アドマン(元)のブログ「広告会社〜バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

人が生きる上で、目標が大切な理由

某雑誌で、尊敬する建築家・安藤忠雄氏が心に刻む言葉としてサムエル・ウルマンの青春の詩を挙げていた。

青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相を言うのだ。
年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる……

私も若い時から大好きな詩で、事あるごとに読み返してきた。
いくつになっても心がけ次第で青春であると。その言葉の重みが歳をとるほどにわかるようになってきた。

安藤氏はこの詩を挙げて、現状に満足せず常に高い目標を持ち続けることで成長し続けることができる。
そういう意味で自分はまだ成長過程、だから目標を持つことが大切だと語っている。

2009年に大病をし、1カ月もの入院生活を余儀なくされたという安藤氏。
あらためて健康の重要さを知り自分を見つめ直すことで、さらなる目標を持てるようになったとも語っていた。

どこまでも前向きな安藤氏の生き方、せめて爪の垢でも煎じて飲みたい心境だ。

ある調査では、目標のある人の方が長生きするというデータもある。

長生きすれば良いというわけではないが、死ぬまで活き活きと生を全うしたいと思うのはすべての人に共通の思いではないか。

であれば5年後10年後の目標だ。

あの日立てた自分の目標は錆ついていないか?今、正直心からイエス!と言えない。
目標があいまいだから、気持ちが揺らぐのではないか。
あらためて目標の棚卸しが必要な今日この頃かもしれない。

明確な目標は人を成長させる。はずである。

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「ものつくり」論で見た日本の弱点。サムソンと日本企業の違いとは。

HY研究会を主宰するふたり、畑村洋太郎氏と吉川良三氏が書いた「勝つための経営」を読んだ。



勝ち負けは重要ではあるが、勝ち負けにこだわりすぎると本質を見失う。
そういう意味で、この手のタイトルには以前にも書いた通りやや違和感があるが、内容は現在の日本の製造業が置かれた立場を的確にとらえている。
さすが日本の製造業を長い間見てきた70代の著者ふたりならではと、その説得力に頷かされる点も多かった。

さて先日発表された今期の決算。その中で電機産業の不振が目立った。
なぜそのような状況に陥ったのか、本書ではその理由を明確に教えてくれている。

製造業=「ものつくり」産業と言われるが、本書によれば「ものつくり=もの+つくり」と分解されるそうだ。
70年〜80年代世界を席巻した日本のものつくりの最大の特長はこの「つくり」にあった。

この時代の「つくり」とは誰かが考えだした製品をいかに上手に作るかに重点を置いたもの。
生産技術に磨きをかけ、良質で安価なものを大量に生産できた。そこに日本の最大の強みがあったのだ。
電化製品や自動車はその代表例で、アメリカでは日本車の不買運動も起きたほどである。

しかし、その技術にこだわるあまり、そして90年代以降の戦略の過ちも伴い現在のガラパゴス化に至ってしまったことは皮肉な結果だ。

特に日本が存在を見失ってしまったのが2000年以降、「デジタルものづくり」の流れに乗り遅れてしまったからだ。

デジタルものづくりとは、簡単にいえば設計から実際の量産までの設計情報をデジタル情報でやりとりすること。
その結果、設計情報さえあれば誰でも簡単に製造ができるようになった。
つまりは日本の企業がこだわってきた生産技術が、新興国でも簡単にコピーして拡げることができてしまったのだ。

さらに問題は、日本の企業体質が過剰な製品品質を求めること。
当然必要以上の品質を追い求めればコストに跳ね返ってくる。重要なのはそこまでの品質を求めていない消費者も多いということだ。

このデジタルものづくりと顧客志向・低コスト重視でこの10年急成長したのが韓国のサムソン電子やLG。

著者のひとり、吉川氏は1994年から10年間、実際にサムソン電子の常務として社内のシステム構築・組織改革に取り組んだ、まさに躍進の原動力となった人物だけにそのあたりの記述には説得力がある。

デジタルものつくりにより、「つくり」では競争優位性が持つことが難しくなった今、あらためて問われているのは「もの」そのものの優位性。その核となるアイデアでありクリエイティビティなのだ。
いうまでもなくこの象徴例として登場してくるのが「アップル」である。

「つくり」はすべて外部の会社。わくわくするような「もの」そのものに集中するアップルの考え方。

ものづくりの世界を熟知するふたりが提言する日本企業再生への道。
そのポイントは「秘伝のタレ=自社だけの強み」にあり、それをどう生かすかにかかっているそうだ。
秘伝のタレの活かし方に興味を持った方には一読をお薦めする。

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確信。ソーシャルの力で会社は変えられる。

経営コンサルティング会社、アンツ・アイ・ビュー・ジャパン代表の田中正道氏が書いた「ボイス〜ソーシャルの力で会社を変える」を読んだ。



企業がソーシャルメディアをマーケティングにどのように活用するか、おそらくは多くの経営者共通の悩みの種ではないだろうか。

というのも従来、企業は社内の情報が外部に漏えいしないよう、情報セキュリティポリシーを設けて従業員のソーシャルメディアの利用をコントロールしてきた経緯がある。ブログにしてもSNSにしてもちょっと前までは就業時間中の利用はご法度という会社も多かった。

ところがどうだろう。今は大きな転換点にあり、ソーシャルメディアを上手に活用しないとあっという間に取り残されてしまうということが起こり得る時代になってしまった。まさに180度の転換であり、それだけに経営者の先見性と決断力が問われているのである。

本書「ボイス〜ソーシャルの力で会社を変える」のテーマは、ソーシャル化の波にどのように乗り、いかに企業変革を進めることができるかについて。ソーシャルメディアによる変革のプロセスを詳しく解説している。

田中氏が最重要視するのは、ソーシャルメディア上に氾濫する「顧客の声=ボイス」の活用だ。

長年内向きにあった分、すっかり高くなってしまった外部との壁。
その壁を打ち破ることはちょっとそっとではできないだろうと思うが、現時点でおそらく最大の力を発揮するのが顧客の声=ボイスの力というわけなのだ。

ソーシャルメディア上に氾濫しているボイスを聞き、対話し、商品やサービスに新たなイノベーションを巻き起こす。ソーシャルメディアだからこそ実現できる最大のメリットなのだと本書を読んであらためて思った。

いずれにしても、閉ざされた世界からオープンで自由な世界に飛び出すことはとても勇気がいることに違いない。
だからこそその真価を見極められる経営者の決断が重要になってくる。

経営者自らがソーシャルメディア上の顧客の声の重要さに気づくことができれば、おのずと企業変革は加速されるだろう。
企業のソーシャルメディア活用自体まだまだ確かな答えがない現状においては、本書がソーシャル化をすすめる企業の貴重なバイブルとなる1冊ではないかと思う次第。

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共創。これからのビジネスを左右するもっとも重要なキーワード。

ゴールデンウィークが終わる。

この数日間、本を読んだり街へ出かけたり人と会ったりして、あれこれ考えた。

今あらためて整理してみると、今自分の脳裏に鮮明に浮かんでいるキーワードがある。

“共創”である。

今までのビジネスは、どちらかというと企業が情報をコントロールすることで成立していた。

いいかえれば、消費者が少ない情報で企業を評価していた時代。だからこそ企業は競争市場で優位に立てた。

そしてその成長を強力に後押ししたのが、テレビCMをはじめとするマス広告の存在だった。

テレビCMで刷り込まれ、大量に売り場に送り込まれた。マス広告が消費者製造工場ともいえる唯一無二の役割を果たしていたのである。

しかし今は違う。生活者の方が良くも悪くも正しい情報をたくさん持っている。
だから企業がどんなに情報を隠そうとしても、ソーシャルメディア経由の口コミですべて丸裸にされてしまう、そんな生活者優位の時代なのである。

ゆえに企業が情報を抱え込み他社に先駆けて上手い汁を吸ること自体がほぼ不可能に近い。
逆に内に籠ることで情報の偏りが生じ、時代から取り残されて行ってしまう。

重要なのは、自らの存在を外に開いて、生活者も、協力会社も、そしてライバル企業さえもパートナーとして、いかに同じ価値観で連携しビジネスを再構築することができるか。

その根底に流れるべきが“共創”の精神。

そして、この共創を加速させるのがマスメディアではなくソーシャルメディアの存在なのである。

これはそのまま個人にもあてはまる。
ひとりで完結するのではなく、自分と違う個性と連携することで、1+1が2以上になる。
そのためには自分にしかない“強み”という剣を研ぎ澄ますことが必要になってくるだろう。

競争から共創へ。ある意味180度の価値観の大転換。

図体が大きい大企業ほど転換に時間がかかるだろう。ここは中小企業、個人の出番だ。

小が大を制する、そんなあり得ないことが現実に起こるかも知れない時代を迎えている。

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効率主義や前年対比主義を超えて。今、日本マーケティングの出番。

「日本の心がマーケティングを超える〜おかげさまの心 ぶれない心」を読んだ。



書いたのは、日本マーケティング塾という場で学び合ってきた有志4人。そのうち3名は資生堂、富士ゼロックス、パイオニアの日本のトップメーカーで長年実務を積んできたメンバーである。

彼らに共通する考えは、「昨年の3.11以降、日本人の心が変わった」ということ。

長い国内景気の低迷から諦め感に包まれていた日本人の心が、その対応が世界で評価されたように、日本人としてのポテンシャリティでこの苦境を乗り越えようと目覚めたという。

そして当然、日本人の心が変わればマーケティングのあり方も一変するというのが本書における彼らの総意だ。

それでは、その新たなマーケティングの考え方とは何だろう?

彼らの出した答えは、日本人“らしさ”を活かすマーケティング。

マーケティングは戦後の高度成長とともにアメリカから持ち込まれたものであるため、そもそも日本文化とはそぐわないところがあった。しかし、そこに日本で開発された生産管理システムが加わり、競争を前提としていかに効率を上げるかに専念したことで日本企業は成長してきた。行き過ぎた成果主義はその最たるものだろう。

しかしながら、その結果として人の心が疲弊し社会全体が大きな閉塞感に包まれてしまった。
多くの人の収入が下がり続けることも問題であるが、もっと大きな問題は、もともと日本人が持っていた大切な商いの心まで失ってしまったことだ。

一意専心といわれるようなぶれない心。万物におかげさまでといえる心。

そんな精神性をいま一度取り戻すことによりこの苦境をきっと乗り越えられるという、日本マーケティングの復活の道筋を四人四様のアプローチで教えてくれる。

日本には、何百年も続いている老舗企業がたくさんある。そんな企業に共通するのは、本業の継続、先祖を敬う心、地域に根ざしてお客さまの顔が見える商売をしていることだ。

時代に合わせ絶えず進化を繰り返しているが、その根っこにある商売の心は決してぶれていない。
これが彼らのいう日本マーケティングの真髄ではないか。

まだまだ厳しい時代は続く。しかし、その先の光は間違いなく見えてきている。
大切なことは、本業に徹し、お客様との接し方、協力してくれるパートナーとの接し方をいま一度真摯に見直してみることではないか。

今経営者、マーケティング担当者の資質として求められる能力は人間力なのである。本書を読んであらためて思いを強くした。

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