アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

悪条件なのに成長中。「不思議な会社」に不思議なんてありません。

島根電工株式会社代表取締役社長、荒木恭司さんが書いた「不思議な会社」に不思議なんてない、読了。

「不思議な会社」に不思議なんてない

島根県といえば、県民所得が全国46番目。47都道府県だから、下から2番目です。ちなみに最下位は、おとなりの鳥取県。

島根電工の営業エリアは、その合わせても人口130万人弱という島根、鳥取。しかも業種は建設業という不況業種なのです。

そんな状況にあって、島根電工はバブル期の1.5倍の売上を上げ、いまだ成長中と言います。
さて、その秘密やいかに?、

ある意味、課題先進県といってもいいエリアでの成功例。だからこそ、これからの中小企業にとって、とても重要なビジネスヒントが詰まっている、そんな印象の1冊でした。

たとえば、仕事のやり方。

かつての島根電工はほかの設備業者同様、大型の公共工事やゼネコンの仕事が中心だったそうです。
しかし建設不況に襲われて、これではいけないとなった時にはじめたのが、「住まいのおたすけ隊」。

何かといえば、一般家庭を対象とした小口工事。1000円程度、コンセント1個の交換でも気軽に受け付けることで、良い関係を構築することでいつしか住宅のリフォームなど、金額のはる仕事も受注できるようになったのだとか。

「良い評判」が経営の「良い循環」を生む。ある意味、今の時代の重要な成功法則のいとつではないでしょうか。

少し前に「カンブリア宮殿」で見た、横浜のリフォーム会社の成功事例も同様でした。それこそ数百円の修繕も喜んでやる、狭いエリア内で驚きのリピート率を上げている会社です。

ここで重要になるのが、最初から利益を求めるのではなく、まず相手のためになるという、いわば「利他」の気持ち。できそうですがなかなかできない、その差はどこからくるのでしょうか?私はずばり「経営者の価値観」だと思います。

うまいこと儲けてやろう。経営者にそんな気持ちがどこかにあれば、成熟した今の時代の消費者には簡単に見透かされ、あっという間に悪い評判が広がってしまいます。

「良い評判」と「悪い評判」、まさに紙一重ですね。

そしてこの成功と切っても切り離せないのが、アイデンティティの転換。
「建築業」から「サービス業」への転換です。

どこが違うかといえば、ずばり「人」の考え方。
営業だけでなく、すべての人が「お客様」という人を意識する。すべての接点においてです。
だからこそ必要になるのが、教育を始めとする「人」への投資。
この点でも、島根電工の取り組みは秀逸です。

経営者の「価値観の転換」で、果たしてここまで会社は変われるのか?
こんなにうまくいく例は少ないかもしれませんが、ためしてみる価値はある。
そう思わせる時代背景があります。

このほかにもある意味、常識に捉われない柔軟なビジネスアイデアが満載。
けれどそのほとんどが、言われてみれば確かにそうだ、という正論。あとはやるかやらないかだけ。

あらためて。「不思議な会社」に不思議なんてないんですね。

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バイトを大事にする飲食店は必ず繁盛する。当然のことを当然と思える会社。

エーピーカンパニーの若き副社長、大久保伸隆さんが書いた「バイトを大事にする飲食店は必ず繁盛する」を読みました。

バイトを大事にする飲食店

エーピーカンパニーの収益の屋台骨は、言わずと知れた超繁盛店「塚田農場」。

私も犬山で町歩きをした時、夕食でこの「塚田農場」を利用した経験があります。
鹿児島産の地鶏炭焼きをメインにした大変コストパフォーマンスの高い店だったと記憶しています。

本書で大久保さんは自社の目的をこう書いています。

「実をいえば、居酒屋をメインにしている会社ではありません。地方の生産者から、品質のいい食材を直接仕入れることで、中間のマージンと流通にかかるタイムコストをカットし、都心の店舗で鮮度のいい食材を、低価格で提供する。生産から販売までの、一次、二次、三次産業を貫通した六次産業ビジネスの会社で、居酒屋はその販売方法のひとつです。」

居酒屋ではない?!
苦しい立場にある地方の生産者の生活向上を第一に考え、営業が苦手な彼らの販路開拓を肩代わりするために、居酒屋という消費の場を作っている…
正直、まずはこの考えに驚きでした。しかしこの考え方ひとつで、あまたある居酒屋とは明らかに違う一線を引いています。
これがミッション経営の最大の効果なのではないでしょうか。

目的が明確だからこそ、目的を達成するために何が必要かがきちんと共有されている。まさにそれが先に掲げた「ミッション=大義」。理念の実践者、大久保さんが30代前半にして副社長まで上り詰めることができた理由もなんとなくわかるような気がします。

そんなエーピーカンパニーの「人」に対する考え方がまた秀逸です。
それが如実に表れているのが、本書の帯にある一言、「アルバイトは、働く客である。」
この一言に、すべてが凝縮されているのではないでしょうか。

考えてみれば、アルバイトが「塚田農場」で過ごす時間以上に長いのが「塚田農場」を卒業した後に過ごす時間です。
当たり前ですが…こんな当たり前のことをわかっていない会社が世の中にどれほどあるか?
ひとつ間違えば、アルバイトを単なる労働力と考えている会社だって死ぬほどあるはずです。

私も前職時代、辞めていく社員たちが快く思わず会社を去る現場にたくさん触れました。
どんな辞め方にせよ快く送り出せないのは会社の将来にとって絶対に良いことではない、そんな思いを強く抱きましたが、それからみるとエーピーカンパニーの考え方は働く人、特にアルバイトの気持ちをよく理解している、いやぁ、これを知っただけでもこの会社に共感をせざるを得ませんでした。

本書には、大久保さんが店長時代、アルバイトが働きがいを持って働けるよう、さまざまな手段を講じブラッシュアップさせていく実例があの手この手と紹介されています。

それが凄いのは、すべて正論であり、自身がアルバイトだったらきっとこうしてほしいだろうという、徹底したアルバイト目線であること。こんな会社だったら自分もアルバイトをやってみたい、本書を読んでそんな学生が、また増えるのではないでしょうか。

本書を読み終わってあらためて思うこと。
飲食業にかぎらず、これからの企業にとって最も大切なことのひとつ、それは間違いなく「人」への向き合い方です。
お客様に対して、近隣の住民に対して、もちろん社員に対しても。彼らがこころよく思わなければ会社なんて、あっと言う間に消えてしまいますから。
「人」がすべてであると認識すれば、今の価値観を180度変えなければいけない会社もたくさんあるように思います。
さて、あなたの会社は、どうでしょうか?

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「陸王」を読んで、あらためて思う。中小企業経営にとってお金より大切なこと。

下町ロケットや半沢直樹シリーズなどの大ベストセラーでおなじみ、池井戸潤さんの最新作「陸王」。
圧倒的な筆力に背中を押されるようにして、気づいたらあっという間に読みおわってました。

陸王

舞台は埼玉県行田市にある老舗足袋会社「こはぜ屋」です。

ご多聞にもれず業界自体は衰退産業で、厳しい事業の現状を打開すべく奮闘する四代目社長、宮沢紘一が主人公。
資金繰りに苦しむ日々、偶然得たヒントから、足袋製造の技術を活かしたランニングシューズの開発を思いつきます。

ここからがまさにジェットコースターのような、息つく暇もない展開につぐ展開。
さまざまな出会い、葛藤、そして最後は、仲間との強い結びつきにより、思いを成し遂げる。
ざっというと、そんなストーリーです。

小説自体の面白さはさることながら、職業柄、私が特に関心するのはハラハラドキドキのエンターテイメントでありながら、経営のイロハをきっちり押さえた優れた経営書でもある点。
ある意味、そこらのマーケティング書よりは何倍も、実践的にマーケティングを学べるといったほうが適切かもしれません。

あまりのリアリティさにこれは?とネットで調べてみると…ありました。

池井戸さんは執筆にあたり、実際に埼玉県行田市にある足袋メーカー「きねや足袋」を取材したとのことで、確かにリアルな製造・開発現場の描写には、「なるほど」とうなづかされるばかり。

本書を読んであらためて思うこと。
衰退産業だからといって、すべての会社が消えていくのかというと、そうではありませんね。
どの業界をみても、必ず生き残る会社があり、そんな会社にかぎって、衰退どころかさらに成長をしています。

大切なのは、根幹となる技術の周辺に必ず新たなビジネスチャンスが眠っていること、それに気づくことができるかどうかではないでしょうか。

今回の「陸王」の話も、きっかけは娘に頼まれてたまたま訪れた百貨店での遭遇でした。
経営者こそ、本業にとらわれすぎて近視眼的になるのではなく、たまには街に出て違う空気を吸い、違う世界を体験せよ
。そんな教訓を教えてくれている気がします。

そして、経営すべてに共通することですが、なにより大切なのは、経営者の熱い思いの存在。
お金儲けも重要ですが、それだけでは社員も協力会社も、もちろん顧客も動かすことはできません。

余談ではありますが、本書を読むきっかけとなったのは、名古屋の足袋会社のF社長と知り合いになったこと。
ご本人も本書の宮沢社長に負けず劣らずの熱い社長です。

世はまさにリオオリンピックの真っ只中。
本書を読んで、「男子マラソン」をみると、また違った楽しみ方ができるかもしれません。ぜひおすすめします。




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エクスマの藤村正宏さん、最新刊のテーマは「つながりの経済」。

エクスマの藤村正宏さんが書いた『「つながり」で売る!7つの法則』を読みました。

「つながり」で売る!7つの法則

エクスマとは、エクスペリエンス・マーケティングの略。
モノからコト、体験をベースにしたマーケティングで数々の実績を残している藤村さん、ご存知の方も多いでしょう。

そんな藤村さん、今回のテーマは「つながりの経済」。

今はいきなり買ってもらうことを考えるより、まずはつながり=関係性をつくって、その結果として買ってもらったほうが良く売れる。そんな時代のマーケティングを、藤村さんは「つながりの経済(=つながりの消費)」の7つの法則として、本書にまとめています。

私にとっても、「つながり」と「つながりが生む消費の大転換」は、このところの最大の関心事ですが、この順番、藤村さんも言っていますが、今までのマーケティングとは真逆。

あくまで「売ってからつながる」のではなく、「つながってから売る」。この順番が重要なのです。

そして、かつての真逆の時代のマーケティングでは、なんといっても広告が主役でした。
対して、すでにおわかりのように「つながりの経済」の主役はSNS。FacebookやInstagram、Blogなどです。

そう考えれば「つながりの経済」では、かつての花形であった「ハンター型の営業」も必要ありません。
それどころか彼らが売りの意識をガンガンに持って表に出れば出るほど、悪い評判が拡がり、
企業の価値まで落とすことにつながりかねないのです。

もし今だにこのような営業スタイルが推奨されているとしたら…。
あなたの会社が市場からの退場を余儀なくされる日も遠くないかもしれません。

それにしても、広告とハンター型営業、あらためて考えてみると共通点が多いですね。

そうこういっても、SNSはまだまだリスクも多いのではないか?
そんな疑問を持って、SNSの活用に二の足を踏んでいる企業に対して、藤村さんは本書の中で「新しいルールの新しいゲームが始まっている」と書いています。

重要なのは、時代の価値観(新しいルール)が変わっていることを受け入れること。SNSを使うか使わないかはあくまで手段にすぎないということです。たまたま勝者になれたのは、過去のルールであったから、それに気づいているかどうか…
かつて日本のスキージャンプが圧倒的な強さを誇っていた時、ルール改正により一気に勝てなくなった、そんな時代を思い出します。

時代が変わったのだから、価値を入れ替えて、コミュニケーションツールを時代に合ったものに変える。
それが真の時代対応ということではないでしょうか。

「時代なんてパッと変わる。」
かつて高度成長期に、名コピーライター秋山晶さんが書いたコピーですが、その変化のスピードは、今や当時の何倍何十倍にも加速しています。

そんな時代のキーワード「つながりの経済」。
そろそろ企業コミュニケーションのあり方を根本的に見直すことが必要なときだと思いますが、いかがでしょうか。

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「売り方」の神髄、すべては「知る・見る・聞き出す」から。

今回読んだのは、マーケティングコンサルタント、松野恵介さんが書いた『売れる人が大切にしている!「売り方」の神髄』です。

「売り方」の神髄

「売れる」人が大切にしている!「売れる」方法とは?

「売る」のではなく「売れる」、ここが肝心ですが、そのスタートは「知る・見る・聞き出す」こと。
本書で松野さんが繰り返し書いている、本書のテーマでもあります。

そのためにまず大切なのは、お客様が何を求めているかということ。

松野さんいわく、
お客様が求めているのは、決して商品の良し悪しや、安い高いだけではなく、
自分の悩みや困りごとをきちんと聞いてくれること。

それに対して漠然と聞いているだけではダメで、相手を知るためにこちらから積極的に聞くことが大切だそうで、
これをもっと正しく表現すれば、「聞き出す」ことなのだそうです。

そして、しっかり「聞き出す」ことができれば、

・商談がスムーズになる
・価格競争に巻き込まれなくなる
・お客様から信用され仕事を任される
・提案営業がラクになる

などなど、さまざまな効果が生まれてくると松野さんは言っています。

確かに、かつて多く存在した自己主張の強い営業マンタイプほど、「話す」ことに時間を費やし、聞く」ことがおろそかになる。結果、売れるものも売れなくなってしまう。まさに松野さんがいう「売れる人」の裏返しなのだと思います。

しかしながら「聞き出す」ことが重要だとわかったとして、そう簡単にうまくいくほど、世の中甘くありません。
なぜなら「聞き出す」ためには、こちら側も質問できるだけの知識や情報が必要になるからです。

たとえば自社商品に対する知識。
まずは自分がその商品を好きになり、詳しい商品知識をもっていなければ、相手にも「想い」が伝わりませんね。
逆に好きになって詳しくなれば、相手にもその気持ちが伝わり、あなたに自然と話したくなるのではないでしょうか。

つまり、人を動かすのは、巧みな話術ではなく、自分の愛する「商品」で相手の役に立ちたいというあなたの「想い」がすべてなのだということです。

松野さんのいう「売り方」の神髄とは「根本」、基本中の基本ということで、まさにこの「想い」の存在こそ「神髄」なんだと本書を読んで気付かされます。


本書で松野さんが展開しているのは自身が経験の中から磨き上げた「コネクションマーケティング」というもの。
お客様との「つながり」を作り出すことが、マーケティングの全てを左右するという考え方です。

私もよくいうことですが、お客様と良い関係ができていれば、自然と商品も売れるようになる。
大切なのは、関係が出来る前に売ろうとすると、せっかく売れるものも売れなくなってしまいます。
そこを見誤ると、これからの時代のマーケティングはうまくいかない、そのあたりの時代感を松野さんはきちんと押さえて本書をまとめています。

「売れない」から必死で「売る」のではなく、「売れない」からこそ、立ち止まって、根本に立ち返ってみることが大切な時。

今の世の中の価値観にあった「売り方」を考え直してみるには、格好の1冊かと思います。

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