アドマン(元)のブログ「広告会社~バーチャルとリアルの狭間で」

名古屋の広告会社に働いていた元アドマンのブログ。広告とインターネットに携わる男が、時代の転換期で日々感じること、気づくこと、体験したこと、また、読んだ本や見た映画の感想などを思いのままに書き綴ります。

コミュニケーション力を左右するのは「情」と「理」のバランス。

元「ザ・ボディショップ」「スターバックス」日本法人のCEO、岩田松雄氏の書いた『「情」と「理」話し方の法則』を読んだ。

情と理の法則

今ビジネスマンにとって、最も重要な能力がコミュニケーション力、というのはほとんどの人にとって異論のないところだろう。

しかしながら、コミュニケーションスキルとして「伝える」術をきちんと理解している人は、思った以上に少ないのではないか。
ほとんどのケースが「伝える」という一方通行で終わってしまい、「伝わる」という双方向になっていない。
伝えたい思いが強ければ強いほど伝わらないという悪循環に陥るというわけだ。

それではどのようにすれば、「伝える」を「伝わる」に変換できるのか?

岩田氏は、コミュニケーション力を次の2つの要素に分けて話を展開する。

「情」=話す人の人間性。

「理」=相手へのわかりやすい伝え方。

理詰めでも、情に訴えるだけでもコミュニケーションは上手くいかないと岩田氏はいう。

本書では、そんなコミュニケーションにおける「人を動かす」話し方、「強い信頼関係をつくる」話し方を26の法則として実践的にまとめている。

私が特に注目したのは、実践法則の24.「何」をやるのかではなく、「なぜ」やるのか。

「なぜ」やるのかは、自分自身のミッションと照らし合わせることが重要、そうすればおのずとやるべき理由が見えてくるのだ。自分が心から信じているからこそ、相手に伝わるのである。それがコミュニケーションの本質だと岩田氏はいう。

会社におけるわかりやすい喩えとして、岩田氏が持ちだしたのがドラッカーの本に出てくる、初期キリスト教会の言葉、

「本質において一致、行動において自由、すべてにおいて信頼」

本質、つまりミッションをきちんと共有していれば、細かなルールなどつくらず、実際の行動は自由。みんな自由で考えてやれば大丈夫。ただし、その大前提として、互いに信頼しあうことが必要であると。

まさに岩田氏がザ・ボディショップ、スターバックスで実践してきた考え方ではないか。

実際、話し方のテクニックをどれだけ学んでもなかなかコミュニケーション上手になれない。なぜならそこには「ミッション」がないからだ。

ゆえにコミュニケーション力を高めるためには、自身の「ミッション」をあらためて考えてみるといい。

ミッションとコミュニケーション、それほど密接な関係があると、あらためて知らされた気がしている。

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「きれいごと」が企業を成長させる。

社会保険労務士にして株式会社シェアードバリューコーポレーション代表、小林秀司氏が書いた『人本経営~「きれいごと」を徹底すれば会社は伸びる』を読んだ。



ベストセラー「日本でいちばん大切にしたい会社」の著者、坂本光司氏に師事し、ともに世の中に必要とされる会社を紹介してきた。本書はそんな小林氏の活動の集大成とも言える1冊である。

今、時代は大きな転換点にあり、お金儲け以外の新たな企業の価値観が世の中から求め始められていると小林氏。

そんな世の中の変化を捉えた本書のテーマが、「業績軸」資本主義から「幸せ軸」人本主義への転換である。

「幸せ軸」人本主義とは、利益の最大化ではなく、社員の幸福の最大化を目指す考え方。

しかし、こういう話が出てくると決まって現れるのが、幸せ軸などという「きれいごと」で経営は出来っこないという否定論だ。

そうかもしれない。いや過去はそれが正しかったのかもしれない。

しかしここのところその価値観が音を立てて崩れてきているような気がしている。

ゼンショーのすき家、居酒屋ワタミの労務問題はその象徴といえるのではないだろうか。

お金儲けに熱心で社員をこき使うような企業は世の中から共感を得られるわけがない。そんな当たり前のことが当たり前に理解されるようになってきたのだ。

さて本書では、規模も小さい、知名度もない、けれどそんな中で確実に社員や社会から共感を得て成長を続けている会社がたくさん紹介されている。

ひとつひとつ読んで行くと世の中にこんな会社があったのかとあらためて時代の変化を感じる次第だ。

きれいごとだからこそ、社員や顧客の共感を呼ぶ。そういう時代になったのである。

全ての会社員はデザイナーであれ。

カルチャーコンビニエンスクラブ社長、増田宗明氏の新著「知的資本論~すべての企業がデザイナー集団になる未来」を読んだ。

知的資本論

常々思っているのだが、この増田社長、類い稀なコンセプターである。

コンセプターといえば、私の中では古くは濱野宏、谷口正和、広く海外に求めればスティーブ・ジョブスがいる…
増田氏は彼らに匹敵する俯瞰力と構想力の持ち主だ。

そんな増田氏の新著でのテーマは「すべての会社員は、企画マンになれ、デザイナーになれ。」

なぜなら、そうしなければ生き残れない時代がやってくるから。それが本書の主旨である。

これまで企業を成り立たせる基盤となっていたのは財務資本だった。

だったと過去形であるのは、消費社会が大きく変容しているからだ。

増田氏は、これからの企業はこの消費社会の変容を受けて企業の基盤を変えざるを得ないという。

そして、これから必要となる基盤が、タイトルにもなった知的資本なのだ。

知的資本がどれだけ社内に蓄積され、発揮させられるか、それこそがこれからの企業の推進力を左右する時代になる。

当然ながら、企業活動の本質はクリエイトだという増田氏。

であれば、そのクリエイトの源泉は人の企画力であり、その総和が企業の知的資本となるのだろう。

本書は序、起、承、転、結、終の6章構成であるが、冒頭の序章は、武雄市市長、樋渡啓祐氏との対談が組まれている。
この対談は既成概念に囚われない柔軟な思考の応酬で実に刺激的であり、カルチャーコンビニエンスクラブとのコラボによる武雄市図書館の誕生は、この二人の存在がなかったら決して実現することがなかったとあらためて思い知らされる。

増田氏はデザインを広義な意味で捉えており、企画力、構想力とほぼイコールだ。

管理という甘えの元でぬくぬくと定年まで勤め上げる時代は終わった。

これからは責任を伴う自由を手に入れて、自らの企画力、提案力で生き抜いて行く時代がやってくる。

それを厳しいと見るか楽しいと見るか、あなたの価値観が試されるのだ。


愛される会社は、こう作る。

横田アソシエイツ代表、横田浩一氏と流通経済大学商学部教授、石井淳蔵氏が書いた「愛される会社のつくり方」を読んだ。


もしあなたが新社長からコーポレートブランディングの構築を命じられたら…。

そんなミッションの実行のプロセスが、物語形式で綴られていく。

ブランディングの意味はわかるものも、いざ進めるとなるとなかなか相談できる人もいないし参考にできる書籍も少ないのが現実だ。

そんな方の参考書としては、待ちに待った一冊と言えるのではないか。

主人公は、入社10年目になる経営企画部の村上タカシ。そしてパートナーとしてコーポレートブランディングを実践していくのが、広報部の鶴田ゆかり。

物語の途中では、資生堂やコマツのブランディング事例も登場、さらにはお約束のように二人の恋の物語も…。

ちなみにブランディングのプロセスで設定されるビジョンは『ビーイング・ウィズ・ユー』。

営業力による顧客との関係性の深さを強みとしてブランディングの中心に据えた。

物語は理想的すぎてやや実感が湧きにくいかもしれない。
しかし贅肉が削ぎ落とされている分、ブランディングの本質が際立つという効果が生まれ、他にはない本に仕上がっている。
何より物語形式の利点は自分ゴトとして感情移入できることだ。

そして、ブランディングをテーマにした本だけに、数ある同様の本の中でも独自性という意味では自本のブランディングもきちんとできている、その点もさすが。

本書を読んであらためて思うこと。

ブランディングがいかに重要で、いかに会社を変えられるパワーを秘めているか…まさに経営者マターなのであると。


強さ+やさしさ=しなやかな企業。これからの「良い会社」の条件。

駿河台大学教授、水尾順一氏が書いた「マーケティング倫理が企業を救う」を読んだ。

マーケティング倫理

「企業の強さ」の質が変わってきたと水尾氏は言う。ではどのように変わってきたのか、それが本書のテーマである。

水尾氏が挙げるこれからの「良い企業」の条件は、単に強い企業ではなく“強さとやさしさを兼ね備えた企業”だ。

となれば、当然のことながら強い企業とは、社員の人格を無視して毎日深夜までこき使う会社ではない。
単に儲かるからと言って環境への影響を無視したような企業でもない。

そのような考え方の企業は、短期でどれだけ利益を挙げられても長続きしなければ世の中から受け入れられないだろう。

ブラック企業と名指しされた牛丼チェーンや居酒屋チェーンが良い例だ。結局、それらの企業は人材を確保できず後退を余儀なくされている。

さらに水尾氏は、「強さとやさしさを兼ね備えた企業=しなやかな企業」と定義する。

強さとやさしさと言えば、思いだされる有名な言葉があり、本書でも登場する。

例の「強くなければ生きていけない。やさしくなければ生きている資格がない。」、という作家のレイモンド・チャンドラーが残した言葉だ。

この言葉、人だけでなく、同じように企業にも当てはまると水尾氏。

柳のようにしなやかで、時代適応して持続的に成長していく企業像。まさに今の世の中に必要とされている企業であると共感する。

さて本書ではそんな考え方をもとに、たくさんの“しなやかな企業”の実例が紹介されている。

そのうちのひとつが、タニタ食堂を展開し話題を集めている、株式会社タニタだ。

タニタと言えば、体脂肪計やクッキングメーターがおなじみであるが、そこからタニタ食堂への流れはごくごく自然のものだった。

この流れを導いたのが、タニタの「我々は『はかる』を通して世界の人々の健康づくりに貢献します」という経営理念の存在。この貢献するという姿勢は顧客に対してだけでなく、社員も同じという考え方だ。
社員の健康を考えて作った社食のメニューが発展した結果、タニタ食堂へと昇華されたのだ。

“強さとやさしさを兼ね備えた企業=しなやかな企業”の、まさに好例と言えるではないか。

その他にも、アデランスや大塚製薬、生活の木、スターバックス、伊藤園、ヤクルトなど、理念に基づいた経営で持続的な成長を遂げている企業の例が目白押しだ。

本書を読んであらためて考えさせられるのは、強さとやさしさはあくまで“働く人”を前提としていることだ。
彼らを満足させられる企業だけが、顧客満足を実現できる。ごくごく当たり前のことなのに、それができていない企業がいかに多いことか。
しなやかな企業が一社でも多くなることが、幸せな世の中を作るいちばんの近道であることは間違いない。

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