出張料理人、後藤さん
広告代理店勤務、葉山さん
文筆家、小川さん
リペスト勤務、山田さん
そして、
最後は、自身を「私の働き方」として締めくくるという粋なまとめ方。なるほどこういう視点を持つ人はこんな生き方をしているのだと合点が行く。

年齢もライフスタイルも価値観も、まるで異なる8人であるが、こうして1冊読み終えてみると共通点も多いことに気づかされる。

それは自身の仕事に夢中で、とことん誇りを持っていること。そして何より人生を楽しんでいること。

さらには、彼女たちの「働き方」を通して、今という時代が透けて見えるのだ。

彼女たちの「働き方」を、時代というフィルターを通して見事に引き出した一田さん。

何より本書を通して彼女の文章と出会えたことが本書の最大の収穫でもあった。
今後も注目してみていきたい。

人財確保のムダを劇的に減らす、つながり採用。

宮崎智之氏が書いた「ムダ0(ゼロ)採用戦略」を読んだ。



リクナビやマイナビといった、就職ナビを中心とする「大量にエントリー者を集める採用活動」が制度疲労を起こし始めている。

そう聞いて、まさかと思うか、やはりと思うか。あなたの感想はいかがだろうか。

前者であれば、時代感が相当違っている。現実を冷静に見つめ直す必要がありそうだ。

それほどまでに、今採用活動の現場では激変が起きている。

そのあたりの現状と起こりつつある新たな波、そしてこれからの採用活動のヒントを提示するのが本書の内容だ。

本書を読んでみて、何だか広告業界の状況に似ているなと言うのが、私の率直な感想。

似ている理由は、マス広告のパワーが落ちてSNSが台頭してきている点。

とは言え、マス広告をやめると量が確保できないという恐れがあり、掛けるお金の割りに効果が薄いと思いつつも続けている•••

マス広告のポジションにあるのが、まさに現在の就職ナビの置かれた状況と言えるのではないだろうか。

それでは新しい波とは何だろう。

本書によれば、それがFacebookなどのソーシャルメディアを活用した「つながり採用」である。

そのソーシャルメディアを活用した例として、本書で相当数のページを割いて紹介されているのが、ウェブサービス「ウオンテッドリー」だ。

大きな特徴は、Facebookアカウントでの登録が促されること。

いいねボタンと同様に、企業の求人ページに「応援」ボタンが設置され押されることによって口コミが広がる仕組み。

就職ナビに比べ圧倒的に低料金であり、すでに60万人の利用者、9000社に及ぶ掲載企業があるという。

就職ナビのような顔の見えない企業とのつながりではなく、ポイントは人と人の直接のつながりであり、それが「つながり採用」と言われる所以なのである。

先に少し述べたように、背景にあるのはコミュニケーション環境の劇的な変化だ。

そういう意味では、直接の読者は企業や学校の就職担当者を想定しているが、コミュニケーション環境の変化を学びたいという人にも非常に興味深い内容となっている。

量を求めるコミュニケーションの制度疲労。その背後から着実に顕在化しつつある新しい波。その少しづつ大きくなる音を聞き取ることができれば、次のビジネスチャンスを捉えることができるだろう。

本書はその兆しを実感できる貴重な1冊である。

人生で起こること すべて良きこと

田坂広志氏が書いた『人生で起こること すべて良きこと~逆境を越える「こころの技法」』を読んだ。



副題に、人生の岐路で気づきを得る「50の言葉」とあるように、本書は、対談相手からの50のなぜの問いかけに、田坂氏がひとつひとつ丁寧に答えていく形で展開されていく。

たとえばこうだ。

なぜ、我々は、逆境に「正対」できないのか。という問いかけに、田坂氏はこう答えを返す。

それは、逆境に直面した時、「なぜ、こんなことになったのか...」という過去への後悔や、「これから、どうなってしまうのか...という未来への不安に、心のエネルギーの大半を使ってしまうからです。

そのため、目の前の逆境に対して、「この逆境をどう越えていくか」と正対して考えることができなくなってしまいます。

なるほど。

この例に限らず、田坂氏の答えは至極シンプルでどこまで行っても正論であるため、本書を読んでいささか物足りないという方もいるだろう。

逆にシンプルであるがゆえ、自身の内面への問いかけにより、より自分事として深く考えることができるという効果を呼んでいると私は考える。

そもそも人生とは予想外の出来事の連続だ。歳をとればとるほど、その耐力も衰えてくる。
そして世の中がより複雑になっている今、自身への攻撃の矢は、以前にも増して多方面から飛んでくるのだ。

そんな時代に重要なこと、それは一にも二にも、周りの状況に左右されない自分自身の心の有り様なのではないだろうか。

大切なのは、逆境に正対して、起こったことを心で受け止め受け入れること。

そんなこと、できるわけがない。
なぜなら人には感情があるから。
私も最初はそう思った。しかし、ちょっと待てよと。
怒っても喚いても、起きたという事実は消すことはできない。ましてや、すべての起こったことは紐解いてみれば、自分自身が招いたことに他ならない。

であるなら、あとは考え方次第。

田坂氏は言う。

逆境において、「人生で起こること すべて良きこと」と、とても思えない時は、まず次の言葉を心に思い定めるべきでしょう。

人生で起こること、すべてに深い意味がある。

良きことと思えなくても、深い意味があると思えれば、それだけで、心の中で何かが大きく変わり始めます。

この感覚こそ、逆境を乗り越える「こころの技法」を身につけていくための、大切な出発点なのです。

すべての出来事に深い意味が。

今この瞬間にも、心が砕かれるほどの逆境に直面している人がいるだろう。

そんな人にぜひ手に取ってもらいたい。

必ず道は拓ける、そんな力をもらえる1冊だった。
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