アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

根っからの山男が、経営者になったら。共感を集めるモンベルの経営哲学。

アウトドア用品メーカーのモンベル創業者、辰野勇氏が書いた「モンベル7つの決断」を読んだ。



辰野氏は少年時代に読んだアインリッヒ・ハラーのアイガー北壁登攀記に感銘を受け、山ひと筋の青春時代を過ごした根っからのアルピニスト。数々の名峰を踏破し名実ともに日本のトップクライマーとなった後、日本初のクライミングスクールを開校。その道では若くして名声を得たキャリアの持ち主だ。そして28歳にして株式会社モンベル設立という経営者人生のスタートラインに立った。

本書は、経営者としてのモンベル設立から今日まで、大きな決断を迫られた7つの岐路を振り返ったものだ。

7つの決断とは、
1.28歳、資金ゼロからの起業
2.創業3年目で海外市場へ
3.パタゴニアとの決別
4.直営店出店と価格リストラ
5.モンベルクラブ会員制度の発足
6.アウトドア義援隊
7.山岳雑誌「岳人」発刊
以上である。

こうして並べて振り返るだけで物語が甦って来て胸が熱くなる。

ひと言でいえば、辰野氏は「想い」の人である。

どんな時にも自分の信念に基づき、まったくブレがない。だからこそ結論を迫られる時でも、必ず誰かが手を述べてくれたり、良い運が向いてくるのではないか。これはもう天性のものだろう。

しかしながら、それだけでは今日まで成長を続けることはできない。間違いなく経営者としての明確な経営哲学があったからだ。

辰野氏は自身の企業経営を「アルパインスタイル」という。

そもそもアルパインスタイルとは現役時代の辰野氏の登山スタイルで、少人数で頂上を目指し、リーダーがトップに立ち、ルートを選んで登っていく。グループでいちばん力を持ったリーダーが仲間を引っ張っていくことで、続くメンバーは迷いなく頂上に向かって歩み続けることができるというわけだ。

辰野氏は経営スタイルも、この登山の「アルパインスタイル」を通じて培われ、大いに役立てることができたと振り返る。

辰野氏の考え方はモンベルのモットーからも伺える。そのモットーとは「社員の能力が、経営者の能力」。

経営を進めていく過程でさまざまな決断を迫られてきたわけであるが、それを乗り越えられたのは、その都度、支えてくれる社員の力があったからと辰野氏はいう。経営者の想いもそれを実現してくれる社員がいなければ達成されない。ゆえに「社員の能力が、経営者の能力」と言う考えに至ったのだそうだ。

いささか余談ではあるが、私が企業と顧客との絆の強さを計るのに特に気にしてみるのが、自社コミュニティの存在。
その点からいうと、モンベルのコミュニティ、モンベルクラブはスケールが違う。会員総数なんと50万人、しかも年会費1500円というから、これだけでも7億5千万円!顧客の愛着がわかるというものだ。

本書の最後で、辰野氏は読者に次のメッセージを送っている。

「Do what you like. Like what you do.」(好きなことをやりなさい。そして、やっていることを好きになりなさい。)

自分の選んだ道を歩き続けることができる幸せに感謝する気持ちが、人生を豊かにしてくれる。私はそう信じると言いきる辰野氏に、そのとおりと思わずエールを送りたくなった。モンベルを愛する人はそんな心境なのではないだろうか、本書を読んでそんな想いを抱いた。

俺のイタリアン。躍進の影に哲学あり。

ブックオフ創業者であり、現在は俺のイタリアンをはじめとする大人気飲食店を展開する俺の株式会社代表取締役社長、坂本孝氏とメディアフラッグ代表取締役社長、福井康夫氏の共著「俺のフィロソフィ~仕組みで勝って、人で圧勝する俺のイタリアンの成功哲学」を読んだ。



共著であるが、内容は坂本氏が語り手、福井氏が聞き手となって進められている。この関係はそのまま、普段の二人の関係を表わしてもいる。

坂本氏は福井氏が創業まもなくで困難な状況にある時、物心ともに支援をしてきたいわば師弟関係にある。
さらに坂本氏は稲盛和夫氏が主宰する盛和塾の門下生。

そんなわけで、坂本氏の経営哲学の基本は、稲盛氏の経営哲学に通じるところが多い。

坂本氏の経営哲学は、「仕組みで勝つ」「人で圧勝する」の二つの大きな柱から成り立っている。

まずは「仕組みで勝つ」。

「低価格・高原価率・超高回転率」が俺のイタリアンの、他店が真似のできない最大の独自性だ。

低価格で提供するためには原価率をどこまで下げられるかが通常の飲食業の常識であるが、俺のイタリアンの場合はすべてが常識破り。

一般的に30%程度といわれる原価率をなんと80%まで上げた。しかも料理によっては原価率が100%を超えるものもあるという。

100%を超えるということはそのメニューだけ見れば完全に赤字。それでも利益を出せるのは、通常店舗の何倍とも言われる超高回転率。しかもそれを手がけるのがすべて過去に名店で働いていた一流シェフたちというから人気の秘密がわかるというもの。

中途半端は一切ない。妥協せずとことん3つの要素を追求し仕組み化したことが、短期間で行列のできる店まで上り詰めることができた最大の要因のようだ。

そしてこの仕組み化を具体的に形にして行くのがもうひとつのこだわり「人で圧勝する」だ。

ここでのポイントは、経営理念の存在。

理念の存在しない会社は危ういとし、理念を掲げるだけでなく徹底的に理念の浸透を図る。「俺のフィロソフィ」と銘打たれた自社の理念を冊子にして配布しているのもそのひとつ。しかし、そのような形ももちろん大切であるが、それよりもっと重要なことがあると坂本社長。

そのために坂本社長が常に社員に言い続けていることは、たったひと言。それが「仲間のために汗をかく」だそうだ。
そのせいか通常のレストランではあり得ない、ホールスタッフが仕込みを手伝うことも日常的に行われているとか。

社長に大切な資質として、坂本社長はいちばんに人間的な魅力を挙げている。

その人に人を惹きつける魅力があるか、
若い子、特に若い女性社員がこの人と焼き鳥屋で2時間お酒が飲みたいと思ってくれるようであれば、社長にみ向いていると判断できるという。

実際、坂本氏と福井氏の関係は居酒屋で培われて行ったようだ。

ブックオフでの名声をすべてリセットして、60代半ばにしてのゼロからのチャレンジ。こういう人を根っからの起業家というのだろう。

いくつになっても常識にとらわれない柔軟な思考。むしろ常識そのものを疑ってかかる天性の感性の持ち主かもしれない。

俺のイタリアンから始まった俺シリーズの店舗は、あらゆる料理ジャンルに広がりつつある。

さて次はどんな店が誕生するのだろうか、本書を読んでますます楽しみになってきた。

究極の企業戦略は「親切」。牛たんねぎしの理念経営とは。

株式会社ねぎしフードサービス社長、根岸榮治氏が書いた『日本でいちばん「親切な会社」をつくる~牛たんねぎしの働く仲間の幸せを考える経営』を読んだ。



1981年の創業から34年、現在は東京を中心に34店舗を展開、年商は54億円。

確かに順調な成長ではあるが、年数から考えれば決して急成長というような状況ではないだろう。

しかし穏やかともいえるその成長スピードが、逆に人を大切にするという企業文化を育む時間的猶予を与えたとも言える。

根岸社長が長年追い求めてきた経営の基本は、人財共有、理念共有。あくまで働く人が主役、そして人と人の心のふれあいをベースにした考え方。

今でこそそんな理念経営の典型とも言える根岸社長であるが、その原点は今と真逆の狩猟型経営だったとは意外や意外だ。

それが180度変わったのは、ある時に起こった社員の総離脱。行き過ぎた出店ペースに社員が着いていけなくなったのだ。しかも彼らが移ったのはあろうことか眼と鼻の先のライバル店。加えてそれ以前には店員が店の金銭をかすめ取るという不正も相次いだらしい。

その時の苦い体験が根岸社長に「100年続く企業をつくり、その経営者になる」と決意させたのだ。

ここから牛たんの専門店に辿りつき、数々の独自の取り組みにより、今日までの成長を牽引してきた根岸社長。

その過程は本書に詳しいが、本書で紹介されている取り組みをいくつかピックアップしてみる。

・同一地域で同一業態での「農耕型経営」
・全店長が参画して「経営指南書」を策定
・店長同士が支え合う仕組み
・「お客様アンケート」の徹底活用
・外国人アルバイトも同賃金
・「焼士認定制度」の実施 etc

いかがだろうか。
人が育つとはどういうことか? 社員の喜びとは?ひとつひとつ根岸社長なりに紐解いて、社員とともに作り上げていった。

マグレガーのX理論・Y理論という有名な考え方がある。人は管理しなければさぼるものと考えるか。人は信頼すれば自ら自発的に働くか。根岸社長の考え方は後者だ。

人は信じて心から接すれば、社員もお客さまも必ず好意を返してくれる。
きれいごとかもしれない。しかし、きれいごとも徹底すれば、大きな成果につながる。その好例が根岸社長の「親切」をベースにした究極の経営戦略ではなかろうか。

飲食業にかぎらず、人が居つかなくて困っている、そんな経営者、経営幹部におススメしたい1冊である。

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仕事ができる人は、言葉ができる人。

電通のコピーライター、渡邉洋介氏が書いた『「そのひと言」の見つけ方』を読んだ。

「そのひと言」の見つけ方

今、コピーライターブームが来ている。

私がそう感じる理由は、コピーライターの書く書籍がこのところ立て続けに出版されていること。
しかもそのうち何冊かはベストセラーになっている。

それでは、なぜそれほどまでにコピーライターの書く本が売れるのか?

思うに、ほとんどのビジネスにおいて商品やサービスがコモディティ化していく中で、他者との違いを際立たせるために「言葉の力」が求められているからだと思う。

本書はまさにそんな流れを決定づけるような1冊。「言葉の力」を磨く実践的手法(=コツ)を紹介する本だ。

電通の現役コピーライターである渡邉氏は、自らの豊富な経験から、書くコツ、選ぶコツ、練るコツ、粘るコツと、シチュエーション別にそれぞれ10のコツ、計40の「そのひと言」を創るコツを紹介している。

思いついた言葉をぜんぶ書きだす、100個書いて1個だけ選ぶを繰り返す、など、ほとんどが王道とも言えるような、コピーライターが実践している方法であるが、それだけに魅力的なひと言を生む確率が高いと言えるのではないだろうか。

そんな中で、意外と気付いていないコツが、書くのでなく「見つける」。

渡邉氏に言わせれば、「何かよいコピーを書こう」ではなく「何かよいものが見つけられないかな?何かよい事実を発見できないかな?」という感じだそうだ。

さらに渡邉氏はこう続ける。

コピーライターの仕事をひと言でいうと、「みんなが思っていること」を、みんなとは違う言葉で書く人。

みんなが思っていないことを書いたら、誰にもわかってもらえない。でも、みんなが思っていることを、みんなと違う言葉で書けたら「あ、こういうふうに言ってほしかった!」となる。それを書ける人がコピーライター。

そのみんなが思っていることを自分が制作して書くのではなく、事実として見つける。そして見つけたらその先がコピーライターの仕事で、みんなが使わない言葉、手垢のついてない表現で、ちょっと新鮮な文章を考えるのです。…(以上、本書から引用)

その昔、コピーライターは企業の想いを分かりやすい言葉に変換する翻訳家。そんな風に教えられたことがあったが、それに近い感覚だと思う。

キャッチフレーズならわずか10文字でも成立する。まさに、たかがコピー、されどコピーである。

コピーを自由に操れるようになれば、ビジネスがうまくいく確率が高まることは間違いない。もし今、顧客とのコミュニケーションで悩んでいるのであれば、ぜひ一読をおススメする。



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コミュニケーション力を左右するのは「情」と「理」のバランス。

元「ザ・ボディショップ」「スターバックス」日本法人のCEO、岩田松雄氏の書いた『「情」と「理」話し方の法則』を読んだ。

情と理の法則

今ビジネスマンにとって、最も重要な能力がコミュニケーション力、というのはほとんどの人にとって異論のないところだろう。

しかしながら、コミュニケーションスキルとして「伝える」術をきちんと理解している人は、思った以上に少ないのではないか。
ほとんどのケースが「伝える」という一方通行で終わってしまい、「伝わる」という双方向になっていない。
伝えたい思いが強ければ強いほど伝わらないという悪循環に陥るというわけだ。

それではどのようにすれば、「伝える」を「伝わる」に変換できるのか?

岩田氏は、コミュニケーション力を次の2つの要素に分けて話を展開する。

「情」=話す人の人間性。

「理」=相手へのわかりやすい伝え方。

理詰めでも、情に訴えるだけでもコミュニケーションは上手くいかないと岩田氏はいう。

本書では、そんなコミュニケーションにおける「人を動かす」話し方、「強い信頼関係をつくる」話し方を26の法則として実践的にまとめている。

私が特に注目したのは、実践法則の24.「何」をやるのかではなく、「なぜ」やるのか。

「なぜ」やるのかは、自分自身のミッションと照らし合わせることが重要、そうすればおのずとやるべき理由が見えてくるのだ。自分が心から信じているからこそ、相手に伝わるのである。それがコミュニケーションの本質だと岩田氏はいう。

会社におけるわかりやすい喩えとして、岩田氏が持ちだしたのがドラッカーの本に出てくる、初期キリスト教会の言葉、

「本質において一致、行動において自由、すべてにおいて信頼」

本質、つまりミッションをきちんと共有していれば、細かなルールなどつくらず、実際の行動は自由。みんな自由で考えてやれば大丈夫。ただし、その大前提として、互いに信頼しあうことが必要であると。

まさに岩田氏がザ・ボディショップ、スターバックスで実践してきた考え方ではないか。

実際、話し方のテクニックをどれだけ学んでもなかなかコミュニケーション上手になれない。なぜならそこには「ミッション」がないからだ。

ゆえにコミュニケーション力を高めるためには、自身の「ミッション」をあらためて考えてみるといい。

ミッションとコミュニケーション、それほど密接な関係があると、あらためて知らされた気がしている。

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